結婚する前の話-2 元黒旗衛将の実力
タカノは勉強の日々が続いた。
貴族の礼儀作法は今までにない程、細かい事が多かったが....
ある意味で軍隊で学んだマナー講座やら、親父の仕事でVIPの警護関連をやってた都合で色々エチケットやマナーには父から教えられて知識があったので覚えるのに苦はなかったが....
焔帝国式エチケットはあまり型にハマりすぎるのも辛いものはあった...
何よるカルチャーショックだったのは、皇帝陛下の姿を見るには将軍以上の地位でないとダメで、
王宮内では下級の貴族だと地面に額をつけないといけないという決まりがあった事だろうーーー
場所を都にあるラハトの屋敷に移りはしたが、
勉強をしている日々が続いたが...
ラハトがとある田舎に住んでる呼んでいた旧友というディンワンという中年の大男がやって来てきた。
「はじめまして。ディンワン様」
タカノはそう言って手で拱手を作りお辞儀をした。これが焔文化では初対面の年長に対する礼儀作法だ。
勉強をしはじめて、3ヶ月になるがどことなく焔帝国の生活様式に慣れ始めてはいた。
「苦しゅうない。吾輩は君を将来の黒旗衛将にするつもりでいる。
そのつもりで頑張って欲しいーーー
活躍は聞いている。
異世界の勇者でもこの世界に慣れないままで、いきなり使徒を倒して僕のウルク=ハイを倒したという武勇は聞いている。
まずは、その実力を見せて欲しい。
好きに来い!」
初対面でいきなりそう言われることに驚いたタカノだったが、礼を終えるなり銃剣を抜いてディンワンに向かって突っ込んでいった。
それを見ていたラハトとシンは驚いた顔をしていたが、ディンワンは表情一つ変えないでいた。
タカノは手加減をすべきではないことはわかっていたが...
銃剣を敵でもない人に突き刺すにはいけないからあくまで刃物は囮で格闘戦に持ち込む魂胆でいたーーー
銃剣で喉元かざした瞬間だった...
ディンワンは目つきを変えて、銃剣を手で払い除けた。
その払った手がとても重く、タカノの手から銃剣が離れてしまった。
怯むわけもいかないのでタカノはそのまま、総合格闘技でよく使ってたタックルを試みようとしたがディンワンはそれも読んでいたのか、
タカノの頭に掌底をポンと入れてタックルを止めた。
「甘いな...でも、筋は悪くない。よく鍛錬しているーーー」
その瞬間、ディンワンの膝がタカノは顔面を捉えた。
それと同時にひっぺ剥がされたように上半身を退けぞった。
完全に綺麗に入った膝蹴りで鼻から鼻血が出てて、意識は朦朧としていたがタカノは倒れないで踏ん張っていた。
それと同時にあのウルク=ハイを倒した時に発動した。黒いオーラが体を包み身体が軽くなってきたーーー
それと同時に闘争本能が一気に呼び起こされた感じのなってきた。
シンはそれを見て目を丸くしてこう言った。
「あ、バーサク化したよ...大丈夫かなあの人...」
ラハトはそれを聞いてシンの肩に手を置いてこう言った。
「大丈夫ですよ。ディンワン様はああ見えて魔王も恐る元黒旗衛将の一人、焔帝国が誇る最強の戦士ですから」
ラハトはそう言ってディンワンにこう言った。
「ディンワン様!ご指導のほどよろしくお願いします!」
それを聞いた、ディンワンは不敵な笑みを浮かべて上着を脱いで年齢と見た目からは想像もつかない筋肉隆々な肉体を見せてこう言った。
「本来なら、偃月刀を使って君と戦いたいが...どうやら、その程度でもないかも知れないな。
その力は確かに強い。怒りや闘争本能から来るものだろうーーー
あの一瞬でわかったが、街の喧嘩の数は多いことはわかった。だが、本当の武人としての戦いとしては今ひとつだなーー」
バーサク化したタカノはそれを聞いてこう言った。
「舐めるなよ。爺さん!!」
タカノは普段なら礼儀を気にして敬語を使うところだったが、なぜか今回はいつも喧嘩の時になっていた感情を持ってきていた。
ーーとにかく目の前の奴をぶちのめすーー
タカノはガードを構えながら、ジャブを放ちそのまま連撃でパンチを放って行った。
喧嘩と言えど、長い間....
愛する人を目の前で殺されて守れなかった後悔から格闘技にどっぷり浸かっていたので出た技だった。
ディンワンはそれらをひらりと交わしてコンビネーションの隙間でディンワンが背中で体当たりをしてきた。
全身に重たく衝撃が走ったのと同時にタカノは吹き飛んだことに気がついた。
吹き飛ばされてタカノは地面に倒れ込んでいた。
立ち上がろうとしたが、身体が言うことを聞いてくれなかった。
どうやらさっきの衝撃で脳が揺れて、ダメージの影響で動きが鈍くなっているようだった。
タカノは吠えながら、立ち上がってまだ戦える意志を見せるためガードを構えたが....
