勇者爆誕-3 挫折経験
ショウタとアオイは森の中に逃げ切ることであの使徒から逃れることができたようだった。
逃げ切れたのはいいのだが...一瞬でドマとエルという仲間を失ったことはショウタにとってかなり衝撃を与えるものとなった。
泣きたくても泣けなかった。
逃げるほか無かったからだ....
『ごめん、エル、ドマ...』
ショウタは足を止めて息を整えながらやっと考えられるようになったらそういう言葉が頭の中に浮かんでいた。
アオイは対照的に冷静なようで落ち着いた様子でこう言った。
「ショウタ。このクエストは降りましょ...私たちじゃ、あの魔物に敵わない」
「あ...うん」
ショウタは考える間もなく頷いた。
頷くほか無かったのだ...
一瞬で全てが崩れ落ちたーー
あんなに活躍してくれた力になってくれた仲間が二人も一瞬で失ったからだ。普通に考えれば、逃げることが大切だろうと思えたーーー
でも、一つショウタは心の中で呟いた。
ーーもう、嫌だ...もう二度と、戦えないーーー
走って逃げることをパーティの選択とした。
でも、そう簡単にあの手強い魔物が逃すわけもなかったのだろうーーー
森を抜けるとまた、
そこにはさっきいた村に戻ってきたのだ...
「迷いの結界だ...」
アオイはため息をため息をついてそう言った。
ショウタは目を丸めてアオイの顔を眺めた。
迷いの結界はショウタも以前仲間と経験した事があったからすぐに理解できた。
ある特定の術者がいてその術者しかそれをその結界を解けないと言うことだったーー
その時は、そのダンジョンの主を倒すことによって結界が解かれて外に出ることができたが....
「あの魔物が結界を張ってそう。
ショウタ...覚悟を決めて。ショウタの本気ならあいつを倒せるはずよ」
ショウタはそのアオイの言葉を聞いて、手が震え始めた。
理由なんて簡単だ、
回復魔法専門のアオイにあの魔物を倒す手段なんてないからだ。攻撃方法を持つのは唯一ショウタ自身の封魔の剣しかなかったから...
プレッシャーが一気にのし掛かってくるーー
「聞いてるのショウタ!!やるしかないの!」
アオイはそう言って、ショウタの両肩を持って揺すって真剣な眼差しで見つめてきた....
アオイも焦りの顔をしていたことはショウタにも感じ取れた。
次の瞬間だったーー
アオイは何かに気がついてショウタを突き飛ばしの魔法を使って吹き飛ばした。
それと同時に空気を切り裂く音が聞こえた。
ショウタはアオイの全力だと思われる吹き飛ばしの魔法で飛ばされた。
その瞬間はほんの一瞬に過ぎなかったが、ショウタにとでもゆっくりとした時間だった...
アオイは何かを訴えるように何かを叫びながらショウタを見つめていた。
そこで魔物の大きな手が彼女を薙ぎ払って、
吹き飛ばしたのだ。無残にもアオイは胴体から真っ二つになりながら吹き飛んでいったのだ...
ショウタの顔に彼女の返り血が飛んできて、
直視出来ず思わず目を逸らした...
魔物は、血のついた手を舐めながらこう言ったーー
「オマエ、勇者?タタカエ。オマエ、タオシテモ。オレ、カエレナイ...」
ショウタは...
心臓が高鳴っていることに気がつく、極度の緊張できっとそうなったのだろうと感じられた。
呼吸も早くなっていく...これだけ、きついことなんてなかった。
「オレ、アノセカイニ帰ル。家族、友達マッテル...オレ、オマエ、キライ。
勇者ノマネ。ヒーローニナレナイ、クズ。ヨワムシ」
ショウタはゆっくりと近づいてくる魔物の言葉をが心の突き刺さってきたのだ...
『そうだ、俺は何もできない...クズなんだ。あの人みたいに身を挺して人を守れなかった...
そうだ、ヨワムシなんだ...』
そう思うと手の震えは止まって、呼吸も心臓も落ち着き始めたのを感じ取れた。
皆、死んだんだ。
あれだけ素早かったエルも
色々物知りだったドマも
夢を追いかけてたアオイもーーー
そして、俺も。
ここで終わるんだ。
異世界に来て、やり直せてたつもりだった。
あの強かったと思った自信なんて、嘘だったんだ。
きっと現実を知ったんだ。
夢ばかり見て、本当のことを見失ってたんだーーー
ショウタは目の前に迫ってくる死を見つめることしかできなった...
