エピローグ
「うーん、なんだかなぁ」
ある日の休日の夜、俺こと天樹勇魔(17歳)はつい先日タイトルに惹かれて買ってきたゲームに興じていた。
タイトルは『Different World Story』直訳で異世界物語
ゲームは王道、凶悪な魔王から世界を救う典型的なRPGなのだが、主人公は異世界から召喚された勇者という設定だ。
この手のものはやれハーレムだ、やれチートだ、というのが定番である。
俺はその辺りを少なからず期待して買ったはいいのだが、
このゲームの主人公はものすごく堅物なようで女に危ない事はさせられないとか言って女を仲間にしない上、チートな能力も持たない事に気づいた時はだいぶ絶望した。
異世界召喚といえばやはりチート能力!旅先で加わるチート仲間(美少女)!そして最強のハーレム!そういう希望をもってしまう俺は世間一般の思春期高校生として正しい在り方をしているといえるだろう。
なのにだ!そんな男の夢のような冒険を期待してゲームを始めた俺がだ!なにが悲しくて男だらけのむさ苦しいパーティーで世界なんて救わねばならないんだ!
と、正直投げ出したいところなのだが内容はそこそこ面白いのでとりあえず続けているのが現状だ。
ただチートとハーレムがないだけで!
話は王道!内容は先の展開が読めないほど波乱万丈!ただメインヒロインとなる女性がいない!
「これでヒロインさえ居てくれればなぁ」
いや、いるにはいるのだが堅物勇者のせいで物語に入ってこないという
これなら異世界召喚ものじゃなくてもよかったのではないか?と疑問に思うレベルで主人公が真面目すぎるのである、もはや不能を疑うレベルで女に興味を示さない。
なんの為に異世界召喚されたんだよ、と言いたい。
いや、世界を救う為だよな、うん分かってるんだ、それでも異世界行くならもう少し楽しもうよ、とゲームの中の勇者に説教したい気分になる俺はどうしようもなく男子高校生なのだろう。
「勝手な都合で呼ばれたにも関わらずただ世界を救う為に冒険か、これじゃあなんで異世界に召喚されたのか」
おもわずそう呟く俺はゲームの主人公に少なからず同情した。
いや、ゲームの主人公としては要らぬ世話、彼も生き抜くのに必死なのだろう。
だが俺ならこんな世界を救う為だけに魔物を倒し、悪を滅ぼす、そんなただただ暑苦しい世界はまっぴらごめんだ。
「ふぅ、そろそろ寝るか」
そんな事を考えていながら時計を見る
もうだいぶ遅い時間になっている事に気づいた俺は、ゲームをセーブして布団に入るのであった。
『……よ……しゃ…』
「うーん」
変な声が聞こえる男の声か?
『め……よ…うしゃよ』
「う、うーん?」
何かこちらに話しかけているようだ、よく聞き取れない
『さっさと目覚めよ!勇者がぁぁ!!』
《ドゴーン!!》
「うわぁああ!!」
突然の声と鳴り響いた轟音によって俺は飛び起きる!
「へっ?」
事態を把握出来ない俺は周りを見渡し、おもわず変な声をあげてしまった。
『やっと目覚めたか勇者が』
「へっ?えっ?」
俺は声の主の方を振り向くとまた変な声をもらしてしまう
『なんだ?まだ呆けておるのか?』
「…………あっ」
この時の俺がこんな言葉を口にしたのは決して間違ってはいないと思う、………だって
『あっ?』
「悪魔ぁぁぁぁあああ!!!???」
目覚めた俺の目の前に居たのはとても人とはかけ離れた容姿をした
正真正銘の悪魔だったのだから………
りくりくです!
拙い文面に拙い進行ですが暖かい瞳で見守ってくださると嬉しいです!
感想などよろしくお願いいたします!
とりあえず1話目は17時投稿します
すみません、エピローグ大幅に変更いたしました!