勇者爆誕-2 堕落と絶望
ショウタのパーティは野営した場所を拠点にして、
目的の魔物を探すために山に入っていった。
魔物自体は使徒と噂されていて、今までとは違う敵であることは明白だった。
森を抜けて行きながら、
何かしらの痕跡を全員で探していた。
普通こういう場所には何かしらの野生動物や魔物が住み着いているはずなのにやけに静かになっているのにショウタと一行は不思議に感じていた。
こんな時に盗賊職一筋のエルがよく特技を発揮してくれる。
「ショウタ!見つけた、足跡だ、人っぽいけど...」
「え、人?この森は立ち入り禁止区域じゃなかったっけ?」
ショウタはそう言って、
エルが見つけた足跡を確認した。
足跡は確かに人の靴の足跡でそれはある一定の場所に向かって進んでいた。
ショウタは地図を広げて、足跡が向かっている場所の推測を試みようとした。
するとドマが横にやってきて地図を見てこう言った。
「確かこの先に廃村があるみたいだ。そこに向かっているのでは?
ほら、今ここで足跡の方角的にここに続いてそうだ」
ドマはショウタの地図に指を添えて道を進めながらある場所で指を止めた、
その場所はコルマ村と書かれていた。
「コルマ村か...行ってみるか?廃村なんだよな...」
ショウタはそうドマに聞くとドマは頷いてこう言った。
「ええ、ここにくる前の街でそう聞いてますが...
突然、人が消えたと話を聞いてる。
今回の魔物と関係があるかもしれないし」
ショウタはそれを聞いて、頷いてコルマ村に行くことに決め皆んなにこういった。
「よし、コルマ村に行こう。何か手がかりがあるかもしれない」
ショウタがそういうと、アオイが一番最初に頷いて
「そしたら、行こ」
「そうですな。日も落ちてきそうだから、今夜はコルマ村の民家で寝泊りかなと」
ドマはそう笑みを浮かべた。
するとショウタみ笑みを見せてこう言った。
「野宿もきついしな。屋根があるところでやっと寝れそうだな」
ベースキャンプは簡易テントを張っただけで、居住空間としてはイマイチという感じだったからそういう言葉が飛び出てきた。
ーーーー
コルマ村に到着する頃には、すでに夕方を過ぎて太陽は山に隠れて暗い夜の時間を迎えようとし始めていた。
ショウタ一行のパーティはあまり大きくないコルマ村を調べて回った。
魔物の姿もなければ...
襲われたような痕跡もなかったーー
ショウタは廃村と聞いていたのでてっきり、廃墟がいっぱいあるのかなと思っていたら。
ついさっきまで人が生活していた雰囲気が残る家が多く残ってゴーストタウンという言葉がショウタの中で思い浮かんだ。
しかし、
村はボロボロではなくてもギルドで聞いた通り村には人の気配は全くなかった。
生活感こそあるが、埃が積もっていたり手入れをしていないせいか雑草が村の家や畑に生えていた。
一行は一番綺麗な状態だった家を借りることにして、そこで一夜を過ごすことにした。
「しかし、手がかりも何もなかったな〜盗賊仲間で使う縄張りの印もなかったし....
魔物もいないし」
エルはそう言って、ショウタが用意した塩漬け肉を皿に乗せて口に運びながらそう言った。
それを見ていたドマは腕を組みながら何か思い詰めた顔をしながらこうエルに行った。
「なんだろうか、どこか不思議な感じがするな。エルもそう思うようだし。ショウタやアオイはどうだ?」
アオイはそれを聞いて首を横に振った。
ショウタは首を傾げてこういった。
「さぁーわかんねー。
でも、とりあえず今日はゆっくり過ごせそうだな...一応、見張りはつけて置こう。みんなは先に寝てて」
ショウタがそういうとエルは食事を終わらせてあくびをしながらこう言った。
「ショウタそしたら頼むよ。先に寝させて...
