母と息子の親善スパーリング試合
ルナとセシリアはスパーリングを行い、それは激しいものとなった。
それから間もなく、ウルハイド一家とそのスタッフは馬車で街の北東部にあるコロシアムに到着した。コロシアムでは、体力自慢のショー、魔法の戦い、あらゆる種類の剣闘士の戦いなど、多くの私的および公的なイベントが開催されていた。引退した戦士や兵士から駆け出しの冒険者まで、あらゆる人々がここで力を試す。そして、通常は観客がいる。今日の観客は、ニーラ、メイドたち、そして執事長だった。
ルナはリングの最東端、リングへの入り口の一つ前に立っていた。セシリアはリングの反対側に立っていた。彼女はミスリル製の胸当て鎧を身に着け、膝下まで届く緑色のミスリルを練り込んだスカート状の鎧と、同じタイプの脚用ゲートルを履いていた。その鎧は魔法伝導率が極めて高く、防御力はS級をはるかに超えていた。岩石を容易に破壊することで知られる鉄頭の雄牛が全力で突進しても、それを止めることができるほどの威力だった。彼女はまた、緑と茶色がかったガントレットを身に着けており、それが土魔法の力を増幅させていた。
一方、ルナは、レッドドラゴンの鱗の胸当て、ミスリル製の腕と脚のプロテクター、ミスリル製の鎖帷子、オーシャンサーペントレザーのズボン鎧、そして基本的な鋼鉄の剣を身につけていた。これらの鎧は、彼の父親が若い頃に使っていたもので、手入れは行き届いていたものの、ラーゲン自身はもう使っていなかった。ルナは両親の反対も何も聞かずに、それを自分のものにした。実際、両親はそれを奨励していた。これは、彼がクラスメイトとの様々な戦いで使っていたものと全く同じ鎧だった。
「それで満足か? 他のものはどれも悪くないが、あの剣は……? もっといいものをあげられたのに。」
「これでいい。でも、そんなに目障りなら、どうぞ壊してちょうだい。」
「もう戦闘態勢に入っているのね。お母さんにそんな口の利き方をするなんて…可愛らしいわ、うふふ。」
「そうでなければ、戦いにならないでしょう。私があなたに全力を尽くすよう求めた以上、それなりの気迫は必要よ。」
「ダーリン、雰囲気なんて関係ないわ。」彼女がそう言うと、そのアレーナの空気は殺気に満ち、重苦しいものになった。
ルナの本能が働き、母親から発せられるプレッシャーによって、彼の防御態勢はますます強固になった。
「おおぉ、いいじゃん、いいじゃん!計画していたように手加減する必要はなさそうだ。あなたがこれくらいできるなら、きっと愛する母を楽しませることもできるでしょう。」
「それが俺の望みだったんだ」ルナは苦悶の表情で言った。
「よし、じゃあ、展示会という名目で、血みどろの乱闘を期待してたのね。久しぶりだから、ひざまずかせてやるかもしれないわ。どうか耐えてちょうだい」セシリアは明るい笑顔で言ったが、その殺気はルナを少し後ろに引きずらせた。
「お兄ちゃん、大丈夫になるかなぁ?」ニーラは心配そうに尋ねた。
メイドたちの表情から、彼女たちも同じ気持ちを抱いていることがはっきりと見て取れた。
「お嬢様、ご心配なさらないでください。お母様がご自身の息子を傷つけるような真似はなさるものですから。」
「セス、あなたもそう思う?」
「ええ、お嬢様。」
「そうね。」
「ユリエ、セリベル、クリス、念のため坊ちゃんのために祈っておきましょう。」
「うん。」
「もうすでに祈ってるよ、お姉ちゃん。」
「うん。」
「セス?」セシリアはグループの方を見ながら言った。
「はい、奥様。」
「お願いがあるんだけど、時計をちゃんと見ててよ。」
「もちろんです、奥様。」
防御に徹していたルナは、次々と繰り出される戦闘戦略をただ見守るしかなかった。しかし、それらはすべて無駄に終わっていた。
