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ウォーヘッド  作者: グレゴリー
33/114

正直者

地中から唐突に現れた

12体ものストーンゴーレム

そして、その背後にアジテーター.デーモンの

イワノビッチ=モスコロフニエフ


ウォーヘッドたちは包囲されてしまった。


それぞれの武器を抜いて円形に固まる

ウォーヘッドたち



マックスが言った



「お前たちが世界樹の森を襲撃したのか?

 しかし、ゴーレムの集団が

 ここまで世界樹を焼き尽くすことが

 できるとは思えない

 アジテーターよ、貴様の仕業なのか?」



眼窩に嵌めた2枚のコインと

猿ぐつわをとりあえず外して

ストーンゴーレムの背後からズカズカと

進み出て、マックスと対面した

イワノビッチが言った



「ふん、バカ正直に手の内を明かす馬鹿が

 いるか!お前たちには知る必要はない

 まあ、降伏するのなら今のうちだ、どうだ?」



しかし、マックスは真摯な目で答えた



「正直に答えろ...」



イワノビッチは言った



「ぐぐ、そんな目で吾輩を見るな、

 なんと真摯な目つきなのだ...

 吾輩にはとうに忘れてしまった

 純粋な感情を呼び起こすような、その目つき、

 く、吾輩の心をえぐるようだ...

 世界が2つに分かれてしまってから、 

 吾輩の同族は、

 あっちの世界では「告発者」として

 様々な種族の法と正義を代弁する役割を得て

 非常な尊敬を得ている

 しかし、この世界に取り残された我々は

 所詮、「扇動者」として、嘘八百を並べ立て

 その言葉を聞くものを騙し、操り、

 破滅させてきた

 おかげでこの世界では我々は嫌われている

 

 かつて吾輩も、貴様のように

 純粋な目をしていたのだ。

 しかし、デーモン族の宿命として、

 自らに与えられた「扇動者」としての役割に

 身を投じる他無かった


 しかし、今、貴様のその真摯な目つきに感化され、

 吾輩は正直に答えることにしよう」



イワノビッチは、ストーンゴーレムに対して、

手で合図し、攻撃態勢を解かせた


額に汗を流しながら、荒く息を吐き、

イワノビッチは言った



「さよう、吾輩とゴーレムの力ごときでは、

 世界樹の森をここまで焼き払うのは不可能だ

 つまり、魔王様はご自身の切り札の一つを

 お使いになったのだ


 その切り札とは、あの、

 炎の魔人「グラウンド.ゼロ」

 

 立ちはだかる全てのものを、

 地底のマグマの如き灼熱の炎で

 焼き尽くすと言われておる

 恐るべき存在だ


 その正体は、かつて、神々の大戦の折、

 ハイエルフと神人によって

 滅びの山の火口の中に葬り去られた魔人よ


 すべての種族の中で、最強の種族と

 言われている魔人は、火口に落ち、マグマに

 その身を焼かれながらも、火の精霊によって

 見初められ、合体したのだ


 そして生まれたのが、半精霊のような存在と

 なった炎の魔人、「グラウンド.ゼロ」


 吾輩は、魔王様と共に滅びの山に赴き、

 グラウンド.ゼロに、ハイエルフへの

 憎悪を呼び覚ますことによって

 仲間に加えることに成功したのだ


 こうして、吾輩の扇動者としての

 口車に乗せられたグラウンド.ゼロは

 世界樹の森を焼き払ったのだ


 さて、貴様らはこう思っているであろう、

 そのような強力極まりない仲間が居るのなら

 なぜ、吾輩はゴーレムと共に、貴様たちの

 前に立ちはだかっているのかと?


 グラウンド.ゼロは、確かに世界樹の森を

 焼き払った!しかし、その灼熱の炎でさえ

 焼き尽くすことは叶わなかったのだ!

 

 貴様は、目の前の世界樹たちを見て、完全に

 滅びたと思っていたのだろうが違う、

 焼き払われたのは枝葉だけで、

 その根幹は、あのグラウンド.ゼロの力で

 あっても焼き尽くすのは無理だったのだ

 

 まさに無限に沸き上がってくる不思議な力に

 守られ、世界樹は、グラウンド.ゼロの炎ですら

 防いだのだあああ


 そして、どうやっても焼き尽くすことのできぬ

 世界樹に対し、グラウンド.ゼロの怒りは

 頂点に達し、ついにその怒りは

 グラウンド.ゼロ自らの肉体を

 焼き尽くしてしまったのだ」




マックスが言った



「なんと、あの伝説の召喚獣、

 グラウンド.ゼロをもってしても、

 世界樹は滅ぼせなかったのか!

 そして、俺の目の前に立っている焼け焦げた

 幹は、その実はまだ生きているのだな。

 そして、グラウンド.ゼロは怒りで

 我が身を焼き尽くし滅びてしまったと」



マックスの目の前に、そそり立つ幾本もの

黒焦げの木の幹、しかし、驚くことに、

その根幹はまだ生きているのだ!



リリーベルが言った



「世界樹の中を流れるマナの力ね

 もはや、様々な世界とマナによって繋がった

 この世界の世界樹は、

 ほぼ無限に湧き出るマナの力によって

 自らの身を守りきったのね」



しかし、マックスが言った



「しかし、腑に落ちないのは、

 グラウンド.ゼロのような強力すぎる存在が、

 誰にも気がつかれることなく世界樹の森にまで

 どうやってたどり着けたのかということだ

 一体、どういう方法を取ったのだ?」



ウォーヘッドたちの足元の地面がグラグラと

揺れ始めた


まるで地震のように、揺れは大きくなった



イワノビッチが答えた



「ぐははは、その答えは、地底の王、バジリスクよ」







 

 


 


 


 

 


 

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