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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
75/114

エリーの拷問3

ドラゴンの村に夜のとばりが降りた


西海沿岸の都市部は夜でも建物の明かりが

消えることはないと言われているが、

このみすぼらしい村は違った


ウォーヘッドたちが宿泊している建物だけが

窓に明かりが灯っている


村の広場を挟んで正面に村長の家があった


村長サークは、自室で一人、お茶を飲みながら、

窓の外を見つめた

ウォーヘッドたちの元に、大勢の村人たちが

集まっているのだろう。

だが、まあ、行商人があの建物に

宿泊しているときも同じような感じだ


別段、気にすることもなく、サークは

窓を閉めた


しかし、ふいに背後から声をかけられた



「村長さん、村長さん、何を寂しく一人で

 やってんのさ!

 せっかくこんな美女軍団がやってきたってのに

 つれないじゃないのさ」



急いで振り向くと、いつの間にか4人の女性が

立っていた。

鋭い自分の嗅覚でも察知できぬほど

素早く入り込んだのか?


サークは身構えた


声をかけてきたのは、ドワーフの女だろう...

そして、エルフに、年若い魔法使い、

メシア教の僧侶だ


ニンマリと笑って、ドワーフの女が酒瓶を片手に

掲げる



サークは言った



「勝手に人の家に入るなぞ、

 どういうつもりじゃ!

 すぐに出て行ってくれ!

 それに、ワシはもう寝るゆえに

 そっとしておいてくれい」



しかし、茶色のふんわりとした髪の

可愛らしい魔法使いが、腕を組みながら

ドアを塞ぐようにドア横の壁の突出部に

身体をもたれかけさせた


エルフのリリーベルが言った



「まあ、そう言わずに私たちの相手をするね。

 実は私たち、あなたを一目見たときから

 いい男だなーって思ってたね」



しかし、まっすぐな長い金髪のエルフは

ニコリともせず、その青い瞳は冷たく輝いていた


どちらかというと、村長の好みは、

その隣の、ダークブラウンの髪の凛とした感じの

メシア教の僧侶なのだが、彼女は謎の荷物を

背負っている


村長サークは、嫌な予感がしてそそくさと

部屋を退出しようとした



「どいてくれないかね?ワシは年寄りゆえに

 もう寝なければならぬのじゃから...」



しかし、ドアを塞ぐルーティーは、

片手をサークの肩に置いた。

万力のような力で否応なく身体を回転させられる


そして、ルーティーはサークの背後から抱き着いた


耳元で甘えたような声を出して囁く



「実は~自分は、おじいちゃんっ子

 なのであります。

 村長さんを見てると、実家の爺やを思い出して

 甘えたくなるのであります」



若い果実のような甘い香りのその少女は、

サークの顔のすぐそばに自分の顔を寄せ、

首に両手を回してグイグイと締め付けてきた



「あぐああ..ぐぐ...苦しい」



ドワーフのイルガは肩をすくめて言った



「この娘の腕力は危険だからさ、

 あまりこの娘を悲しませないほうがいいよ!

 ほら、普段からこんなに重たい箒を

 持っているのさ」



イルガは、壁に立てかけてあった、ルーティーの

箒を、村長に向けて倒して見せた


箒の棒先が、村長サークのつま先を直撃する



「うぎゃああ、なんじゃこの箒は!金属製か」



そう、ルーティーの箒は、特製のタイタン鉱で

できているのだ。


つま先を重たい金属の棒で押しつぶされた村長は

たまらずにかがみこんでしまった。


イルガが言った



「あらあら、これじゃあ歩けないねえ~

 後でエリーが治癒魔法をかけてあげるからさ、

 あんたもいい加減に観念しなっての!」



かがみこんだサークは、イルガとリリーベルに

両脇を抱えられ、無理やり立たされた


散らかった机の上を、エリーが両手で払いのけた。

湯呑や、日記帳、積み重なった古い本が

ボタボタと机の上からこぼれ落ちた


ルーティーが椅子を引いて、イルガとリリーベルが

村長サークを座らせた


すかさず、サークの膝の上に飛び乗るルーティー


綺麗になった机の上に、酒瓶とおつまみを載せ、

エリーとイルガは行儀悪く机の上に腰かけ

二人で酒盛りをし始めた


瓶から地酒をラッパ飲みしながら、

エリーが言った



「この地方の地酒はなかなかうまいですね~

 なんでも樽に詰めて熟成させるとか...

