結婚する前の話-3 修行の日々は地獄だった...
タカノの武科挙への試験勉強と武術修行は強烈な日々が続いたーーー
そう、
ディンワンが課した精神修行が一番身に堪えたからだ。
転生する時にもらった
『人類最高峰の身体能力』というチート能力のデメリットとも言える。
驚異的な新陳代謝から伴う...
食欲と性欲の抑制を課せられたからだ。
身体操作はなるべく無駄なく動くことを武術の中で身につけさせられた上で、
禁欲生活によって...
その
『暴食』と『性欲の猛者』を押さえ込む術を探す日々が続いたからだーーー
生前であれば極限状態ではなかったが、
昔よりも一層その二つの欲は増大で、
それを抑えたり堪えたりすることによってバーサク化を抑えて常に冷静で入れる精神を手に入れることができれば....
今のタカノの実力であれば、
焔帝国でも指折りの将校クラスの実力を持っているとディンワンは見ていた。
山籠りをすることもなく、場所を西域のラハトの私邸から陽都のラシュト家の屋敷に場所を移していた...
大都会には常に周りに誘惑がある中での日々は続いた。
しかし、
自営業者で一代で会社を起こしてそれなりの大きさにした父親の教えがふと頭の中で残っていたようで、そのもらった教えで自分をどうにかコントロールすることはできていたが....
タカノは夕焼けに染まるラシュト邸の中庭で弓を引いていたーーー
横ではミミがそれを見守るように縁側に座ってその様子をお茶を飲みながら眺めていた。
「今、俺がやることは武科挙に通って、ラハトさんに認めてもらって....
ミミと付き合うことだーー
あとで全て叶えられる」
タカノはそう、父親から教えてもらったマインドセットを思い返しながら矢を放った。
矢は魔物の絵を描いた的から外れてしまった。
弓矢はディンワン曰く、精神状態によって当たるか当たらないかというのが顕著に出るらしく...
精神集中のためと修行の中で割と多くの時間を割いていた。
ディンワンが帰ったあとでも、
タカノはこうやって勉強の合間を縫って弓を引いていた。
「タカノ様...頑張ってください」
ミミはそう言って目をキラキラさせながらタカノを見つめていた。
タカノはもう一本の矢を取って、もう一度弓を引いた。
「俺の父親はそう言ってたーー
やる気になれば自ずとことは起こってくるって。
だから、そのやる気の根源を明確にしろってさ」
タカノはそう言って大きく深呼吸をして矢を放った。
今度は心にブレはなかった。
ミミも期待してくれてる。待ってくれているのだ。
それに応えないといけないという思いがあったからだーーー
「根拠は明確さ」
タカノはそう言ってミミに笑みを見せてウィンクをした。
ーーーー
そんな日々は長々と続いたが、
でもどこかで頑張れる理由があるからこそタカノは...
心からこみ上げる食欲と性欲を徐々にコントロールすることができるようになったーー
覚えることは膨大な量を極めていた頭も身体もフル回転で詰め込まれていた。
そんな中でも、
ミミは一歩引いて見守ってくれていたーー
そう、
これは皆の期待を背負ってというのがあったからだ。
ラハトから聞かされたが、娘にふさわしい男に仕上げることによって息子がいなかった分、家督を継がせるにふさわしい男にする過程でどこか息子のように思えてきたらしく日に日に成長していくのをみていると嬉しいと感じているらしい。
ミミも同じで、自らが選んだ運命の人が日に日に魅力的になっていくことに胸を躍らせていた。
シンは天界に戻るためのと思いながらも、どこか親友のようにタカノのことを応援していた。
そして、
ついに....
「タカノよ。よくここまでできるようになったな....
見込みは間違ってなかった。
きっとラハト様もお喜びになるだろう」
ディンワンはそう言って息を切らせながら、
タカノはこの2年で叩き込んだ一番適性があった大太刀術を駆使して、
本気の偃月刀で戦うディンワンと互角に戦えるようになったからだ。
ディンワンは偃月刀を構えるのをやめてこう言った。
「明日の武科挙の試験。問題なさそうだ。身に付けたことを発揮できれば問題なだろう」
見守っていたミミもすごく入れしそうな顔をしてタカノに飛びついてこう言った。
「やりましたわね!タカノ様頑張ってきてください」
飛びつかれた瞬間、ミミの柔らかい胸の感触を感じ思わず...
スキルの『性欲の猛者』が発動しそうになったが、タカノは深呼吸を心を落ち着かせた。そして心の乱れを出す気となく、ミミの頭をポンポンと叩いてこう言った。
「ありがとう、ミミ。明日がんばるよ」
「あれ、タカノ様...
