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第三十八話 橘ユリの本領

第三十八話 (たちばな)ユリの本領

「そっかー、二人は理沙ちゃんとイオンちゃんって言うのね。私のことは知ってると思うけど、生徒会長の橘ユリです。呼び方はみんな会長とか橘さんとかって呼ぶけど、お姉ちゃんとかでも全然オーケーよ?」

「お姉ちゃ〜ん♡」

「きゃあああ! イオンちゃん可愛いぃいいい!! も、もっかい言って!?」

「ほらほら会長、遊んでないで早く生徒会室行きますよ。理沙、どこ見て? あっ」

「あれ? そこにいるのは理沙ちゃんかな? いや、そのおっぱいはまごうことなく理沙ちゃんだ! こん(ちち)わー!」

「げっ」

「うわぁ、恋能くんだ〜」

「おっと、イオンちゃんと委員長もいたのか。理沙ちゃんのおっぱいに目を奪われてて気づけなかったよ。ところで、こちらのエクセレントな美女はもしかして生徒会長さん?」

「いかにも! 私がこの学校の頂点に君臨する生徒会長橘ユリよ。君があの恋能愛熊君ね」

「お、俺のことを知ってるんですか!?」

「噂はかねがね。どうやら女生徒に対して数え切れないほどのセクハラを行っているらしいじゃないの。いずれは生徒会でなんとかする必要がありそうだと思っていたけど、こんなところで会ったのはちょうどいいわ」

「俺の紳士的行動がそんなに話題になっていたとは……。それで俺をどうしようって言うんです? 残念だがこの世の女子をあまねく愛するこの俺をどうにかできるのは、女子の中では花津夜さんくらいだぜ!」

「そうね……。君はどうやら理沙ちゃんのおっぱいにとても執着してるみたいだけど、具体的にどうしたいとか考えてたりするのかしら?」

「あたぼうよ! “性癖の数は星の数、フェチの数はもはや無数”と自称する俺が大好きな理沙ちゃんのおっぱいで妄想してないはずがあるめぇよ!」

「ちょっとそれ、耳打ちで聞かせてもらってもいいかしら」

「えっ、いいですけど——」

「ふんふん、なるほどね。ちなみになんだけど、私の妄想も少し聞いてもらえる? あのね——」

「………………」

「どうかしら?」

「へ、変態だーーー!!!」

「あら、自己紹介かしら?」

「ま、まさかこの俺を変態力で圧倒する人間がこの世に存在したなんて……。今会長が耳打ちしたプレイの数々、俺には到底思いも付かなかった。負けた! 悔しいが完敗だ!」

「あっ、走り去ってった~」

「ふう、これで少しは自分を見つめ直してくれるといいんだけど」

「あの恋能君ですら引くレベルの妄想って一体……」

「おや、緒世ちゃん気になる? 教えてあげようか?」

「謹んでご遠慮させてもらいます……!」


暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。こんにちは、K君です。

変態という言葉の定義について皆様はどうお考えでしょうか。一般的には性的なものに対する執着や関心が人一倍強いこと、性癖やフェチ、偏愛がアブノーマル的であることなどですね。

前者は性欲の強さが異常、後者は性欲を感じる対象が異常となり、“変態”と呼ばれるわけです。

私は自分で言うのもなんですが、どちらかといえば後者の部類に入るかと思われます。気になったものの関連物を検索してもなかなかヒットせず、同じような嗜好を持つ人となかなか巡り会えなかったりします。

ですから、ごく稀に自分と趣味嗜好がかなり近い人を見つけて、その人が自身の好きなものについて語る時、我々は深く頷きながら「それな」としか言えないわけです。

ただ、前者と違い、そういった趣味嗜好を除けば性欲自体は至って平凡な人が多いですから、ひとくくりに変態呼ばわりするのはいかがなものかとは思いますね。

もちろん前者も生まれ持った性質がそうだったというだけなので、強い自制心を持ってくれればなんら問題はないわけですが。

しかしやはり、マイノリティな我々としてはできればもっと自分の好きな事物が広く認知されたいわけです。私もいずれ時間が許せば、自分の性癖に特化した創作物を作ってみたいですねぇ。

それでは、今回はここまでです。閲覧ありがとうございました。

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