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キリシマ・タカノ-8 魔王の考え


ミラは仲間と好きだったユウキを殺した仇を自らの手で殺すことで仇を取ることができたが....

残ったのはぽっかりと開いた感情だけだった。



失ったものは戻ってこないことは承知の上だったが...

虚無感というのに襲われていたーーー


「きっと、彼が言ってたのはこのことだったので...

悲しいわけでもない、でもどうしようもできないのね」



ミラはそう、冷たい石畳の上に敷かれた質素すぎる筵の上で横になりならがそう小声で呟いたーーー


死ぬことも許されない。

魔王軍の秘密を知っているということで、生かされて毎日尋問を受ける日々。


全てを洗いざらい偽りなく吐かせられる魔術をかけられて毎日毎日全て真実だけを吐かせられる。


隠したいと思ってたら自分の心ですら取調べをする宦官たちの前で曝け出ささせる。

拷問ではないが精神的な辛さを感じるばかりだった...


「あいつの事を愛してたなんて...自分の口で言いたくなかったーーー


本当は憎かったのに...どこか、そうじゃないって思いも...


でも、そう思う自分が嫌だった。

もう心も身体も穢れたの...これでユウキになんて会いたくない...このまま消えてなくなりたい」


ミラはそうぽっかりと開いた感情から出た複雑に絡み合った感情を吐き出して涙を流した。


「消えたい....消えたい...」


すると、

気が付いた時には薄暗い暗い真っ赤な空間に立っていることに気がついた。


足元をみると真紅の生温い液体に足が浸かっている事に気がついたーーー


目の前に黒いマントに身を包み顔の半分だけを隠す仮面をつけた男がゆっくりと上から降りてきた。


男は水面に足をつけて浮いているようだった。


黒色の大きな鳥のような翼を広げて男は口を開いた。


『お前の心を知りここへ転移させた。

そのすごく痛む心はわかる。


俺も昔はそうだったーーーーそして全て壊し失った』


男はそう言ってミラに手を差し伸べたーー


ミラは男の顔を見るなり驚いてこう言った。


「どうやったの?あの牢獄はかなり高度な魔封じの術式が施されてたのに....」


そして男の顔半分を隠している仮面を見て仮面の下から覗く目に見惚れてしまった。

その瞳には紫色に高度な闇魔法の法陣の描かれそこから妙に不思議な魅力を感じてしまった...


そして、

その術式を見るなり、ミラは腰を抜かして地面に尻餅をついた。


さっきの引き込まれる魅惑から一気にそれは恐怖へと変わったからだ...


「魔王フォルグ...どうして?」


ミラは震えながらそう声を出して目の前にいる魔王に聞いた。


「お前達の故郷である街や村を滅ぼし多くを奪った悪であることは知っている。


お前が冒険者ギルドに登録して冒険者をしていた理由も私を悪とする話を聞き、正義感に駆られて魔導学院を中退したのは調べがついてる。


お前には復讐に身を投じることで正義ということからは大いに離れてしまった……」


ミラは唾をのみ魔王を見つめた。

先ほどは恐怖に支配されていたが、うっすらと優しい笑みを浮かべて異様な雰囲気を漂わせつつも、どこか不思議な魅力に引き込まれていた。


その心は、恐怖よりもどこか期待や愛おしいような感覚が心を埋めていた。


「私は何をしたらいいの?」


ミラの喉から出た言葉は、魔王に対する期待感から出た言葉だった。

魔王はそれを聞いて、優しい声でこういった。


「ミラ。君はすべてを失った……そして、大きな穴が心にできた。そこに、俺たちの夢を入れて欲しい。

ただそれだけだ。

後戻りはできない、それでもいいなら。始める」


ミラは引き込まれるように頷いた。すると、だんだんと深紅の液体の中に身体が沈んでいった。


「あたたかい……」


ーーーーー


ーー東ロムルスの西方国境地帯ーー


「おかえりなさいませ」


そう魔王を出迎えた老執事は深々とお辞儀をした。


そして、

会議の用意をしてある部屋部向かう案内のために歩き始めようとした瞬間魔王の後ろにいる少女に気が付きこう言った。


「はて、魔王様?そちらのお方は?」


「彼女はミラだ。私の新しい協力者だ。よろしく頼む、アルフレド」


「はは。なるほど...妾にしてはお若いと思いましたが、そういうことなんですね〜

お若いながらに使徒となったのはさぞかしお辛いことがあったようで...」


アルフレドと呼ばれた老執事はそう言ったのでミラは軽く会釈をした。


魔王フォルグことアレンは拠点としている城の廊下を会議を行う部屋に向かった。


ミラは廊下の途中では完全武装のウルク・ハイやオーク達が廊下に立っていてここが人間世界から遠いことを感じた。


アルフレドが通した部屋の中には、異様な雰囲気を醸し出す6人の人が円卓に座っていて、一番上座に当たる一番豪勢そうな椅子は空席となっていた。


アレンはそこに座り、アルフレドとミラはアレンの後ろ側の部屋の隅に用意された椅子に腰掛けた。


アレンは椅子に座るなり開口一番にこう言った。


「先に嫌な話から始めるが....

踏むつもりはなかったが、なんらかの意図によって獅子の尻尾を踏んでしまったようだ....

いずれ、戦うべき相手ではあったが...

まさか、奴らから仕掛けられるとは思わなかった」


一人の砂漠地域の商人のような格好をした人がそれを聞いて驚いてこう言った。


「まさか、焔帝国が動き始めましたのか!?