 村長さんもこの地酒のように

 熟成を経て、味わいが出てきている頃合い

 なんじゃないでしょうか?」



舌なめずりしながらイルガが言った



「一人で暮らしているみたいね、村長さん。

 奥さんに先立たれたのか知らないけど

 こうして、女の相手をするのは久しぶりかい?

 エリーが言ったように、長い間寝かせて

 熟成した酒はうまいからねぇ~

 あんたはどうだろうね?」



足先はジンジンと痛み、動けそうにない。

何よりも、魔法使いの少女が膝の上に

乗っているし、背後からエルフの女が

自分の禿頭に胸を押し付けてきている。


リリーベルの細い髪の毛がサークの顔を

くすぐり、その禿げた後頭部に

柔らかな二つの圧力が加わっている


そして、膝の上に乗ったルーティーは

身体をごそごそと動かしていた


春先に咲く花のようなエルフの香りと

甘い果実のような少女の香りが

サークの鼻孔をくすぐる



...しかし、しばらくして


眉を吊り上げ、口をへの字に曲げたルーティーが

言った



「このジジイ、全然ダメなのであります!

 おそらくは年寄りすぎて機能不全に陥っている

 可能性が大であります!」



机の上に腰かけたエリーが言った



「緊張しているのかな?まあ、あんたも

 飲んでリラックスしな!

 特別に私の脚から飲ませてあげるよ」



唐突にエリーは、片足を上げて

穿いているロングブーツを脱ぎ始めた


サークの背後のリリーベルが、

両手でその頭を掴みあげ上を向かせる。

膝の上に座ったルーティーが、

片手でサークの髭面の顎を掴み、

無理やり口を開けさせた



「はが...はががが...あめるのじゃ、

 ほのようなほほをして、はにがもくへきじゃ?」



サークの言葉になっていない抗議をよそに、

ブーツを脱いで美しい生足を露わにしたエリーは、

そのつま先をサークの口に突っ込んだ


沈下して凝縮された美女のエキスが

サークの口内を潤す


少し目を移動させると、エリーの片足を上げた

スカートの奥が見えそうだった。


さらに、エリーは、片手で持ったウイスキーの瓶を

傾けて自分の生脚に垂らした



「どうだい、枯れ木ジジイ、私が染み込んだ

 酒の味は格別だろ?

 どんどん飲みな、その役立たずのアホ息子を

 早く起こさないと、

 いい加減、ルーティーがぶち切れて

 あんたの首をへし折るからね!」



口に突っ込まれたエリーのつま先を伝って

ウイスキーがどんどんとサークの口内に

流れ込んでいく


サークの黄金色の瞳は大きく開かれ、

目の淵から涙が零れ落ちた


普段は、クールビューティーとも言える

エリーの顔が、どんどんと鬼化していった



「その涙の意味はなんなのさ、

 喜んでんのか悲しんでるかどっちなんだ!

 ルーティー、そっちの様子はどうだい?」



しかし、サークの膝の上に乗って

身体を動かしているルーティーは

肩をすくめて言った



「相変わらず全然ダメっすわ。

 こんなソフトウェポンしか持たない

 死にかけジジイには私らはもったいない

 でありますよ。

 もう、直球に痛めつけて情報を聞き出すのが

 よろしいかと思われるのであります」



衣服が擦れる小さな衣擦れの音が

むなしく部屋に響く


しかし、エリーはどんどんと自分の脚伝いに

サークの口内にウイスキーを流し込み続けた



「私らにもね、プライドってのがあるんだよ!

 いくらジジイとは言え、私らにここまで

 させておいてなんの反応もないってのかい!

 ああ、そうか、もっと刺激が必要なんだろ?

 イルガ、私の荷物の中から、

 洗濯バサミを取り出してちょうだい!」



サークの背後でその頭を掴んで、

上を向かせているリリーベルが

ぼつりとつぶやいたのだった



「おっ、破戒僧エリーの降臨だね。

 爺さん、あんたもラッキーだよ!

 エリーの拷問の腕はぴか一でさ、

 メシアに引き込まれた男ですら

 戻ってきたくらいなんだ」



もはや、村長サークはその目に滂沱の涙を流し

恐怖におののくだけだった











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