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アルスとエミリ旅のきっかけ-2 見捨てられた土地


「ルドなー元気にしてるかなぁ」


アルスはそう言いながら、テーブルに置かれた川魚の唐揚げを大皿から自分の小皿によそっていた。


それを見ていたエミリもその魚の唐揚げをよそい口に含めながらもぐもぐと食べ飲み込んでこう言った。


「故郷に帰ったって言ったけど...彼の街って今じゃ、魔王軍との前線の街になってたんじゃないの?


パリッとアルスは唐揚げを食べながらこう言った。


「そうだよな...」


タカノはそれを聴きながら、湯呑みに注がれたお茶を飲みこう言った。


「そういえば、バルカニアは東ロムルスと魔王勢力とで分断されていたんだよな。

アルスたちの村は...」


その言葉を聞いてエミリはこうどこか悔しそうな顔をしてこう言った。


「はい....魔物に占領されてます。

唯一の救いは多くの人はラハト様とディンワン様の助けもあって国外へ難民として各地に散らばりました。


アルスの家族は今は、コンスタブルに移住しています...

私とアルスがこうして焔帝国で入れるのもラハト様がスポンサーとして永住権の申請をしてもらいまして」


タカノはそれを聞いてふと、義父ラハトのことを思い浮かべた。


「あれ、なんでお義父様がそこにいたんだろう...」


アルスは米を食べてお茶で流し込んでだ、

それを見たタカノは軽く笑ってこう言った。


「そんな慌てて食べなくても」


食事に必死なってるアルスを見てエミリがほっとため息をついて話を続けてくれた。


「ラハト様はその当時、西域や極西の知識人として使節団の案内役をされてたんですよ...ディンサン様は付き添いでした...


本当にラハト様には助けられました...

初めて出会ったのはそのクエストの途中でしたーー」


ーーーー


クエストを受注したアルスとエミリ、それに加えてラルフとルドは目的地である領境にある山を登っていた。


山には森あって自然豊かでどこかのどかな雰囲気を感じさせていたが…


こう言う冒険に慣れているラルフはどこか神妙そうな顔をしながらあたりを見渡していた。


「若様。どうされたんですか?」


そうアルスはラルフに尋ねると彼は首を傾げてこう言った。


「いや、違和感を感じるんだ。以前ここを通ったことがあるんだが、この変な胸騒ぎみたいなのはなかった...」


それを聞いたルドが突然、足を止めてこう言った。


「みんな静かに...何か変な音が聞こえた。森にはないし獣とは違う音だ」


それを聞いて一行は息を潜めて耳を澄ませたすると..

何か猛獣が吠えるような音や太鼓の音が聞こえ始めて地響きがし始めたのを感じ取れた。


それを感じ取った目の色を変えたラルフ剣を抜いてルド指示を送った。


「この先に開けたところがって、反対側を見下ろせたよな。ルド先行できるか?」


ルドは弓を持って頷いて歩き始めた。


「アルスとエミリは俺の後ろに着いて来てくれ...この感じ、尋常じゃない」


息を呑んだアルスは剣を抜き盾を構えて頷いた。怖がっているエミリを盾で軽くこんと突いてこう言った。


「そばにいろ。盾があるから大丈夫」


「う、うん...」


アルスはそんな恐怖ですこし動きが固くなっているエミリを見てこう言った。


「エミリはここまで怖がるのも初めてだな...」


「冗談じゃないほど、やな魔力を感じるわ。今まで感じたこともないような」


エミリはそう言うなり、首を振った。


地響きなのか地鳴りなのかそんな音が森包んでいた。

ちょうど、見下ろせる手間のところルドは身を低くして木の影から下を見下ろした。


そして無言で、手招きをしたのでラルフとアルス、エミリは恐る恐る木の影から覗き込んだ。


眼下には本来であれば綺麗な平野が広がって、隣の領の村や関所の砦が見えるはずなのだが...

そこに見えたのは。


「魔王軍っ」


思わず言葉を漏らしたのはエミリだった。

平野の一面を黒い影が埋め尽くしていた。村や砦には火が付いていて黙々と黒い煙が上がっているのが目に入った。


黒い影の正体は武装した人型の魔物だろう。長い槍や大きな旗が靡いているのが目に入ってきた。


ラルフは目を凝らしながらこう言った。


「数は軽く10万はいそうだな...ルド、あの魔物見たことあるか?」


「いいえ、ゴブリンかオークもいるようですが...あの整列して完全武装をしたあれだけはわからないです。

人間のようにも見えますが...

