スミレさんのお漬物⑤
翌日………
朝早く、病院からスミレの意識が戻ったと連絡があった。
「風邪なので休みます」っと淡々と学校に連絡するとショウは病院に向かった。
「スミレさん。大丈夫ですか?」
「あらー、ショウ君。学校はどうしたのー?」
頭に包帯を巻いているが何時も通り、スミレはニコニコと微笑んでいた。
その姿を見てショウは一安心した。
「あ…今日は創立記念日で…………そちらの方は?」
スミレの隣に居る、スラリッとした上品な女性が。
息子さんのお嫁さんかなーっとショウは思っていたが……
「息子のジュンよー」
微笑みながらスミレはショウに自分の息子……基、娘を紹介した。
「へぇ………………え?息子?」
「あ、今は娘かしらねぇー。うふふ♪」
「ちょっと!!お母さん!!…えーっと……初めまして……ジュンです。隣の部屋に住んでいるショウ君だよね?…母がお世話になってます」
「………あっ、こちらこそお世話になっています……ショウと言います」
呆然としながらもショウも礼儀正しく挨拶&自己紹介をしたが、ジュンにバレない様に眺めていた。
何処からどう見ても完璧(あと美人)な女性………
「(……人類って……不思議だ……………)」
ショウの中で「この世に来てから驚いた事ランキング」第3位になった……
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
病院の帰り道、ショウコから電話が掛かってきた。
「ショウー♪元気ぃ~?」
「はいはい。元気ですよー。姉ちゃんは元気そうだね」
何時も以上にテンションが高いショウコに何時も通り無気力な反応をするショウ。
何故、ショウコの機嫌が良いのかショウは解っていた。
「うふふん♪だってショウが久々に「力」を使ったって書いてあったからさぁ~♪」
「あー………やっぱり不味かった?」
ショウは少し苦笑した。
自分の持つ「力」だけはあまり使わない様にショウ自身は決めていた。
自分の正体がバレる事や色々と面倒になる事が目に見えていたからだ。
「ううん♪そんな事ないよー♪寧ろジャンジャン使えば良いのにー!!!!」
「ジャンジャンって………恐怖の具現化は疲れないから問題ないけど「力」を使うのは色々と面倒だから無理です」
「ええぇーーーーー!!!「力」使っている時のショウって、すっごいカッコいいのにぃーー!もっと使ってよおおおお!!」
「はいはい。検討しておきますね」
「ちえぇ………じゃあ、何で今回は「力」を使ったのか理由教えてね!一応、書類上残さないといけないからさー」
ブーブー文句を言いながら、ショウコは「力」を使った理由を聞いた。
「理由は……………あの3人が押込み強盗をしたせいで、ぬか漬を貰えなかったから。私怨だけど大丈夫?」
「えぇーーーーっと……「ぬか漬を貰えなかったから(私怨)」だねー♪特に問題は無いよー。じゃあねー♪また連絡するねー♪」
電話を切るとショウはぐーっと背伸びをした。
「何か………あんなに緩くて大丈夫なのか………」
少しばかり不安に感じながらも、ショウは特売のしているスーパーに向い歩き始めた。
その5日後……特に問題は無く、スミレは無事に退院した。
それと同日、廃墟と化したホテルの中で全身凍傷の3人の若者が発見されたっと報道があった。
発見された現場の近くには押込み強盗で盗まれた通帳・宝石類などが見付かり、犯人の可能性が高いっと発表されたが、全身凍傷の原因は不明だった………
更に余談だが、ショウは無事にスミレさんのぬか漬をゲット出来たのであった…
パリポリ………
「胡瓜…ウマー」




