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藩王、別荘を買う-1 ミミの要望

魔王軍撃退による功績のよりはれてラシュトスタン藩王となったタカノだったが...

そこには割と世知辛い話があった。

とにかく、自分の領地で過ごすための別荘を買うことになったラシュト家であった。


功績を讃えられて、

ミミの故郷であるラシュトスタンの藩王の王位を皇帝から承ったタカノはそれと同時に臨時報酬としてかなりのボーナスも入り込んできた。


帳簿をつけながら、

積み上げられた銭箱を見ながらタカノはあることに悩んでいた....


理由は、

タカノは現在ラシュトスタンを治める王様という立場ではあるものの、

あと8年は今まででしていた義禁大尉という武官としての仕事があるので都とラシュトスタンを行き来することになっている。


後でミミの友人でラシュトスタンの隣国バターミン藩国の王女イリスから聞いたところ....

多くの藩王が都で何かしらの官職についているらしいことも聞いてた。


「まさか、王様って言って兼任でやらせるなんてな〜

ほとんど、現地の執政官任せでもいいらしいけど何かあったら責任取らされるってなかなかリスク大きいよね...」


シンがそう心の中の言葉を代弁したかのようなことを言った。

タカノはそれを聞いて、ため息をつく。


「しかも、移動費は帝国の国費から出ないで、藩王のポケットから出せってね。


仕組みが江戸時代の参勤交代と同じかよって思ったよ」


「そうだもんなー。藩王はあくまでも皇帝の臣下って扱いだし...」


「受け持ったのはいいものの....朝貢もしないといけないからな。

そう言った面で忙しくなりそうだ」


このプライベートのポケットマネーでラシュト藩王として現地に屋敷を建てないといけないらしく

多分大半は持っていかれることが目に見ていてどこか、心が寂しいものがあった。


「ミミの話だと、ラシュト朝の宮廷があったそうだけど魔王軍の攻撃の後は緑旗が駐屯して拠点にしてるらしいし。


もしそれを買取と補修するとかなりでかいらしいから色々維持費で持ってかれそうだからな...


あくまで元々は西国諸国との窓口やら交易拠点ってので貿易とサファイアと魔鉱石の鉱脈が豊富ってだけあって....

豊かすぎてでかい宮殿らしいしな。


ディンワン先生の話だと、二代前の頃は魔鉱石バブルで焔皇帝陛下よりもお金持ってたって話だしな...」


「ミミの姉御どんだけいいところのお嬢様なんだよ...」


やれやれと顔をするシンを見てタカノは帳簿を閉じてこう言った。


「とにかくだ。現地で過ごすための家入る。

要は別荘だ。まさかこっちの世界でそんな生活するとは思わなかった....」


ーーーーー


「別荘ですの?私の本心を言えば、

私の昔の住んでいた王宮をタカノの私の愛の住処にしたいですわ」


とりあえず初めにタカノはミミに要望を聞いてみることにしてみた。


ミミはニコニコしていたが、

タカノから受け取った帳簿を見るなり真剣な顔をし始めた。


「焔帝にだいぶ下に見られていますわね....ま、でも怒ったところで仕方がありませんわ。


でも、

たったこれだけのお金で領地経営をしろだなんて...」


タカノもミミも今回の報酬金と藩王として年間に入ってくる税収とそこから引かれる朝貢代とその他、焔帝国に移管している事務代を見てほんの少しだけしか残らないのを見て渋い思いをしていた。