そういえば、エミリ。望遠鏡持ってたよな...貸してくれないか?」


ルドはそういうなり、エミリに向かって手を出したのでエミリはカバンの中から望遠鏡を三つ取り出してそれぞれ渡した。


ラルフ、ルド、アルスは望遠鏡を覗きながら魔物の大群を見ることにした。


エミリは言われるまでもなく、望遠の魔法を使いつつ目に写るものを紙に写生するので魔術を展開した。


「みんなが見てるものを紙に写す魔法があるの...」


アルスはそれを聞いて、目を丸くしてこう言った。


「すげーそんなこともできるの?」


「当たり前よ、念写魔法はお姉ちゃん直伝よ」


エミリはそう言いながら紙に手を当て見た光景を紙に魔法で白黒の絵で映し出していた。

ラルフはそれを見てこう言った。


「マジックキャスターはパーティにいると段違いだな。


念写はある程度でいい、力は温存してて欲しい。

ここまで来てるってことはここら辺にも奴らの斥候がいる可能性がある。できる限りでいいからすぐに移動しよう」


エミリはそれを聞いて一枚の念写をし終えたので、頷いて答えて魔法を展開するのをやめてが望遠鏡を覗き込む表情が強張って手が震えている事に気がついた。


同じく、アルスもルドも同じだった。

疑問に思ったエミリは望遠の魔術で彼らが見ているモノを見る事にした。


それを目にしたエミリは絶句したーーー


逃げ遅れた人がいてそれを追いかける魔物の群がいたのだ。

必死に逃げる人々を躊躇なくオーク達は剣や斧を振るっていた。

戦おうとしてる冒険者らしき人はすぐにやられたのが見えたのだ...


エミリは目を逸らしたが、

アルスは小声で震えながらこう言った。


「助けに行く...」


動き出そうとしたアルスを見てラルフがそれを静止した。


「何するんだよ!」


「もうもうりだ...遠すぎる。敵の数も多い」


怒りに満ちるアルスのをラルフはそう冷静に言ったが、アルスはそれに対して怒りをあらわにしてーーー


「どうしたらそんなこと言えるんだよ!!騎士だろう!お前は帝国騎士なんだろ!」


ラルフはそれを聞いてパンとアルスの頬を叩いてこう言った。


「分かってる。

だが、冷静に考えろ...間に合ったとしてみたこともない人型の魔物の群れに俺たちで勝てると思うのか?


俺でもオーク達3体が一人でぎりぎりで相手できる。

でも見ろよ、あの数。

お前らはまだ新米の冒険者...


行ったら俺たちがやられるだけだ。犬死する」


ラルフはそう必死にになってアルスに言ったら、一息置いてこう言った。


「クエスト自体は終了だ。

急いで戻ってこれを伝えるーーー


俺は父上に報告して民兵隊の招集をして、騎士団を呼ぶ...

分かったな。俺たちができる最善はそれしかない」


それを聞いた、アルスは冷静さを取り戻そうと深呼吸をして頷いた。

恐怖で強張っていたエミリとルドもにラルフはポンポンと肩を叩いてこう言った。


「行こう...」


その言葉を聞いて四人は山を下る事にした。


ルドは森に慣れていて動きが早いので先回りして、先回りしてギルドへ向かわせる事にラルフは決めたようで念写した絵とラルフが手書きで書いた手紙を持って先に向かう事になった。


森に慣れていない、アルスとエミリを連れてラルフは来た道を戻っていた時だった...


アルス歩く足元に矢が刺さり、街道の横から完全武装のあの見たこもない魔物4匹現れて3人を取り囲んだ...


「こいつらB級クラスのウルク=ハイじゃない...しかも4匹も...

私達じゃ太刀打ちできないわ」


エミリはそう言って尻餅をついて地面に座り込んだ。

アルスも魔物から発せられる威圧感に圧倒されて構えた剣がプルプルと震え始めていた。


それをみたラルフは

「アルス、エミリ。俺がこいつらを引き止める...先に行けるか?」


アルスはそれを聞いて、ラルフの顔を見て頷きエミリの手を取って立ち上がらせた。


でも、

そう心強いラルフも心の奥で目の前にいる魔物が明らかに強敵であるのを分かっているようで恐怖しているのがアルスにすら感じ取れた。


「エミリ、アデルお姉ちゃんに謝っといてくれよな」


そう言って剣を構えた瞬間だったーーー


「おや、これはバルカニアの御子息ラルフ殿ではありませんか?ご無沙汰しております」


そういう声が聞こえて、

ウルク=ハイの後ろに

すらと背の高い30代後半ぐらいの緑色の長い髪の美形の男性がニコッとした顔で立っているのを3人は気がついた。


ラルフはその男性を知っていたようで驚いた顔をしてこう言った。


「ラハト・ウル・ラシュト王子!なぜ、こんなところに!?」


ラハトはそれを聞いてニコッとしながらも足元に魔法陣を展開させて戦闘体制を取ってこう言った。


「話は後です。今あなたたちは大ピンチじゃあないですか?先にそれをとっぱらいましょう」


リン「あ、お祖父様が実体化してる」


ラハト「こらこら、そんな事を言ってはいけませんよ」


メイ・マオ「「お祖父様〜!」」


ラハト「あーこうしてるとミミが小さかった頃を思い出しますねぇ〜

でも3人もこんな可愛い天使がいるのは羨ましいですよ...ね、タカノ」


タカノ「え、あれどうして義父様が...実体化してる...」


ラハト「こらこら、そんなこと言ってはいけませんよ。私にだって久々の登場シーンぐらいあるんですから」


タカノ「まーですよね。ルドもちゃんと出てきてますし...って、なんか見覚えのある人物が...あっ」


ラハト「あ、いましたか!て、どうして物凄い速さで逃げるんですか?せっかくなのでご一緒にどうでしょう!?」


タカノ「逃げるのは多分....以前。登場シーンで俺にボコボコにされたのが怖いとか....」


ラハト「あれは、だいぶオラオラしてましたからねぇ〜気になる方は2章を見てくださいね」


タカノ「次回、魔王軍襲来。お楽しみにっ!」

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