「一体これは何だ…母さんは私に全く注意を払っていないが、母さんが発しているプレッシャーは尋常ではない…さらに悪いことに、母さんは武器すら持っていない…それでも、まともな攻撃方法が思いつかない。まるで攻撃の隙がないようだ。」彼は独り言を呟いた。
「ルナ、そこで何を囁いているの?戦略?ちょっと聞きに行ってみようかな❤️」
「よし、行くぞ!」
ルナの前足が着地した場所に、一瞬にしてクレーターが出現した。彼は母親と真正面からぶつかり合い、剣の一撃を放ったが、母親が身につけていた籠手によって即座に止められた。彼は猛烈な勢いで剣を振り続けたが、その攻撃は信じられないほど容易に受け流され、防がれた。
流れを変えようと、セシリアは受け流した攻撃を積極的に攻撃のチャンスに変えていった。わずかな隙も見逃さず、ガードしては反撃し、ルナに体勢を入れ替えることを余儀なくさせた。
ルナの剣は空中で受け流され、剣を落としてしまった。隙ができた。セシリアは容赦なく攻撃を仕掛けた。しかし、ルナは踏みとどまった。彼女の攻撃をかわしながら、腕で押し返した。これにより母親は後ろに飛び退き、ルナは素手で攻撃を仕掛けようとした。
息子の動きを予測した彼女は、息子の押しの勢いを利用して後方宙返りし、身をかがめて突進しながら息子の胸を狙った。ルナはそれに気づき、横にステップしてかわし、回転を利用して彼女を掴み、ひっくり返して地面に叩きつけようとした。しかし、彼女は体勢を立て直し、反撃として彼を吹き飛ばそうとした。
埃まみれで少し混乱した様子のルナは、再び母親と対峙するために立ち上がった。
「アクウィスの魔法、水の神の三叉槍」ルナがそう言うと、彼の傍らに絶え間なく流れる水の三叉槍が現れた。彼はそれを両腕に抱え、三つの先端をセシリアに向けた。
「ウォーター・ガトリング」
ルナがその言葉を発した途端、弾丸サイズの高圧水が立て続けに戦場を駆け抜けた。
「地下の盾」
セシリアの目の前に土壁が現れ、水弾の直撃を受け止めた。しかし、水弾は半分以上貫通し、かなりのダメージを受けていた。
「確かに少しは耐えられる…ヴェントゥスとアクウィスの魔法、ガトリング・カタストロフィ。」
三叉槍は結晶のように凍りつき、水弾は速度と威力を増した巨大な氷の破片へと変化した。土壁は瞬時に崩壊した。
しかし、標的は壁の向こう側にはなかった。
「サブテラン魔法、土の奔流。」
岩と砂の激流がルナのいる場所に襲いかかったが、瞬時に津波のような水流によって阻まれた。ルナが発動したアクウィス魔法「潮の壁」だった。
「うっ…くそっ、危なかった。」
「ん?不意を突かれたかな?」
「衰えてないね?短い詠唱でもついていけないよ。」
「そうかもね…でも、絶好調とは言えないわ。」セシリアはそう言いながら、まるでウォーミングアップでもしているかのように、まだストレッチをしていた。
「うーん…じゃあ、母さんを完璧な状態にさせるわけにはいかないわ。もうすでに、これは大変なことになりそうな予感がする。」
「頑張ってね、ダーリン。」彼女はそう言って、微笑んだ。彼女は突撃の準備を整えていたが、ルナは空気が急激に変化したことで初めてそれに気づいた。
「サブテラン魔法、武器召喚、アダマンティンの剣。」セシリアがそう唱えると、地面から紫色の輝く剣が浮かび上がり、それが彼女の掌に触れた瞬間、彼女は飛び出した。
彼はセシリアを阻もうと三叉槍を投げつけたが、彼女はそれをあまりにも素早くかわしたため、まるで貫通したかのようだった。
「ああ、くそ…アクウィス魔法、振動流!」
剣の一撃は蛇行する水流に阻まれ、その勢いは強烈に逸れ、あるいは完全に無効化された。
勢いが衰えたルナは、反撃のチャンスを見出した。
「アクウィスとヴェントゥスの魔法、雪の道化師の短剣。」
