再び燃え上がる意志の炎
『グラン・アストリクス:レクイエム』のBGMはマジで評価が高い。プレイヤーの集中力や周りの話し声、気温、その場の雰囲気に合わせて、自動で曲調が変わるシステムなんだ。そして今、そのBGMは最高にアグレッシブに鳴り響き、「飢えた鋸刃」トルクラルのヤバいオーラをガンガンに煽っていた。 「俺が10歳の時、新しいAIシステムが出てVRゲームはガラリと変わったんだ。当たり判定が完璧になって、プレイヤーの実力やアイデアがダイレクトに結果に出るようになった」 「10歳から13歳まで、俺は色んなゲームでトップに立った。格ゲー、MMO、それに大して好きじゃないレースゲームや、ただの釣りゲームでさえも1位を総なめにしたんだ」 「全盛期から5年離れていたとはいえ、俺が『アルティメット・ゲーマー』じゃなくなる理由にはならないぜ!」 ハジメは前へと進み出ながら叫んだ。 「クラング! こいつは俺に任せろ!」 「お前、正気か!?」 クラング!が怒鳴り返す。 「お願いだ! あいつが全部ぶっ壊しちまう前に、お前の荷物と俺のクエストのワインを回収してきてくれ!」 ハジメは迫り来る巨大なチェーンソーの一撃を紙一重でかわしながら叫んだ。 「こいつをソロで倒すのは、かつての自分がどれだけやれたか……俺自身に思い出させるための義務みたいなもんなんだ」 「このオークをドン底に沈めながら、もう一度俺の闘争心を鍛え直してやる!」 ハジメは逃げるのをやめ、戦闘の構えをとった。 装備は初期の村人の服のみ。防具はすべて海賊船の女船長に渡してしまったため、防御力は皆無だ。ポーションもなければ、身を守るものさえない。一発でも攻撃を食らえば、即座に死んで戻される。 手にあるのは一本の太刀と、絶対に勝つという意志の炎だけ。 ハジメは単身、巨大な敵へと斬りかかっていった。




