『外の世界は……』
シェイラが、アウグストで《葬儀屋》のパテカトルの回復薬の実験に巻き込まれている時期に、シャーレがディルカンを出て、次の国へと向かった。
私はディルカンを出て、幌歩竜車に乗って、次の国を目指した。
地図を広げ、まじまじと見つめる。
「おい、アンタ。何処を目指しているんだ?」
向かいの席にどかっと座る緑髪の中年男性が聞いてきた。
「オクトベルだ。それがどうした?」
「行き先が一緒か気になっただけだ。すまん……」
男性が頭を軽く下げてきた。
「ふぅー……」
私はディルカンで出逢った少女について、考え出した。
彼女には師匠と呼べる人物が居るとのことだった。
私は……彼女のように恵まれてはいない。
住んでいた里には、師匠と呼べる人物は居なかった。里から出ていき、帰ってきた長耳族は一人も居なかった。
外の世界は……まだ過酷な目には遭ってない。
旅に出たいという想いは私も抱いて、彼女と重なる。
緑髪の中年男性の仲間であるローブを羽織った女性に声を掛けた。
「あの……貴女達は冒険者ですよね?何処から何処までを旅して、何を見てきたんですか?教えてくれませんか」
ローブを羽織った女性が緑髪の中年男性と顔を見合わせ、ぶふっ、と吹き出し、謝ってきた。
「俺達は——」
幌歩竜車は進み続ける。
緑髪の中年男性の冒険者パーティは10ヵ国以上の情報を話してくれた。
緑髪の中年男性らの話してくれる話題はどれも興味深いものばかりで、退屈しなかった。
魔物や盗賊に襲われることなく、陽が沈み暗くなり、休憩して、翌日になると進みだすということになった。
金髪の青年が野営の見張りを務めることになり、私は就寝できることになった。
気付いたら、陽が昇り出して、辺りは明るくなっていた。
「おはようございます、シャーレさん」
金髪の青年が起床した私に挨拶した。
朝食を摂り終わり、幌歩竜車が進み出した。
《葬儀屋》という冒険者パーティのシウテクトリが酒場で酒を呷っていた。
「シェイラさんは最強だ〜〜!!!!」
「シウテクトリ〜飲み過ぎだぁ!!シェイラさんはどうしてるんだ?」
「あれぇ〜〜シェイラさんがいねぇ〜〜!!!どこだぁぁああぁぁぁ〜〜??」
「最初から連れてきてねぇじゃんか!!!ぷはははははは!!!!」
「ほんとお前ら飲み過ぎだってぇのっっっ!!!」
飲みすぎた酒場の客が騒いでいた。
《葬儀屋》の屋敷に《スプレア・ヴィルド》のセクメトが扉をノックせず、乗りこんできた。
「シェイラぁああぁぁぁっっ!!!パテカトルの実験なんぞせず、闘おうぜ!!!」
「あぁああぁぁぁっっっ!!!!吹き出してる吹き出してるっっっ!!!アンタの相手なんかしてられるか!!!帰れ!!!」
シェイラは、セクメトを追い返そうとした。




