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俺は今でもVRMMOで最強《アルティメット》プレイヤーのままだ!  作者: イブキ
俺は今でもナンバーワンプレイヤーだ!

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新装備を買うために街へ

 視界の端に新たなシステムウィンドウが浮かび上がった。

『Lv 30 到達 - 以下の機能がアンロックされました』

・クーリエ(配達人)

・ギルドの設立および参加

「クーリエ? まあいい、ギルド機能はかなり熱いな。後で詳しく確認するとして、とりあえず街に戻ろう」

 ハジメは数分かけて、自分が落ちた大穴の壁をよじ登った。

「壁登りってこんなにスタミナ消費するのかよ。さっきのボス戦よりスタミナ使ってるぞ」

 数分後、ようやく地上へと這い上がる。

「ふぅ、時間かかったな」

 立ち上がり、周囲を見渡すと再びあの不思議な大理石の像が目に入った。

「ゲーマーとしての本能がめちゃくちゃ刺激されるスタチュー(像)だが……HPが1じゃ帰る一択だ。無謀なプレイで何度も痛い目を見てきたからな。絶対また戻ってくるぜ」

 ハジメは街へ向かって歩き出した。道中、設定メニューを開き、オークと両生類のボス戦で録画したクリップ動画を確認する。

「よし、これでボス2体分だ。後で俺のプロフィールにアップしておこう。あの像のスクリーンショットも撮れたしな」

 坑道の出口へ近づき、再び太陽の光が差し込む外へ出た瞬間、ハジメは大きく腕を伸ばして背伸びをした。

「本当に綺麗なグラフィックだ! 太陽の光がリアルすぎて、アバター越しに熱を感じるくらい——」

 ドスッ!

「……は?」

HP:0

 ハジメは、太陽の光が届かない日陰の茂みに潜んでいたスケルトンアーチャーの矢に射抜かれたのだ。

 次に目を覚ますと、そこは『黄金の嘴亭』の宿泊部屋のベッドの上だった。

 数秒間、天井を見つめ……。

「ふざけんなああああ!!」

 ハジメはベッドから跳ね起き、怒りに任せて床を蹴り、地団駄を踏んだ。

「俺の記念すべき『初デス』が、あんなモブの不意打ちだなんて信じられねえ!」

 ひとしきり暴れた後、ハジメは冷静さを取り戻した。

「まあ、一瞬で街に戻れた(デスルーラした)と思えばいいか」

『通知:スポーンポイント(復活地点)が設定された状態で死亡すると、その場所で復活します。スポーンポイントの「宿泊権」が有効な間は、アイテムロストのデスペナルティは免除されます』

『情報 - 宿泊権について:宿屋で一定期間の料金を支払う、または自宅を購入し「ベッドメイキング」の儀式を行うなどのイベントで取得可能です』

「なるほど、全ロスを避けるためには、快適なベッドを確保しとくのが必須ってわけか」

 ハジメは部屋を出て一階へ降りると、仕立てテーラーを探して街へ出た。

「NPCの村人みたいな初期装備の格好はもうウンザリだ」

 服屋を見つけると、ハジメは着ていた初期装備を全て売却し、アバターを全裸(素っ裸)の状態にした。

 ※『グラン・アストリクス:レクイエム』では圧倒的な自由度と没入感を追求しているため、装備を全て外して「全裸」のままプレイすることも可能である。ただし、画面を見ているプレイヤー自身が『セーフモード(コンテンツフィルター)』をオンにしている場合に限り、年齢制限や個人の好みに配慮して、全裸のキャラクターには自動的なモザイク処理やぼかしがかかって見える仕様になっている。

 ハジメは新しい服を購入し、早速装備した。

 指なしの黒いグローブ、長袖の白シャツ、その上に胸部から肩までを覆う金属製の胸当て(ブレストプレート)。腰部にもアーマーを巻き、左腕には金属の装甲、右腕には小さなガントレット、そして金属製のブーツを履いた。ズボンは赤色で、アーマーのパーツはすべて銀色で統一されている。

「よし、これで新品の冒険者って感じだ!」

【現在の所持金】ゴールド:301 ➔ 280

 店を出て、次は鍛冶屋へと向かう。

「こんにちは!」

(俺の『弁舌』のステータスが実戦でどう機能するか、テストするにはちょうどいい機会だ)

「おお、偉大なる英雄よ! 本日は当鍛冶屋に何をお求めで?」

「武器をいくつか探してるんだ。この太刀はすでに持ってるんだけど」

 ハジメはインベントリから太刀を取り出した。

「これとは少し違う役割を持てる、別の武器が欲しくてね」

「当店には様々な業物が揃っております。きっとお客様の興味を惹くものがあるかと」

 ハジメは店のカタログと武器のショーケースを眺めた。

「よし、これにするよ」

「ありがとうございます。お代は100ゴールドになります」

 ハジメの瞳が鋭く光った。

(さあ、ショータイムだ!)

「この店には喜んで満額払いたいところなんだけど、あいにく今は少し金欠でね。次のクエストの報酬は倍になるはずなんだ。それに、俺がアンタの店の武器でトドメを刺したと知れば、他のプレイヤー(英雄たち)もこぞって買いに来ると思うぜ?」

 ハジメはNPCの鍛冶屋をじっと見つめながら心の中で呟く。

(このゲーム、システム内のダイスロール(判定)は不可視なんだよな。だから、交渉が成功したかどうかはNPCの表情やリアクションから読み取るしかない……頼む、成功してくれ!)

 鍛冶屋のNPCは顎に手を当てて提案を検討した後、口を開いた。

「……分かりました。今回は特別に協力しましょう」

(よっしゃ!)

 インベントリに新たなアイテムを加え、ハジメはホクホク顔で店を出た。

【獲得アイテム】

鎖鎌クサリガマ

・弓と矢

・基本的な防具

【現在の所持金】ゴールド:280 ➔ 70

 ちなみに、このゲームでは通常のコモン・アローの消費数はカウントされない。つまり通常の矢は無限に撃てる。ただし、毒矢や**ワープのテレポートアロー**といった特殊な矢は消費アイテムとして扱われる仕様だ。

「完璧だ。さあ、次は……」

「おい、あんた。ずっと探してたんだぞ」

 突然声をかけられ、ハジメが不思議そうに横を向くと、そこには一人の男が立っていた。

 飛行帽アビエイターハットを被り、質素な村人の服を着た白髪と白髭の老人。斜め掛けにした革袋をごそごそと探り、NPCは3通の手紙を取り出してハジメに差し出した。

「ああ、なるほど……。これが『クーリエ』ってやつか」


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