精巧にデザインされた二本の結晶状の氷の刃が、美しさと同時に威圧感を漂わせながら、ルナの目の前に現れた。その瞬間、ターコイズブルーのオーラが彼を包み込み、彼は姿を消した。
彼はセシリアの背後に再び現れ、彼女には切り傷や擦り傷が残された。もし刃が命中していれば、致命傷になっていたはずの傷だ。これは、彼の母親が身にまとっていた鎧と物理的な防御力の強靭さを物語っていた。
「おや?ずいぶん速いじゃないか。君の印の力を使っているのか?おそらくヴェントゥスだろう。『疾風』に似た感じだった。」
「ずっとそうしてきた。」
「それで、それは私の異名を奪おうとしたのか?」
「それは?」
「大陸最速の女。」
「ママ……でも、俺、男の子だよ……」ルナは得意げな笑みを浮かべながら言った。
「ずいぶん生意気ね。あなたには色々教えてあげなくちゃいけないみたいね」母親は皮肉っぽく口を尖らせながら答えたが、その魔力は刻一刻と濃密で不気味なものになっていった。
「俺が許す限りはそうはしない」とルナは答えた。重苦しい魔力に少し汗をかきながら、「アクウィス魔法、武器召喚、アクア・シミター」と続けた。
彼は瞬時に距離を詰めたが、アダマンタイトの刃で受け流され、蹴りで空中に吹き飛ばされた。
衝撃から十数メートルほど地面を滑走した後、彼は体勢を立て直し、再び突進を試みた。
「ウィンドカッター 、遅延。」
「しまった!」ルナは叫んだ。加圧された風の刃が彼の両脇を襲った。彼はくるりと向きを変え、襲い来る風に備えた。そのせいでセシリアから目が逸れてしまった。
「それはまずい行動だ。」
「えっ?あぁ!」
彼女は距離を詰め、剣の平らな面で彼を斬りつけ、無数の風の刃の中に叩きつけた。
「ううううっ!ヴェントゥスブースト、シルフス・アイギス!」
ルナが風の刃に触れようとした瞬間、鮮やかな緑色の盾が彼の体を包み込んだ。刃は瞬時に無効化されたが、剣の一撃の勢いは依然として彼を相手から遠ざけた。
「ちくしょう…この戦いの大半において、俺は防御することしかしてこなかった…」
「何を独り言を言ってるんだ?」
「えっ!?いつ?」
「私が一番速いって言ったでしょ?」
「あぁ、くそっ…」
ルナはアダマンタイトの刃をかわしながら言った。
「もう喋るな。勝負しろ。」
「うっ、くそぅ、ちょっと待ってくれよ、ちくしょう……ヴェントゥスブースト、テンペスト・シミター」ルナは、かわした攻撃の衝撃からまだ立ち直れずにそう言った。
彼が手にしていた水の剣は完全に凍りつき、刃からは冷たい空気が漂っていた。
セシリアは間髪入れずに猛攻を仕掛け、ルナはそれをかわし始めた。そしてルナも負けじと、生物を真っ二つに切り裂くほどの威力で反撃した。
ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガチャン。
金属音が闘技場に響き渡り、一撃ごとに紫と青の閃光がぶつかり合った。この攻撃はルナの剣が欠け始め、まるでレイピアのようになるまで続いた。次の一撃で剣は粉々に砕け散り、セシリアは武器を落とし、容赦なく攻撃を仕掛けた。
ルナは彼女を蹴り飛ばしたが、次の瞬間には彼女と肩を並べて組み合っていた。
「これって、楽しいだろ?」
「妹が母さんと同じにならないことを心から願ってる。」
「あんなこと言っても、まだそんな気の利いたことを言えるの?」
「まだ始まったばかりなんだから、終わるわけにはいかない。」
「そう? 誇りに思うわ。おや?」
ルナのフェイントで崩れた組み合いは、ルナがセシリアを投げ飛ばして地面に叩きつけたところで終わった。追いかけたルナは、セシリアの脇腹を蹴り、彼女を宙に浮かせたが、それでも彼女は横向きのままだった。
「武術、電光石火の連撃」
