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キリシマ・タカノ-7 ラシュト卿の出世


今回の京港で起こった転移魔法によって魔王軍の一団が襲撃してきた事件は、


一時大規模な転移魔法が展開されたもののアデルとエミリの活躍で魔王軍の主力が転送される前に術式の解除に成功した。


そして、

緑旗衛、禁軍、冒険者ギルドの連合部隊によって転移されてきた魔王軍の戦力は全滅させられ事件は収束することとなった。


転移魔法の施術に関わった首謀のキリシマ・タカノは死亡し、その幇助を行なった冒険者ミラが逮捕された。


ミラの刑に関しては、死刑は確実であったが魔王軍勢力の調査にため執行は保留とされ国内のとある監獄に収監されることになった。


今回は多大な犠牲を受けたことにより、

焔帝国内での反魔王軍感情が昂り現在魔王軍勢力と直接的に戦争をしている東ロムルス帝国へ禁軍の一部隊を軍事顧問団として派兵することが決定し、

国内では魔王軍勢力に対する取締の強化が実施されることになった。


そして、

今回の事件に大きな功績を挙げた、パーティと部隊を率いていた、

タカノ・ウル・ラシュトは禁内と言う焔帝国の皇帝が住う一部の上流貴族にのみ入場が許された場所に呼び出されていた。


「皇帝陛下、拝謁のため。各所大臣及び禁軍将官入城致します!!!」


そう焔帝国の皇帝が住う王宮に響き渡った。


禁軍将校の正装である赤い武官束帯に身を包むタカノは宮殿の外で頭を下げていたーーー

横には正装で身を固めたシンが家臣としてそばにいた。


今日は、上司のディンサン将軍に呼ばれて王宮に呼ばれていた。

何かの詮議があるそうで、それにタカノが必要とのことで呼び出されていたのだーーー


「義禁大尉タカノ・ウル・ラシュト卿!!陛下に謁見せよ!!」


宮殿内からディンサンの太く大きい声が聞こえてきてタカノは答えた。


礼儀作法にうるさいミミに聞いてて正解だったと思う場面は多々あるそんなことを思いながらこう大声で言った。


「義禁大尉ラシュト。皇帝陛下に謁見の許可を奉る!!」


宮殿の横にいる、宮廷宦官がそれを聞きこう言った。


「許可する。入城せよ!!」


タカノはそれを聞き頭を下げながら宮殿の中へ入っていったーーー


『タカノいいですか?

あなたは義禁大尉...貴族といえど禁内では下級の武官。皇帝陛下の前では決して頭を上げられない立場なのでお忘れなく』


そんな義父ラハトの言葉を思い出しタカノは緊張感と重苦しい空気に溢れる宮殿ないに入った。


入った手前で、跪き額を地面につけたーーー


無意識のままその礼儀9回こなした。

礼儀作法には義父ラハトと妻のミミ、師であるディンサンから叩き込まれておりそこら辺の一般の貴族と相応ないのはタカノ自身も自信を持っていた。


そんな彼の姿を見て周りから驚きの声がざわざわと耳に入ってきた。


『あれがあの都の民に人気の鬼の義禁大尉でございますか』


『異世界人なのにこんなに礼儀を知っているのか』


『このようなきちんとした異世界人が蛮族の族長家系にいるとは...なんとももったいない』


などなど、

この焔帝国では珍しい異世界人で、礼儀知らずの異世界の勇者というレッテルがあったようでそれを撃ち破ったようであまり交友のない文官貴族は驚いているようだった。


ふと、ディンサンのいる方を見ると彼は自慢げそうに腕を組み笑みを見せていた。

禁軍の他の将軍達もディンサンと同じく、ふむふむと感心しているようだった。


ディンサンが手で拱手を作りベールにかかる玉座に座る皇帝に向かい礼をしてこう言った。


『陛下。この者が我が義禁庁配下の義禁大尉タカノ・ウル・ラシュトでございます。


陛下もお耳に挟んでいるとは存じますが、民からの信頼も厚く、着任して5年余りでありますが...


4人の魔王軍幹部を倒し、陛下に仇なす謀反者を複数捕らえ、都を脅かす盗賊団を壊滅させた功績を持っております。


そして、

今回の京港事件を鎮圧した功績がございます。


その実力は我が兄ディンワンが同じく義禁大尉であった功績を有に上回り、


将軍並みの....

いえ、英雄と言っても過言のない功績を上げておきながら一将校という地位にございます。


彼に何か褒美を与えるべきかと」


その言葉を聞き終えてた他の将官たちも口を揃えて褒美を与えるべきかとと言った。

皇帝は頷きすぐに手を挙げて、将官達はすぐに沈黙した。


そう声が聞こえたと同時に頭を下げるタカノの前に三人の宦官が何かを運んできた。


「ラシュト家は本来、西域における大連山あたりを領地を有する領主。

古のフィニア帝国より王位を授かり、彼の地を守り統べてきた一族。


20年ほど前に魔王軍による侵略を受け王家は亡命し朕の臣下となった。

ラシュトスタンの地は西域鎮府にて朕の直轄領として保護下に置いてある」


皇帝はそう言い何かの紙を手に取って言葉を続けた。


「そして、このものは

朕に忠を尽くす臣下であり、

異世界人にも関わらず、この帝国に身を挺してこのように常人では挙げられない功績を挙げたーーー


本来であれば、

黒旗衛将へ召し抱えたいところであるが。

貴族院の反対で、異世界人を黒旗衛将への昇格をすることができないのだ...


