第三十七話 橘ユリのやばみ
第三十七話 橘ユリのやばみ
「緒世〜、一緒に帰ろ〜」
「ごめん……。今日は委員長の仕事で生徒会行かなきゃいけなくて……。先に帰ってて」
「そっか〜大変だね〜」
「緒世、なんだか気だるそうに見えるけど、体調でも悪いの?」
「理沙ありがと。体調はなんともないんだけど、生徒会の仕事がね……」
「そんなに大変な仕事なの〜? イオンたちも手伝おうか〜?」
「今日は特に用事も部活もないし、私も六時くらいまでなら手伝えるよ」
「気持ちはありがたいけど、二人が手伝いに来るともっと大変なことになるっていうか」
「「?」」
「今日は生徒会長さんにお願いされて、生徒会役員の人たちと一緒に作業するんだけど。その生徒会長さんっていうのが、“ちょっと”変わった人でね」
「生徒会長さんって三年生の人だよね〜? モデルみたいな体型で、長くて綺麗な黒髪の美人さんでしょ〜?」
「生徒会に入る前は陸上部のエースで、スポーツ万能な上に成績も学年トップな完璧超人って聞いてるけど。あの人がどうかしたの?」
「うん、スペックだけ聞くと“女版の矢口君”って感じだけど、性癖?に問題があってね」
「性癖〜?」
「もしかして、あんな清純そうな見た目で実は何人もの男子と関係を持ってるとか?」
「えーと、実はその全く逆で――」
「「逆?」」
「緒っ世ちゃーん! 遅いぞー!? 四時半に生徒会室集合だって言ったでしょー! バツとして今履いてるパンツちょうだい!」
「えっ、誰あの変態~!?」
「いやちょっと待て、あの人生徒会長じゃ……? というか今の発言、もしかして……?」
「――そう、うちの生徒会長って、女性だけど女の子が大好きなの……」
「おやおや!? そこの二人は緒世ちゃんのお友達!? 二人ともめちゃくちゃ可愛いわね!」
「なんか、妙にテンション高いね……」
「もっとクールな人かと思ってた〜」
「そうだわ! せっかくだし、二人もこれから生徒会室に来ない?」
「実はそのつもりだったんですけどー……」
「イオン、ちょっと用事思い出したかも〜」
「ちょうど今、生徒会の冷蔵庫に美味しいケーキがあるんだけど、一緒にどうかしら?」
「行きます!!」
「やっぱ気のせいだった〜。イオン特に用事とか無かった〜!」
「二人とも簡単に釣られすぎ! 生徒会長も、今日は生徒会で作業するんですよね!?」
「私にとってはそんなお堅い業務よりも、女の子たちと戯れる方が優先順位は上なの! それとも、緒世ちゃんはケーキ食べないの?」
「そ、それは……」
「はい、決定! それじゃあ生徒会室へレッツゴー!」
梅雨があけて今年も本格的な夏がやってきましたね。こんにちは、K君です。
同性愛について、皆様はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
あくまで生物学的な立場に立てば、絶対に種を存続することができなくなる同性愛は生物的なエラーであり、忌避されるべきものですが、人間的な考えの基で語るならば同性愛は決して否定されるようなものではありません。
種の存続がどうだとか、今生きている個人には関係のないことです。恋愛論の有名な言葉で言うならば「好きになってしまったのだから、しょうがない」「好きになっちゃったものは、どうしようもできない」です。
恋愛とはあくまで人と人のコミュニケーションのひとつの形に過ぎません。その形態について他人がとやかく言うのは筋違いなのです。
また、種の存続うんぬんといった生物学的問題も、近年の科学技術の発達で同性同士であっても互いの遺伝子から子孫を残すことができるようになりつつあります。ここまで来てしまえば法律的にも、道徳的にも、あらゆる点から見て同性愛に対する批判はもはやできないのではないでしょうか。
「社会的に~」という意見については、それはその社会が間違っているのであって同性愛が受け入れられた社会では「社会的にも」認められるものになっているでしょう。
諸外国ではすでに同性婚を認めるところがあるそうです。昨今ではLGBTを受け入れる動きが国際的に高まっていますから、日本でも早く社会的に同性愛者が暮らしやすくなるような法整備や意識改革が行われることを願います。
私自身は同性に恋愛感情を抱いたことはないのですが、知人にひとりそういった方がいたものですから、つい語ってしまいました。
なおこの後書きに書かれた内容は本編にはあまり関係はありません。




