↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウォーヘッド  作者: グレゴリー
86/114

レイデン侵攻作戦3

レイデンの新港はおそらく世界一の規模を誇る

港湾施設だろう


十分な水深を持ち、海面から垂直に

切り立った岸壁に直接、

大型船が接岸できるようになっている。

そして、ズラリと木造のクレーン小屋が

立ち並んでいる


しかし、普段は帆船でごった返すこの港には

今、一隻のガレー船だけがいた。

両舷からズラリと生えたオールを精一杯漕いで

向かう先には、横並びに待ち受ける10人の

ウォーヘッドたち


そして、ついに、ガレー船から空高く

聖者たちが飛び出してきたのだった



...ヌルーン王国の司令部は、想定外の状況に

慌てていた



「遺憾ながら、後続のノル船を援護するために

 使徒を2体割きます

 合計、5体の使徒が聖者と共に

 ウォーヘッドを攻撃、1体が上空で

 戦況を中継します」



港の入り口で立ち往生しているノル船の集団を

レイデンの武装バナナボートが

包囲しようとしている


使徒ルーシーと使徒ポールが予定を変更して、

バナナボートを排除すべく動き出した


そして、ヌルーン王国の司令部に、さらに

驚くべき映像が投影された



「レイデンの背後を襲撃中と思われた

 ドラゴンたちが、町を横切ってまっすぐに

 こちらに向かってきております!

 お、おそらくウォーヘッドたちに加勢する

 つもりでしょう」



やはりというか、ドラゴンの襲撃は

フェイクだった。

巨大なダークドラゴンを先頭に

様々な種類のドラゴンたちが、

無抵抗の町の上空を飛んで港に向かっている


同時に、町の中から突如として

新手のドラゴン軍団が出現した


さらに、港に立つウォーヘッドたちの

背後の建物群から、

ドワーフ軍団とレイデンの防衛軍が一斉に

出現したのだった



「や、やられました。ドラゴンの襲撃は

 我々を騙すための茶番でした!

 敵は我々を完全に待ち伏せていました...

 一体、どのような手段を用いたのか?

 こちらの動きは完全に読まれております!」



グランヘルム王は、無言で立ち上がった


しかし、そんな王に気が付く軍人たちは

誰も居なかった



////////////////////////////////////////



ストゥーカは、少年ボケコラと一緒に、

レイデンの街中の建物の屋上で待機していた



「マックスが念話で合図してきたら、

 即座にあなたの人化を解いて

 海上のバナナボートの援護に向かうわよ。

 準備はいいわね?」



ストゥーカはドワーフ王国から供与された

竜騎士の鎧に身を包んでいる。

そして、ボケコラの小さな身体を

後ろからしっかりと抱きしめていた



「ストゥーカよ、少々痛いぞ。人化した状態の

 我は柔らかいのだ」



赤毛の生意気そうで頭の悪そうな少年が

抗議してくるが、ストゥーカは構わず

ボケコラを抱きしめて、その赤毛に顔を

埋めた


やがて、ガレー船から聖者たちが

飛び出してきたのと同時に、

マックスからの念話が届いた



「それじゃあ、皆、始めようぜ!」



上空に出現したのは、

レッドドラゴンのボケコラと、

その上に乗る竜騎士ストゥーカ、


フーセンドラゴン二匹と

フーセンライダーの二人、

黄金竜スターチェイサーをはじめとした

数匹のゴールデンドラゴン


海に浮かぶ船の集団に向かって

一直線に加速していく


同じく、上空を反対側からこちらに

向かってくる2体の使徒。

彼らは、バナナボートとノルの船団の上空で

ついに、激突したのだった



勇者マックスの周囲で、戦況は

めまぐるしく展開していた。

しかし、まるで目の前の光景が

スローモーションのように感じ、

落ち着いた思考に満たされていた


次々と自分たちの周囲に着地してくる

聖者たちを見渡す



(甲冑に身を包んでいるが、使徒と違って

 中身は普通の人間だ。

 ...いや、普通じゃないな、

 メシアの声が届いていない連中だ)