流れるような動きで、正確無比なパンチとキックの連打がセシリアを襲った。セシリアは全ての攻撃を耐え抜き、地面を転がりながらも、軽々と立ち上がった。
間髪入れずに、セシリアは反撃を開始した。
「エルフの術、岩砕掌、破壊。」
間合いを詰め、彼女は容赦なく雷鳴のような破壊力で連続攻撃を繰り出した。一撃一撃が、まるでハンマーで全力で殴られたかのような衝撃だった。
ルナは攻撃を繰り出すたびに、次の攻撃に備え、刻一刻と防御力を高めていった。しかし、それはセシリアの攻撃を阻むことはなかった。彼女の攻撃はますます激しさを増すばかりだった。
「エルフの術、岩砕掌、豪雨。」
まるで無限に降り注ぐ雨のように、攻撃は次々と命中していった。
『ちくしょう、いくら頑張っても無傷では済まないぞ』ルナはそう思いながら、後手に回り、防御の限界まで追い詰められていた。
『母さんはとんでもなく強い。これはスパーリングの試合だろ?』彼はそう考えながら、容赦なく攻撃を受け続けた。『何とかしないと…』
「砂漠の蜃気楼」
「えっ?」
幻術魔法に不意を突かれ、彼女はわずかな隙を作った。ルナはその隙を突いて彼女を数メートル吹き飛ばした。彼は追撃し、さらに力を増して攻撃を仕掛けた。彼女は間一髪で攻撃をかわし、中段蹴りで彼を吹き飛ばした。
ルナは周囲を走り回り、その間に彼は自身の紋章にマナを集中させた。「アクウィスとヴェントゥスの魔法、強化、ハイル・バックショット。」
巨大な氷の破片が母親を取り囲み、彼女を包み込んだ。次々と降り注ぐ攻撃はかわされ、あるいは受け流されたが、彼は母親が防御態勢に入っていることに気づいた。彼は瞬時に姿を現し、彼女の胸に手を当てた。
「龍術、火山破壊。」
瞬く間に、胸を砕くような武術が彼女を反対側の壁に叩きつけた。
「ヴェントゥスの魔法、突風粉砕者」
彼は容赦なく、光り輝く腕を彼女に向かって振り下ろした。すると、大地を裂くような強烈な風の塔が彼女を襲い、壁にめり込ませた。壁には凹みができた。
彼は攻撃を止め、何か被害が出たか確認しようとしたが、くり抜かれた部分は無人だったことに気づいた。
「悪くない戦術ね。でも、お母さんに勝つにはもっと上手くしないとダメよ」と彼女は得意げな笑みを浮かべながら言った。
「クラスメイト相手だったら、もう勝ってたのに」とルナはため息をつき、頭を抱えた。彼はストレートパンチを繰り出そうとしたが、裏拳で打ち返されてしまった。
鼻血を拭いながら、ルナはセシリアに突進した。セシリアは中央で彼と対峙し、二人は激しい打撃を交わした。余計な技巧も、派手さも、技巧的な動きも一切ない。ただ、むき出しの、抑制のないストリートファイト。二人はアリーナ中を投げ飛ばし合い、ルナが必死に距離を詰めようとする中、次々と繰り出される猛攻を繰り出した。後退させられた者は、すぐに中央へと戻ってきた。
壁に叩きつけられる。そして、すぐに戻る。
床を転がりながら、すぐに反撃。
一撃を受けてよろめき、すぐに反撃。
電光石火の速さで、彼らは執拗に反撃した。
品のない罵詈雑言の中、彼はセシリアの拳をかわし、関節技をかけて地面に押さえつけようとした。彼女はその勢いを利用して関節技から抜け出し、再びバックフィストで彼を殴ろうとした。
彼は腹部への蹴りで応戦し、続いて膝蹴りを繰り出した。ルナは追撃しようと空中に飛び上がったが、阻まれた。セシリアはヴェントゥス魔法で軌道を変え、凄まじい力で肘打ちを食らわせた。ルナは背中から地面に叩きつけられ、ニーラが見守っていた場所の近くに着地した。ルナはすぐに立ち上がり、服についた埃を払い、痛む体を伸ばそうとした。
愛らしい妹に手を振ろうとする間もなく、ルナが目を付けていたセシリアが姿を消し、彼と妹の間に現れた。
「あぁ、くそっ…」
「ヘビー・インパクト、マウンテン・クリーバー」