「その精神力は素晴らしい、技術も悪くはない。
だが、喧嘩の高揚感だけで戦おうとするのは間違いだーー
戦いってのはいかに自分が優位に立ちながら、効率よく相手を破壊することだ」
ディンワンはそう言ってすっとタカノの懐に入り込んできた、タカノはそれに合わせてアッパーカットを放ったがそれよりも先にディンワンの掌底が下から顎を捉えて、そのまま後頭部から頭を叩きつけられたーーー
タカノはハッとして、起き上がるとすでに夜になっていて横には心配そうな顔をするミミとシンがいた。
「あれ、もしかしてあれからだいぶ経ってたの?」
ミミはうんと頷いてタカノの手を握ってこう言った。
「そうですわ...とにかく起き上がってきてくれて嬉しいです」
ミミはそう言って少し涙目になっていた。タカノはそっとミミの手を握り返してこう言った。
「ごめんな、心配かけさせて」
するとその時だった...
背中からずしりとディンワンの声が聞こえてきた。
「目は覚めたか?よかった、私も少々本気を出す羽目になってしまって......
シン殿がいないと危うく君は死んでたところだった。すまない」
「え...?」
タカノは目を見開いて驚いたが、ディンワンは淡々とことの次第と先ほどの評価を語り始めた。
「掌底を喰らったあと、
君の天女様か頂いたであろう異世界の勇者の力が暴走してなー
君が捨て身の人間の限界の身体能力を発揮されて、私は偃月刀を使わざるおえないことになった。
君には悪かったんだが、少々左腕を切り落としてな...」
タカノはそれを聞いて、慌てて左腕を見るときちんと生えていたことに安堵した。
どうやら、シンが治癒魔法で治療してくれたようだった。シンが助けてくれたというのはそのことらしい。
ディンワンは手を差し伸べて話を続けた。
「君は確かに強い。
よく訓練してるし、数々の実戦を潜ってきたことはわかった。
称賛にたたえるべきことは多いーー
だが、一つだけ武官として足らない要素がわかった。
精神を自分でコントロールできていないところだ...だから、天女様からいただいた能力をまだ使い慣れていないーーー
君の戦い方が喧嘩だ。
感情をぶつけすぎてるーー
精神のコントロールと武芸を私は君に伝授する」
タカノはそれを聞いて、
どこか確かにと思える気がしていた。
昂った感情をぶつけて今まで戦いに挑んできたからだ...
あの魔王軍の一団と戦った時はまさにそう感じられたからだ、でもそれでは武官としてはダメなようだーー
タカノは立ち上がり、拱手を作り礼をしてこう言った。
「ディンワン様。ご指導よろしくお願いします。
俺を...ミミに見合うおっ...
武官にしてください!」
一瞬、本音が出かけてそれを堪えたがディンワンはそれを聞いて笑みを見せてタカノと同じように拱手を作りこう言った。
「心配しなくても、
我が友のラハトとその娘から君を娘に見合う男に仕上げるように磨くように頼まれてる。
厳しいかもしれないが乗り越えてくれ」
「はい!」
タカノはそう言って頷いた。
それを見ていた、ミミとシンは嬉しそうな顔をしてくれていた。
タカノ「今思い出すと...あの日々は辛かったな」
ミミ「ですわよね。慣れない国での生活に加えて、いきなり色々詰め込みましたからね。タカノ様はとても大変だった思いますわ」
タカノ「でも、今思えばそれがあっての今なんだなと思うこともある。
やっててよかったし、投げ出さないで進んだことが今のこの生活があるんだと思う。
じゃないとミミや娘たちに出会うこともなかった」
ミミ「そうですわね」
ラハト「私的には作戦大成功なので喜ばしいことで」
タカノ「え、作戦?」
ラハト「あ、聞こえちゃいました?気にしないでください。(誰も、素質ある勇者を我が家に引き込んで家の復興をとは言えませんよ)」
タカノ「うん...ちょっと待ってください。お父様?それって...え、まさか(娘を利用して俺釣ったのか...?)」
ラハト「え、まぁ...(あちゃ)」
ミミ「ウィンウィンですわよ。それでいいではありませんか」
タカノ「うん...ミミがそういうならいいんだけど。
次回、修行の日々は地獄だった...
えちょっと今からがきついやつ本番なの!?」
ミミ「作者様は全力で頷いてますわ」