もはや、マックスの勇者の目は

聖者たちの中身が、メシアの声をあざ笑う連中、

つまり、死刑囚や重罪人だと見抜いていた


周囲にどんどんと着地していく聖者たち


マックスは、その手に勇者の剣を生み出した。

まるで、訓練用の剣のようなみすぼらしい

その刃が、瞬時に、目の前に迫った

2体の聖者を切り裂く

 

ちらりと、目の前の海を見つめた


 

(使徒が5体、海からこちらに

 向かっていて、

 2体が船団のほうへ向かった)



ふいに上空が暗くなり、頭上を

巨大なグレートドラゴンが通り過ぎて行った

次々と、ドラゴンたちが続く



(スターチェイサー、ストゥーカ、ボケコラ、

 フーセン衆とゴールデンドラゴンたち、

 頑張ってくれよ)



マックスが全員に向けて念話で言った



「みんな、聖者の中身は生身の人間だが

 気負いせずに戦うんだ!

 奴らは、救世主メシアの声が聞こえていない連中だ

 あのお方が必死になって届けてくれている

 善意の声を笑い飛ばし、踏みにじり

 欲望と残虐だけを喜びとしている。

 そして、使徒が5体、こちらに向かっていて

 2体、船団のほうへ向かった。

 ドラゴンと竜騎士で対応してくれ、

 気を付けるんだぞ」



マックスの背後の建物から、ドワーフと人間の

軍勢が出現し加勢する


聖者の一人が、手に持ったメイスを振り回した


一斉になぎ倒されるレイデンの人間たち


しかし、イルガの斧が、聖者の胴体に直撃する。

ティルクのグレートソードがその聖者の首を

撥ね飛ばした


リックは祈りを唱えながら戦っていた



「メシアよ、私をお許しください

 私は、今日、初めて人間を殺すでしょう 

 願わくば、彼らの罪を許し、

 あなたの元で安らぎをお与えください」



セリスとエリーは、加勢してきた

人間とドワーフの軍勢に対して、

補助魔法をかけている


マックスの剣が、聖者の兜を割った


中から、頬に傷を持った男の顔が現れる。

ヨロヨロとよろけながら、その死刑囚が

言った



「おい、あんたは勇者なんだろ?

 人間を守護するのが使命なんだろ、

 俺を殺ることができんのかよ」



しかし、マックスは言った



「今の俺は、お前と同じだ。

 自分の心の声に従って戦っている


 使命も正義も関係ないさ」



そして、無慈悲にその男の首を撥ねたのだった


マックスは言った



「キオミとリリーベルとルーティーは、

 召喚術と魔法で、俺たちを援護してくれ」



しかし、ルーティーが、タイタン鋼製の箒を

振り回しながら言った



「マックスだけに人間殺しの汚れ役をさせる

 わけにはいかないのであります!

 自分はすでに覚悟ができております、 

 一緒に汚れちまいましょう」



ディックソンは、レイデン防衛軍の人間たちの

盾となって、聖者たちの攻撃を受け止めている



「俺は、あっちの世界で長い間、

 刑務所に服役していたから分かるんだが、

 この連中は根っからの犯罪者どもだ!

 その攻撃に、殺しの喜びが見えるぜ」



聖者たちは、その残虐性と攻撃性を

鎧の力によって増幅させた

恐るべき戦士だったが、

レイデンの人間とドワーフの連合軍の、

故郷を守るという強い義務感が生み出す

力のほうが勝っていた


石材を吊り上げたままのクレーンが

クルリと回転して、下の聖者に向かって

それを落とした


屈強なドワーフ部隊が、ロール都市国家連合の

精鋭部隊が、数に劣る聖者たちを駆逐していく


セリスのショートソードが、聖者の兜の

目の開口部分を突き刺していた



マックスが言った



「皆、気に病むことはない!

 俺たちが今まで戦ってきた魔族のほうが

 奴らよりもよっぽど善良だった。

 ディックソンが言ったとおり、聖者の

 正体は、おそらくは凶悪な罪人どもだろう。

 しかし、奴らはレイデン同盟の仲間たちに

 任せよう、俺たちが相手にするのは

 使徒だ」



海のほうから凄まじいパワーを持ったものが

近づいてきている



救世主メシアよ、仲間たちをお守りください」



マックスは、勇者の剣を自分の目の前に掲げると

目を閉じて祈りの言葉をささやいた







  


 


 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。