「結局、藩王という立場をいただいただけで。何もお変わりありませんわね。

タカノ様、出世するのですわ。黒旗衛将になれば...」


ミミはそうタカノに訴えかけたが、タカノはため息をついてこう言った。


「貴族院で否決されたと...陛下から」


ミミはそれを聞いてため息をついた。

この世界の常識には長けているミミだからこそその理由も分かっているのだろう。


「異世界人と言えど、この国に尽くして傷ついてきたタカノ様が評価されないなんて...悔しいですわ」


「確かにな。でも、嘆いても仕方がない。俺たちはあくまで禁城でいれば客人みたいなもんだし...」


「分かってますわよ...でも、タカノ様の努力が報われてまっせんわ」


ミミはそう言って、

唇を尖らせて不満そうな顔をした。

ミミはいつもタカノのことを見てくれている。彼女なりにできることはしてくれる立派な妻であるからこその不満を言ってきたのだろう。


そして、タカノはあることを閃いた。


「いや、いい方法を思いついた。これなら...いいかもしれない!」


ミミはそれを聞いて、首をかしげたがタカノは笑みを浮かべて彼女の肩を掴みこう言った。


「とにかく、これはいけると思うんだ。

ダメなのかもしれないが...やるだけやってみたいところもある。みんなを集めてくれ」


「わ、わかりましたわ。タカノ様がそんなにいうのですからきっとうまく行きますわ...」


ーーーーー


タカノが呼び出したのは、

家来のシンとシュンテイ、シュリム。

そして、オーナーをしている冒険者パーティのアルスとエミリ。

そして、居候している冒険者パーティのショウタとアデルを呼び出した。


ミミとリンメイマオも同席して話が始まった。


「えーこれより。第一回ラシュトスタン藩王国会議を開催する。


先に仮ではあるが、俺の独断と偏見で任命するが...」


タカノはそう言って、目の前の書類に皇帝から譲り受けた金印を押してこう言った。


「ラシュト藩政務補佐にシンを任命する。補佐を頼むよ」


シンはそれを聞いて目を丸くしたが、頷いて印が押された紙を受け取った。

タカノは次の紙に玉印を押してこう言った。


「ラシュト藩工務及び商務担当にリ・シュンテイを任命する。よろしく頼む」


「え、私にですか?俺も出世しちまったな....旦那様にはついていくぜ」


シュンテイはそう言って拱手を作りお辞儀して紙を受け取った。

タカノは次の紙に玉印を押してこう言った。


「シュリムには早速頼み事がしたいんだが、大丈夫か?」


「はいなんなりと。旦那様」


「ゲルガ族は働き口というか仕官先を確か探しているんだよな?」


「はい。我が一族は貧しく、細々と生きております。仕事があるのであればきっと一族はお手伝いいたします...」


「ラシュトスタン藩王国の藩兵として100人ぐらい雇いたいんだが、手配はできそうか?雇った分の管理を頼みたい。要は警備……軍務担当だな」


シュリム目を点にさせながら、頷きタカノが押印した紙を受け取った。

その紙の文面を見るなりはしゃぎ始めた。


「うおぉ、このボクがこのボクが一国の国の軍事に関われるなんてぇ〜サイコだぁぁぁぁ」


タカノはそれをみて笑みを浮かべて、

次の書類に印を打ち、アルスとエミリにこう言った。


「アルスとエミリには引き続き、冒険者として動いて欲しい。

もちろん、スポンサーはラシュトスタン藩王だ。

活動もこれからはこの書状があれば公的な証明になるし動きやすいだろう?」


それを聞くなり、アルスとエミリは抱き合って大喜びをした。


「タカノさん!ありがとうございます!!!いやもう、それ冒険者としては最高の極みですよ!」


やったーと大はしゃぎする、アルスたちをみてショウタはどこか羨ましそうな顔をしていた。

タカノはもう一つの紙に印を押してショウタにこう言った。


「ショウタとアデルにも同じ書状を持たせるよ。今後とも協力を頼む」


冒険者の4人は嬉しそうな顔をしながら、4人ともガッツポーズをしていた。


タカノはそれを見てホッと一息をつくとミミがどこか誇った顔をしながらこう言ってきた。


「では、王様。今回の議題をお願いしますわ」


ミミはどうやら分かっていたようで、その一言で一同はタカノに視線を向け直した。


タカノは急な空気の変貌に驚いたが、

今回の議題を発表した。


「ラシュトシュタンに別荘を買おうと思う。それをリゾートホテルとして運用しようと思う」





ラハト「ついに、ついに!悲願のラシュトスタン王家の復活が叶って!城を建てるんですよね!?」


タカノ「いやいや、お義父さん。そんな大層なことできませんけど...」


ラハト「これは!ラシュトスタン王国復興の第一歩です。流石は我が息子にして魔王軍も恐る武勇でも名を馳せるタカノ・ウル・ラシュト王!」


タカノ「褒められるのは嬉しいんですが....あくまでも皇帝陛下の臣下なんですが....」


ラハト「いいですか!?そんなことはどうでもいいのです。とにかく、中原を治めそれを手中にしなさい。

これが、我がラシュト家の悲願!」


タカノ「いや、お義父さん。国を乗っ取るのは恐れ多すぎますっ!ーーーって夢か...」


シン「寝言凄かったけど大丈夫?」


タカノ「いや....多分、大丈夫じゃない。このまま国取りを始めそうな勢いになってた。

とにかく、告知を頼んだよ。もう少し寝させて」


シン「あーん。次回、シンの要望。俺は....綺麗な女の子に囲まれるようなのがいいかなぁ〜ぐへへへ」


ミミ「却下ですわ」


シン「げ、姉御!なぜここに!」

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