人間よりも強い魔物を率いるといえど、魔人級の人材を多く抱え卓越した魔導技術を持つあの国と全面で戦うなんて無理だ...」


その言葉を聞くなり、円卓に座る魔王軍幹部達は暗い顔をしたり、どこか嫌なものやことを聞いたような顔をして口々に何かを言っていた。


「まーまー落ち着け。焔帝国も動きは慎重だ...

奴らには我々を潰す利益は少ない。今回、東ロムルス帝国へ派兵されたのも禁軍でも黒旗衛将でもない...


ただ、

俺たちの方は動きが取りにくくなった。

潜伏させてた七神将の東方担当のジュナンが討ち取られ、第三者経由で使徒を送り込んでも成果は取れてない。


本当は亜人(デミ)に穏和な政策をとっている国だから正面で敵対する気はなかったが...」


アレンは顎に手を当てて何かを考えるような素振りを見せて話を続けた。


「焔帝国が出るなら、その対抗策を講じる必要がある。


俺たちに出せる手は焔帝国を徐々に内部から変える他ない。

引き続き工作や使徒を送り込むことは続ける。

焔帝国に関しては以上だ。


次にアルフレド。

冒険者ギルドと東ロムルス帝国についての現状を頼む」


「はい、アレン様」


アルフレドはそう返事をして円卓に向かいアレンの横に立つなり咳払いをしてこう言った。


「冒険者ギルドの動きは現在も活発です。


チート能力持ちの異世界の勇者も数人出現し多数が東ロムルスを拠点に冒険者として行動をしております。


背後にいる東ロムルス帝国も異世界人の獲得には積極的なようです。

中には暗殺を試みて我々に同調しようとする勢力もありはするようですが...」


アレンはそれを聞き手をあげてこう言った。


「俺達的には勇者の排除は良しとしない方針だ。

できるだけ仲間に取り入れたい...

俺たちの敵は理想に反旗を翻す人間だけじゃない。それも思ってて欲しいーーー」


ミラはそのアレンの話を聞いて、頭の中に疑問が浮かんだ。

アレンは深くため息をついてこう円卓に座る人たちにこう言った。


「引き続き、よろしく頼む。

焔帝国が仕掛けてくるそれだけは気を置いて欲しい。


だが、俺たちは俺たちの戦い方で戦う。


各幹部には東ロムルス帝都コンスタブルの攻略を命ずる」


アレンはそう言って席を立つと、円卓に座っていた一同も立ち上がった。


ミラは、会議の雰囲気を見ていて焔帝国の話題は他の魔王軍幹部達は恐れ慄いているように感じられた。

そして、西方の鎧を着たいかにも武人か騎士のような

大男が右手を胸に当ててこう言った。


「我が主人よ。焔帝国との件はこの、ヴァレンにお任せくだされ。

我が戦友ジュナンに変わり東方政策を遂行いたします」


アレンはそれを聞いて無言で頷いてこう言った。


「わかった。まだ、西方世界の平定が済んでいない。

その間、時間を稼いでくれ。


もし、東ロムルスに焔の正規軍の禁軍と緑旗衛が押し寄せれば、魔物の軍団ですら太刀打ちできないのは明白だ....だから、頼んだ」


「仰せのままに」


騎士はそう頭を下げていうなり、

部屋を後にしていった。


会議が終わったようで、アレンは部屋を後にしていったのでミラもそれを追いかけるように駆け出した。


アレンは魔王というには質素すぎる個室に入るなり、部屋の中にあった椅子に腰掛けてた。


ミラはそれを黙って見ていたが、

魔王は仮面を取った。


仮面の下には大きな傷跡が無数に残っていてその痛々しい顔に思わずミラは息を呑んだ。


「この傷は、愛するものを守りきれなかった時にできた傷だ。


この傷は、俺が今こうしていれる理由の一つだ。

彼女が夢見た世界を作るのを忘れないために傷を残してるーーー


ミラには焔帝国で見てきたことを教えて欲しい」


ミラは頷き焔帝国について知っていることを語り始めたーーーー


話を聞こえたアレンはため息をついてこう言った...


「焔帝国はものすごく厄介な人材を西域に置いてきたな...


タカノ・ウル・ラシュト藩王にして禁軍義禁庁大尉。七神将ジュナンを討ち取り、そのほかにも数々使徒を取ってきてるやつか...黒旗衛将並の実力者か...


人間にしてヴァレンと同等と見るべきか」


アレンはため息を付きながらもにっこりと笑みを浮かべた。ミラはそんな彼を横目で見ながら彼の口から微かに


ーー臨むところだーー


という言葉が聞こえてきたのだった。

シン「あ、やっと魔王が出てきた!」


タカノ「そうだな。ずっと魔王軍の手先関係と戦いはしてたけど...大元がやっと出てきた感じか」


イズミ「タカノ。魔王を退治するのが送り込んだ理由やから。忘れんといてや」


ショウタ「俺は忘れてませんよ。イズミ様!」


イズミ「そういえば...ショウタもその程で送ってたわね〜まー頑張って」


ショウタ「あれ、なんか扱い酷くないですか...まぁいいや。見ててくださいよ。

我こそは勇者アマミヤ・ショウタ!!悪の元凶、魔王を撃ち倒す勇者だ!」


タカノ「ショウタ...お前少し痛いぞ...」


ショウタ「いやー。前の世界だとこういえないじゃないですか〜

それよりも先輩。今後はどうするんですか?」


タカノ「引き続きだ。王様になったとしてもやることは一緒。仕事をこなし子育てと家族と仲間達と過ごすただそれだけだ。


ショウタ達には冒険者活動を引き続き頼むよ」


ショウタ「わかってますよ。先輩!任せてください」


タカノ「で、俺は...そろそろ家に帰ろう...」


セイゴ「大尉、大変です!事件です!!」


タカノ「おい、マジかよ(嘆)」

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