いつもならもっとドキってしてたのに大丈夫になったのですね」
ミミもそのタカノのスキルを知っているので、それが出なかったことが驚きだったようだ。
シンはニタニタした笑みを浮かべながらこう言った。
「大丈夫だよ。ミミの姉御。夜な夜なムラムラしてるみたいだしさ。ねーほら、毎回ミミの姉御とスキンシップした夜は..」
タカノはシンがこれ以上何も言わないように素早く太刀を収めてシンの口を押さえた。
「言うなよ...」
ディンワンはシンの言葉を聞いて笑いながらこう言った。
「まー、こんな美人を前によく我慢できるもんだよ。そもそも天女様がお与えになったスキルとやらで常人の倍以上はその性欲は計り知れないものだとは感じる...」
ディンワンがそう関心深そうにいうと背中から、ラハトがひょっこり出てきてこう言った。
「こらこら。お父様は怒りませんが嫁入り前にそんなことしてたらいけませんよ」
タカノに抱きついていたミミを見てラハトはニコニコと嬉しそうな顔をしながらも、そう娘に注意した。
ラハトはタカノを見て表情を変えてこう言った。
「まだ、君には娘はやりませんよ。
明日の試験の結果次第です。受かれば交際は認めます。
ですが、落第すれば許しませんよ。
娘との交際は認めませんし、援助は断ち切ります。
アルスやエミリと同じように冒険者として生きていってください。
それでいいですよね?」
タカノはミミの肩を掴んて、距離を置いてからラハトの目を見ながらこう言った。
「俺は絶対武官になります。だから、その時はミミを俺にください」
タカノのその言葉を聞いてミミは顔を真っ赤にして、手で顔を隠した。
ラハトはそれを聞いて笑いながらこう言った。
「まさか今その言葉を聞くとはな。
でもその答えは、いいえだーー」
タカノはそれを聞いて、思わずため息をついたがラハトはこう言った。
「交際は認めると言っただけです。
本気で娘が欲しいなら、禁軍士官に任官されれば考えはしますよ」
ラハトはそう言って眉を潜めてミミの手を握って自分の方へ引き寄せてた。
タカノは、大きく深呼吸をして表情を変えて強い眼差しでミミとラハトを見てこう言った。
「わかりました。俺やります...
だから見ていてください。ラハトさん」
ラハトはそのタカノの力強い自信に満ち溢れた姿と声を聞いて、薄らと笑みを浮かべた。
ミミもそれに気がつき同じく笑みを浮かべた。
「タカ兄。なんだかんだで、2年間かかっちゃったけど。
そこら辺の転生勇者とは違う風貌になったじゃん。俺期待してるぜ!」
シンはそう言って、親指を立てウィンクをした。タカノも同じく親指を立て頷いた。
タカノは、ディンワンに礼をしてから近くにあった椅子に腰掛けてホッと一息ついてこう言った。
「やっとだな。ついにきたな....
地獄のような日々だった気はする。でもこれって、スタート地点に立っただけなんだよな...」
タカノはそう思わず、心の思っていた言葉をため息のように吐き出した。それを聞いていたミミがタカノの手を握った。
『そうだな、やっとここまできたんだ、あと一息だ』
タカノは心の中で呟いて、手を握る好きな人に向けて笑みを向けた。
タカノ「やっと、修行パート終わったな...なぁ、ミミ今度一緒に出かけたり」
ラハト「ダメです」
タカノ「げっ...どうしてここに」
ラハト「いいじゃないですか?あんな目の前で、娘をくださいなんて言われるとどこかイラってくるじゃないですか?言われてみたかったのでよかったですがね」
タカノ「なるほど....すいません、時系列がバラバラになるんですが、俺もお義父様のようになるんでしょうか?ほら、リンメイマオって可愛い娘がいるじゃないですか?」
ラハト「え、あー。そうですね...
娘が手元から育って旅立っていくのは寂しいもんですよ」
マオ「ねぇーお父様!私たちの出番はないのですか!?」
リン「そうですわ。私たちも出たいですの」
メイ「ですの!」
タカノ「あ...まだ出番ないみたいなんだ。あとで、タピオカきな粉買ってあげるから、お母様のところに居なさい」
ラハト「三人もいると大変そうですね」
タカノ「でも、これがいいんですよ...。あの日々があったからこの日々があるわけですし」
イズミ「久々の登場やけど、あの...魔王退治忘れてへんよね?」
タカノ「あ....それはねーあはは、すまん。まだ先になりそうだぁ〜
次回、VS 黒旗衛将!お楽しみに」
イズミ「うーん...まー別の勇者も動いてるからええけどさ...それにしても作者はん、所々設定忘れてはしまへんか?」
作者「ウ、ウホ!?」




