ケルさんのご飯係になった理由②
ショウコに呼ばれショウは王の間のドアを開いた。
何時、見ても豪華な作りと凛とした空気が流れている。
その中で一際、豪華な玉座に座っているのは新しく魔王になった姉のショウコだ。
頭にはスカルをモチーフにした王冠を被り、腰まである黒髪を無造作に背中に流している。
黒色のマーメイドラインのドレスを着て優雅に微笑んでいる。
「お元気そうで。魔王様」
膝まずいて挨拶をするショウ。
同じ時に作られたとは言え自分より高い地位にいるからだ。
そんなショウの様子を見てショウコはケラケラと笑いだした。
「魔王様って呼ばなくて良いよー!何か中二ぽいから嫌なんだよねー(笑)あと膝まずかなくて良いからー!ウケるわー(笑)」
「じゃあ、姉ちゃん。俺の待遇決まった?」
普通にして良いっと言われ、ショウは即座に立ち上り何時も通りにショウコに接した。
笑っていたショウコだが、直ぐに真面目な表情になった。
「ショウさぁ………この世に行く気ない?」
「この世……って生きている人間がいる世界?」
「うん。そこ」
「別に良いよ」
「即答!もう少し悩むかと思ったのに!!」
つまんない!など言いながら、ショウコは足をバタバタさせた。
「知らない世界に行くのは不安だぁ~!とか言うかな~って思っていたのに!!」
「解った、解った」
「何かー!やる気無しー!!って感じだなぁ……ショウは無気力なんだよねぇ……」
「僕を作る時、ちょっと配分間違えたって聞いていたからね。それでだと思うよ」
「んーまぁ…私も作るの3日掛かったわりに、こんなんだもんねぇ……って!話が変わるけど……」
パチン!っとショウコは指を鳴らすと、ショウの手元に黒色のファイルが現れた。
ファイルの表紙にはこう書かれている……
ー・ハムラビノート・プロジェクト・ー
何だこれ?っと思いながら表紙をめくると、地獄の番犬ケルベロスに似た犬の写真が目に入った。
「ハムラビノート・プロジェクト?……これってケルベロス?」
「私が新しく作ったワンちゃんだよー!ケルベロスをベースに作ったからぁ……名前はケルさん!!」
ファイルをパラパラとめくるショウ。
見てみると尻尾がフワフワの可愛らしい犬だ。(あの世基準だと)
しかし人間の体をオモチャにして遊んでいる姿。
楽しそうに大型動物の頭がい骨をバリバリに食べている姿などなど……
「(確実に怪物の部類に入っているなぁ……)」
頭がい骨はジャーキーかっとショウは心の中で突っ込んだ。
そんな事を考えていると知らずにショウコは話を進めた。
「ケルさんの食事は罪を犯した人間の心と体の機能なの!まあ何でも食べるんだけどね♪それでショウが、ケルさんをこの世に連れて行って、私が「コイツ地獄に堕ちた方が良いかなぁ~」って奴が居たらショウに連絡して、ケルさんに食べてもらう!!んで!その食べられた人間の名前と罪状をショウが記録するって仕事をお願いしたいのー!!」
「……何で食事の記録をするの?ケルさん胃腸弱いの?」
「だ・か・ら!ショウが記録すれば、そいつが死んだ時に裁判無しで、即地獄行きに出来るじゃん!!「目には目を!歯には歯を!」のハムラビ法から名前を取ってハムラビノートね♪」
「そういう事ね……」
裁判を始める前に地獄行きっと解っていれば、仕事が楽にはなるだろう。
あの世でも裁判を始める前は色々な手続きが必要で、地味に大変なのだ。
「どう?名案じゃない!!」
ショウの手を握り、上機嫌なショウコ。
しかし問題が1つある。
「名案だと思うけど……ケルさんの大きさ、この世の世界だと………ゾウと同じサイズだよね?姉ちゃん考え無しで作っただろ?」
「テンション上がって大きく作り過ぎたのは反省してるよ!でも大きさと顔の怖さの問題はこれで解決出来るし!」
はい!っとショウの手に赤色の首輪を渡した。
「首輪……?」
「その首輪着けると……えーっと豆柴だっけな?…その犬と同じ感じになるから!!」
「ふーん…なら別に良いよ」
「ありがとー!大好きー!!」
「でも、僕からも1つ条件がある」
抱き付こうとするショウコを可憐に避け、ショウは一つ条件を出した。
「家来は無しでお願いします」
「えー!!居ないと不便じゃない!!?全部自分でやらないといけないんだよー!!」
「居ないと不便なのは姉ちゃんだけだよ……何で毎回カレー作るだけで部屋が爆発すんの?……僕は家事掃除は変なメイドより出来るし。1人の方が楽だし」
「カレーは………知らない間に爆発しちゃって………まぁ……家来無しでも良いよ!じゃあ、もう1つお願いして良いー?」
「……なに?」
何時も以上にニコニコ笑うショウコがお願いした事……
それは………
「この世の学校にショウがしっかり通う事!」




