サイボーグ75
サイボーグ75
僕が僕であったものが無くなっていく
歯医者に行った
あの椅子に座るには
いつも勇気がいる
あの電気ドリルみたいなのは
いつの間にか無くなっていた
それでもガガガ、ギギギの音に反射する
条件反射で目をつむる
痛い思い出のよみがえり
目の前にはレントゲン写真
写真は治療の時に必ず貼られている
肉の無い俺の自画像だ
歯を正面から見せるため
左右の顔は拡大し
まるでプレデターのような頭蓋骨
あと何年かしたら
自分の顔も無くなって
頭蓋骨すら残らない
目の前のレントゲン写真
あいつは俺に見せている
こいつがお前の顔なんだ
こいつがお前のホントの姿
お前はそれでも生きいてる
歯の骸骨は二本の爪で顎にしがみつき
白く写っているのは被せもの
俺の目には水晶体が無い
人工のレンズが入っている
整形外科のドクターは
脊椎の間に支柱を入れれば
痛みは無くなりますよと言う
人工のレンズ、脊椎、歯
なんだ俺はサイボーグじゃないか
だんだん俺が無くなっていく
でも意外と普通に生きているものだ
親からもらった体じゃなくなっていく
でも、俺は俺で変わっていない
ハートのあるサイボークなんだ
心の中は代わりが利かないんだ
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