捜索スキル使いすぎて疲れちまったし。行こうぜ、ドマ」
エルはそう言って食事を終えたドマの後ろ襟を掴んで引っ張った。
「お、おう」
ドマは驚きながらもショウタとアオイの二人を見てうんうんと何かを納得したかのようにうなづいて部屋に入っていった。
「ショウタは食べないの?せっかく美味しそうなのに...みんなだけ食べてるのも悪いんじゃない」
アオイはそう言って、ショウタの用意した塩漬け肉を何事もないように食べ始めた。
その姿を見てショウタは軽くわたってこう言った。
「全然罪悪感あるように見えてないじゃん...俺はいいよ。仲間のほうが大切だーー後で余ったのを食べるよ」
「一番の働き者がそういうなら...お言葉に甘えさせてもらう」
アオイはそう言って、塩漬け肉が乗った皿をショウタの前に持っていった。
「ありがと...」
ショウタはそう言って笑みを見せた。
疲労が一気に出てきて思わずため息が出た。
「同じ日本出身の人がいるのはいつでも安心だよ。
心強い仲間もいるし、天女様から賜った剣とスキルもあるし安心....
早く帰りたいなーーー
魔王を倒したら、夢を叶えてくれるって聞いてるし」
ショウタはそうふと心に思ったことを呟いた。
アオイはそれを聞いてこう言った。
「きっと、帰れるし私も帰りたい。
だから、頑張って行こうぜ!ニカっ」
アオイはそう言って親指を立ててウィンクをしてそう言った。
ショウタは心強い仲間との旅は楽しいと感じてたし、だんだん強くなっていってきつかった戦いも楽になってきて自信がついていたことにも満足していた。
でも、心のどこかで今この自信を持ってもう一度、元の世界でやり直したいと思う気持ちが強くあったーーー
アオイも同じ境遇のようで、
コミ障で引篭だったあの頃と違って強くなって自信が持てるようになっているらしくショウタと同じ大学に行くために頑張りたいって言っていたからだ。
泥臭い旅も確かに楽しかったが、
住み慣れた世界がどこか恋しくなっていた。
「きっと、今の私なら。文句なくモテる!夢だったアイドルにもなれる!!」
「アイドルなーアオイはそう言っててるもんな」
アオイは前の世界でアイドルを目指していたが、周りの友達からイジメを受けて心を閉ざしてしまって、現実を見ろと親からプレッシャーをかけられて...
最後には自ら死を選んでこの世界に転生してきたとショウタは聞いていた。
「私、頑張ってるもん。ほらほら見てくれはいいんだしさ」
ショウタはそう調子に乗ってきたアオイを見て笑った。
「それもそうだな〜。俺も帰ったら何目指そうかな〜」
ショウタは夢見るアオイを見ていてなりたい自分を模索していた。
昔憧れ出たスーパーヒーローのようになりたい...
でも、すぐに出てきたのは...
身を挺して妹と周りの人々を守ったあの憲兵隊員の横顔と背中だった。
ショウタは歯に噛みながらこう呟いた。
「俺はスーパーヒーローかな」
「なにそれぇ〜ショウタは小さな男の子かっ」
アオイはそう言って笑みを見せてきたーーー
そして、二人は笑い合った。
疲れを忘れるにはちょうどいい空気感を感じていたのだ...
「じゃあ、ショウタ見張りよろしく。また明日ね、おやすみ」
アオイはそういうと水筒の水を飲んで暖炉のそばにあったソファーで横になった。
「はいはい」
ショウタはそう答えると剣を抜いて砥石を用意して研ぎ始めた。
暖炉の薪が燃える音と砥石の音だけが家の中に響いていた。
一応、家の周りにはドマが用意した結界を張る魔導具を設置しているし家の中は安全であることを確認した上で戸締りはしていたー
安心なのは安心だが、念のために交代で見張りをつけることにしていた。
数時間が経って、ドマが起きてきて交代をしてくれたので...