「あらぁー見つけたわよ。使徒の勇者殺しねぇ
数々の異世界からやってきた勇者を殺しては名を挙げてた元勇者かぁー
見た目は、かなりブサイクね」
そう、場違いな陽気な大人な女性の声が聞こえて魔物の横っ腹に突然火の玉が現れて爆発して魔物を吹き飛ばしていった。
ショウタは目の前に箒に乗って空から降りてくる、絵に描いたような魔女のような格好をした色っぽい妖艶な雰囲気をさせた女性が降りてきた。
彼女はショウタの顔を見つめてこう言った。
「B級の子ね。そこで大人しくしてなさい」
吹き飛ばされた魔物の咆哮がきこて、突風が吹いてきた。白い閃光が魔女を襲ったが、彼女は手に持っていた箒でそれを軽々と払った。
「上級風魔法かぁ〜でも、まだまだ」
魔物は素早い動きで魔女に突進していった。
アオイを一撃で葬った手の攻撃を魔女は軽々と状態をそらして避けて、掌を魔物の顔面に向けてかざした。
すると一瞬にして、赤い魔法陣が足元に合わられた。
「我が仇なす敵に地獄の業火を!イラプション!!」
魔女がそういうとかざした手から火柱が現れて、魔物の上半身を包み込んだ。
魔物は悲痛な悲鳴を上げながら後退していった。
魔物の顔は焼け爛れていたが一瞬にして回復していた。
魔女は困ったような顔をしてこう言った。
「あちゃー...これでも死なないか。なら仕方がない、最大質量でいくしかないか。あと、高いけど、これも使うしかないか」
魔女はそういうと、着ていたローブのポケットから何かの置物を取り出し地面に投げ落として。懐から短い杖を取り出した。
すると彼女は目を瞑り何か真剣な顔をし杖を振り始めた。
すると何重もの赤色の魔法陣が足元と空中に現れて熱風が吹き荒れ始めた。
彼女は何かの魔術の詠唱を始めた。
「我は、混沌の業火を操りし精霊の契約者なり、
我が前に仇なす邪悪の根元に煉獄の大火を与えるためにここに具現せよ!!
契約者の名において命ずる!出よ!!サラマンドラ!!!」
魔物の周りに魔女の周りと包んだのと同じ魔法陣が出現し熱風がさらに吹き荒れてきた。
魔女はショウタの方を向いてこう言った。
「耳を塞いで、口を開いて!!」
ショウタは訳もわからず、
魔女の言われたと通りに耳を塞ぎ口を開いた。
ショウタはそこで目にしたのは...
噂に聞いていた人類最強と言われている召喚魔術の一つだった。
そう、この魔女がその火属性魔法を操るのは世界でただ一人と言われている。
S級冒険者の真紅の魔女アデルだったのだーーー
圧倒的に力を目にしたショウタはただただ立ち上がって唖然とした。
そう、上には上がいたのだ...
余計に今まで自分が強いとばかり感じていたのが、恥ずかしく感じるほどだった。
そして、あの魔物を葬るあの強さがあったら...
エルもドマもアオイも....
大切な仲間たちを守れたかもしれないと後悔の念を感じてしまったのだーー
しかし、こんな高みに登れるはずなんてないーー
ショウタはそう率直に感じた。
轟音と爆風と共に魔物を巨大な炎のドームが包み込んだ。耳を塞いでいたがキーンと耳鳴りが響いていた。
炎のドームが消え去るとその中心にはクレーターができていてその場所には魔物の姿が残っていなかった。あるのはその形をした黒い影だけが残っていた。
ショウタはそれを見て...
ゆっくりとアオイの亡骸の方へ脚を進めて跪いた。
見渡すと近くのは仲間の亡骸ちょうど目に入ってきた。
「ドマ、エル、アオイ....ごめん、ごめん....」
ショウタはそう心の底から出てきた言葉を吐き出すように口から出すと自然と涙が溢れてきた。
仲間を失った悲しみ、守れなかった悔しみ、そして何もしなかった自分が嫌になった気持ち全てが混ざり合った涙が地面を抜け濡らした。
ショウタは嗚咽し始め、いろいろな感情が込み上げてきたーー
それ見たアデルは表情を変えることなく、
ショウタに近づくなり蹴り飛ばして仰向けになって倒れたところに杖を向けて氷付くような恐ろしい目で睨みつけてきた。
アデル「え、蹴り飛ばしたところでお終りなの!?」
シン「え、アデルってやっぱりそっちの系だったのだ...(見た目からして女王様みたいな感じだったけど)」
アデル「え、そんなことないわよぉ〜」
ミミ「まま、よくなくてよ。誰にだって変な部分はございますわ」
シン「へぇーそしたらミミの姉御はタカ兄の変なところ知ってる?」
ミミ「知ってますとも。タカノ様の足の先から頭の先まで妻である私は全て知っておりますとも。
例えば...ご自身を縄とむ」
シン「はいはい!姉御ストップ!それ以上はタカ兄のプライバシーの侵害!!絶対爆弾発言しちゃうから...ほら、リンがこっち見て首傾げてるし」
ミミ「それもそうですわね。とにかく、アデルさん意外と怖いのですね。普段を見てるとズボラな感じですが...」
アデル「もぉーそんなこと言わないでよぉ!私だって一応は名は通ったS級冒険者の一人なのよ!!」
ミミ「そろそろ、告知行きますわよ。次回、見せかけ。次回もお楽しみにー」
アデル「え、ちょっと!なってよ!途中で切らないでぇーまだ話終わってないわよぉ〜」