そこで、朕はこう考えた。ラシュト卿表をあげよ」


皇帝のその言葉を聞き、タカノは深々とお辞儀をして顔を恐る恐る挙げたーーー


目の前には三人の宮廷宦官が並んでおり、剣と西洋風の王冠と金色に光る金印をそれぞれ盆の上に乗せて持っていた。


皇帝はタカノの顔を見て笑みをみせて前にある三つのものを説明していった。


「これは、ラシュト王家の証である。剣と冠。

そして、朕の名の元で作った国璽」


タカノはそれを聞いて、一瞬頭が真っ白になったが...

すぐに意識を戻したーー


「今よりタカノ・ウル・ラシュトを

朕の名の元に焔帝国ラシュトスタン藩王に命ずる。そして、朕が持っている元のラシュトスタン国の領土をラシュト家に返還する」


あっけに取られたが、すぐにこう言った時のお決まり言葉を言って跪き礼をした。


「皇帝陛下。万歳、万々歳!」


この瞬間、

タカノは異世界に転生してきて...

一国を統べる王様という地位についたのだったーーー


ーーーー


「王様万歳!!」


家に帰ると待っていたのは、義禁大尉としての部下たちとシュンテイとその手下たちで...


門を潜るなりいきなり胴上げをされたのだったーー


「おいおい。都で恐れられる悪どもと禁軍の兵に同時に胴上げされるなんてな!」


タカノはそう降ろされた後でそういった。


「いやいや、旦那様の器を信じた俺が間違いじゃぁねかった!

子分どもも普段はここにきたがらねーんだが、旦那に会いたいってんで連れてきたんだよ」


シュンテイはそう嬉しそうに言った。

その後ろには、都でよく見かけるギャングというべき人たちが嬉しそうに笑みを浮かべていた。


「旦那様のおかげで、俺たちも笑顔。都も笑顔...」


ニコニコと笑みを浮かべながらも、少しばかり悲しそうな顔をする義禁の兵士たちがいた。

副長のセイゴがその彼らの言葉を代弁してこう言った。


「タカノ様。ラシュトスタン藩王ということは...義禁大尉の任はやはり解かれたということでしょうか...?


我々一同、皆。タカノ・ウル・ラシュト卿...殿下の元で働けたことを幸いに思って...」


タカノはそれを聞いて、セイゴの言葉に被せてこう言った。


「いや実はな...義禁大尉の任は解かれてない。

都の民からの熱い要望であと少なからず8年は継続と言うことになった...」


タカノはそう言って、大きなため息をついた。

しかし、義禁大尉継続である知らせを聞いた義禁の兵士たちはおお喜びをしてタカノを胴上げした。


下されたタカノは喜ぶみんなに背を向けてぼそっと呟いた。


「今後は、今の仕事にラシュトスタンの領地経営も入ってくるのか...家族との時間取れるのかな...」


それをどこから聞いていたのかわからなかったが、そっとミミが横にやってきて肩に手を置いてくれた。


「大丈夫ですわよ。できないことは、タカノ様の優秀な仲間達がしてくれますわ

タカノ様はタカノ様にしか出来ないことをしてください」


タカノはそれを聞いて頷いてミミに対してウィンクをした。

ミミの言葉を聞くなり、セイゴがこう言った。


「義禁のことは私にお任せください。

部下たちもそのつもりでおりますよ」


タカノはそれを聞いて、


「ああ、こんな俺だが、今後もよろしく頼む」


そうセイゴに言って屋敷の中に入っていった。

家の中ではニコニコとしたリンメイマオが待ち構えていて、タカノの姿を見るなり駆け寄ってきた。


「ただいま」


「「「おかえりなさいませ」」」


3人娘達はそう言って、

飛びかかるように抱きついてきた。


幸せを噛み締めながら、タカノの...

兼業勇者の日常はこうして何か大きくなりながらも続いていく。

タカノ「俺、王様になっちゃったんだけど...」


ミミ「それでいいのですわ!父様のラシュトスタンの再興の悲願に達成できたのですから」


ラハト「(そうそう。さすがは私が見込んだ男です)」


タカノ「なんか、義父様の言葉が聞こえたような...」


ミミ「とにかく、落ち着いたらラシュトスタンに行きましょう。私の故郷なので色々案内しますわ」


タカノ「それもそうだな...それにしても、忙しくなりそうだな。冒険者の仕事はさておき、武官としての仕事が残ったままで、一国の王様だし」


シン「その点は大丈夫だよ。タカ兄。ラッキーな事に内政のほとんどは最初は焔帝国が持ってくれるようだよ。

ついでに義禁庁の仕事も増員って話通ったらしいから、少しは楽できるんじゃない」


タカノ「まーそれならありがたいけど...」


イズミ「本来の仕事忘れてへんよね?あくまで魔王退治で送り込んで...」


タカノ「わかってる、わかってる。そっちもアルスとエミリに投げっぱなしだったけどやるから...

はぁー...」


ミミ「あ、思い出しましたわ。まだこの章続くらしいですわよ。シュリム告知お願いしますわ」


シュリム「え、えいきなりボクに飛んでくるんですね!

次回、魔王の考え...

もしかして魔王がやっと出てくるんですかね?」

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