ショウタはドマの寝ていた部屋にあったベッドで横になった。
横になった瞬間に寝落ちしたーー
どのくらい寝ていたのかわからなかったが、大きな音が聞こえて地面は揺れたところでショウタは叩き起きた。
横でいたエルは眠そうな顔をして頬を膨らませていたーー
「エル!そんな顔してないで、さっきの見に行くぞ」
「ヘイヘイ。よし!」
エルはそう言って頬を両手でパンパンと叩いてベッドから起き上がって食事をしていた部屋に行くとそこにはさっきの音で驚いているドマとアオイがいた。
窓の外からは朝日が差し込み始めていて既に夜明けであることに気がついた。
ショウタは家の外に出るとそこには丸々と太った身体で全身に刺青を彫っている黒いカラスのような大きな翼を持つ魔物が隣の民家を完全に破壊してその瓦礫の上に立っていた。
「トロール!?」
エルはそういうと、魔物に詳しいドマは首を振った。
「いや、トロールのは翼は生えてないしあんな刺青見たこともない!」
ドマはそういうと剣を抜いた。アオイはそれを見て杖を構えてこう言った。
「もしかしてあれが、使徒なんじゃないの?」
「敵には変わりないだろう。皆んな、いつものように頼む」
ショウタはそう言って封魔の剣を抜いて構えた時だった。魔物は4人の方を見て不気味な醜い顔から笑みを浮かべて口を開いた。
「勇者ミツケタ...オレ、勇者コロス。モトノ世界、カエル」
その声を聞いたドマがうんと頷いてこう言った。
「おいおい、魔物が喋った!?ということは間違いない使徒だ!目的が近づいてくるのは嬉しいぜ!!」
ドマはそう言って、攻撃魔法の詠唱を始めたら
突然、魔物の足元に緑色の魔法陣が現れて突風は4人に吹いてきたーー
ショウタは思わず目を瞑り腕で顔を隠していると、エルの悲鳴が聞こえた後何かがドサっと地面に落ちる音が聞こえたーー
目を開けて確認すると...
エルの両腕が足元にあるのに気がつき、吹き飛ばされて民家に激突したドマが血塗れでぐったりとしていた。
ショウタはその瞬間にドマが息絶えてることがわかってしまった。そう、辛うじて身体は残っていたが...
あるはずの首から上が無かったからだ。
エルの悲痛な悲鳴が響きわたる。
「アオイ!!助けてぇぇぇ!!!」
突然すぎることで、アオイも動揺していたが、地面に倒れ込んだエルに駆け寄って治癒魔法をかけ始めた。
ショウタは剣を構えていたが、手と脚が震えていた。
そう、恐怖が心を一気に支配したのだ。
今まで勝ってきた自信は一気に崩れ落ちたのだーー
ショウタは咄嗟に動き出してアオイの手を掴んで走り出した。
そう逃げることを選んだのだーーー
「え、エルが!!」
走りながら、ショウタはぐったりとしたエルと目が合ったーー
「二人とも逃げて...」
エルの口からそう弱々しい小さな言葉が聞こえてきた。ショウタは唇を噛みながら、背を向けてアオイの手を引いて走り出したーーー
エルの下半身を踏みつけ、魔物は留めを刺してショウタとアオイをゆっくりと歩きながら追いかけ始めたーー
森に向かって走り出したショウタは
自信なんて全てが一瞬で崩れ落ちて、
戦える気力すらショウタには無くなっていたーーー
ラハト「あらいらっしゃい。どうぞこちらへ」
ドマ「いやー、さすがに吹き飛ばされてグシャってってのもなかなか苦でしたよぉー」
ラハト「私は、落馬で首の骨が折れてさようならバイバイでしたので。なんとも言えませんよ。あははは。それよりも、お二人はショウタ様とパーティを組んでいたんですね」
エル「あーはい。そうですね。彼が強くて頼もしかったからです」
ラハト「なるほど!ショウタ様は今もっと強いですよ。なんてったてS級ですから」
ドマ・エル「「おおお、すげー」」
エル「ショウタ。強くなったんだ...またいつか会ってみたいなぁー」
アデル「君達のお陰だと思うわ」
ラハト「ちょっと、アデルさん。死亡組の飲み会に入ってこないでくださいよ。世界観が...」
タカノ「いやもう、このコーナー世界観とかどうでもないですよ。お義父様」
ラハト「ちょっと、タカノまで入ってこないでくださいよ」
マオ「お爺様!マオも入ります」
ラハト「うーん。マオは可愛いからいいですよぉー」
タカノ「おいおい...次回、挫折経験。そうか、ショウタは異世界に来てから本格的な挫折をしたわけか...」
アデル「そうみたいなのよ。彼が、男として魅力的(意味深)にしてく私の活躍をお楽しみにぃー」
タカノ「(意味深)ってなんだよ」