セシリアは両手で彼の胸を叩きつけ、その武術は彼を闘技場の壁際まで吹き飛ばした。
ルナはややパニック状態に陥り、彼の印を発動させた。
「ヴェントゥス魔法、シルフの息吹、アクウィス魔法、水蛇の尾」風魔法が彼の動きを鈍らせ、背後から柔らかな風が吹き抜けると同時に、彼の手には連結した着脱可能な刃を持つ水の剣が現れた。
ルナが着陸しようとしたまさにその時、セシリアが猛スピードで接近してきた。しかし、目の前の地面を水刃がかすめるのを見た途端、刃が当たった場所から水が噴き出し、彼女の動きは一瞬にして止まった。
「危なかったわね?」
「何とかして母さんを止めなきゃいけなかったの…」
「あら、ルウちゃん苦戦してるの?そんなに弱っているはずないでしょ」セシリアは彼の方を見ながらそう言った。
「家族だからってこれまでずっと清廉潔白であろうとしてきたのに、もうそんな必要はないみたいね。」
「ルナが何かを隠しているのは明らかだったわ。つまり、あなたの周りの人たちはみんなそういう人たちなのね。」
「母さん…」
「悪気があって言ってるわけじゃないのよ。ただ、あなたの喧嘩の様子を見て事実を述べているだけ。どうやら、あなたのお父さんの影響もあるみたいね。お父さんもあなたに甘くなってきたわ。」
「冗談でしょ。」
「もしこれがあなたのこれまでの戦いの結果なら、無理よ。どちらにしても、あなたは負けるわ」セシリアはそう言って、緊張を解き、構えを緩めた。
「まあ、今回は少なくとも勝とうと努力するよ」ルナはそう言って、構えを取った。
「おお、楽しみ!」
「何度も言ってるけど、これはあくまでスパーリングのつもりなんだ…」彼はそう静かに言い、受けたダメージを振り払おうと軽く首を振った。
「そこにある剣、面白いわね。それで私に挑むつもり? すごく興味深い。まるであなたのお父さんみたい」彼女は疑問を抱きつつも興味津々といった様子で言った。
「正直、使うつもりはなかったし、使いこなせるかどうかもわからないけど、とりあえずやってみよう」と彼は答えた。
彼は剣を振り下ろし、再び地面を切り裂き、水しぶきを空中に噴き上げた。剣はセシリアの手の届く範囲にまで迫ったが、彼女は挑発にも全く動じなかった。ルナが剣を引き戻そうとすると、セシリアは剣と剣をつなぐゼラチン状の鎖をしっかりと掴んだ。彼は再び鎖を引っ張り、剣の勢いを利用して彼女を自分の方へ引き寄せようとした。
勢いはセシリアに有利に傾き、彼女は攻撃を仕掛けようとしたが、ルナは武器を消し去り、自ら武術を繰り出した。
「エルフの術、サイレント・フォール。」
どんなに強大な樫の木でも根こそぎ引き抜くほどの威力を持つ片手の一撃が、セシリアの胸を貫き、体から抜けた衝撃波が空気を歪ませた。遅れて伝わる衝撃波は、彼女の体を激しく揺さぶり、鞭打ちのような動きがはっきりと見て取れた。
「よし、どうやら勝負の時が来たみたいね、ルナ」セシリアは立ち上がり、服についた埃を払いながら、険しい表情で言った。
「でも、まだ少し手加減しているみたいね。私は血も出していないわ」
「でも、全力で戦っているよ」
「そう?もっとしっかり教えたはずなのに…もしかして、私のことを友達だと思っているのかしら?じゃあ、ちょっと叩いて分からせてあげるわ。とはいえ、恨みっこなしよ。だって、この勝負はあなたが望んだことだもの」
...
試合の残りは一方的な展開となり、最終的にセシリアが勝利を収めた。
セシリア・ウルハイドってめちゃくちゃ強いよね?ベテランだから経験の賜物ってことにしておきたいけど…でも、私がそう言ったことは彼女には内緒にしてね。私が作ったキャラクターなのに、彼女はすごくパワフルな存在だと思う。もしかして、ただテンプレートをなぞってるだけ?そうかもね。私はこういうタイプのキャラクターが好きなんだ。




