家路は遠く、裏庭は見えず
もうちょっと猟期〆エピソードが続きます。
※本作品はフィクションです。
※実在の人物、団体、事件、地名、技術、科学的根拠を保証するものではありません。
※また、取材の過程で入手した情報が一部反映されていますが、
※別の地名・時代・人物の話を複合的に盛り込んでおり、実際の出来事や法律と一致するものではありません。
※法律・植生・科学的事実について裏取りが出来ていないものを含む「創作」「ファンタジー」であることをご理解ください。
※偶然書いてあることが何かに一致しても真実だったり嘘であっても著者は一切責任を負いません。
これは新しい場所の狩にいくといつも思う事だけれど、
基本的にすべての狩場が初見殺しで、それは人間だけじゃなく、犬にも言えることなのかなーって。
「今回の地形を大雑把に見ると、大きな谷の両脇を尾根が固めてる地形になっぺ。水門さ目印して下ればよかんろ」
師匠が口火を切ったところから、会長が全体の流れを説明し、竹野さんから犬使いチーム向けの指示が入る。
「お前は真ん中だから降りてまっすぐでいい。犬は離すなよ」
「犬を離さないコツとかってなにか助言いただけないですか」
「お前がしつけできてないのは知らんが、親方の声がすれば、聞こえないほど遠くまでは行かんべ」
うーん、午前にエドの戻りが悪かった手前、返す言葉もない。
「分かりました。やってみます。」
「じゃあよ、配置着いたら無線入れっぺ。縄離すのは目星ついてからだかんな」
アマチュア無線は本当に、ないと困る生命線だけど、このアマチュア無線って、
第二次世界対戦のドイツ戦車にあったのとかと技術レベルが大差ないよな、って考えると
さすがに進歩の仕様がもっとあるのでは?と思ってしまう。
ともあれ、私は小学生たちと試験会場で机を並べながら撮ったアマチュア無線をフル活用して連携。
<ついたぞー>
<会長、俺はあと5分だ>
そんな集合状況のやり取りを聞きながら、少しでも土地勘を掴もうと、
スマホで調べたり、簡単に見渡したりする。
どうやら尾根がだんだん入り組んできて勢子どうしが近づきながらタツマに出会うのと、
単純にまっすぐではなく、L字型に曲がってる谷なのはわかった。
あと、目印はゴールの廃屋。
<始めるぞ。犬入れろ>
会長の指示でゆっくり下り始める。
エドはまだ吼えないけど、古めの鹿の痕跡は随所にある。
斜面の最初100メートルくらいは遊歩道で、雪が残る時期なのもあって、
人影はゼロ。人の足跡も無し。
銃にカバーをかけたまま、一気に林道が切れるゾーンまで進む。
「キャオォーン!」
エドのイマイチ迫力が無い一吼えで、通話の空気が変わる。
<で、どっちだ>
<L字、手間側の斜面ですが>
手前の斜面なのだけど、完全に土砂崩れで砂が露出してる。
標高で20m、坂の長さで30m以上、完全に砂場だ。
・・・うん知ってた。エドは四足だから余裕だよね。
例によって水を空けられ、もとい砂を空けられ、仕方ないので適当にホーホー発生しながら砂を渡る。
一歩ずつさらさら崩れて行くし、掴むところもないし、エドはどんどん離れて行くし、
今にも崩れ落ちそうなところを、慎重に進む。
<おい、犬が対岸を超えたぞ>
まさかの、砂場の中腹ど真ん中で、実質的に巻狩り終了のシチュエーション。
<岡本、呼び戻せ>
<了解です>
失意の中、砂から落ちないように必死にしがみつきながら、エドを呼び戻す。
そして戻らない。
正直、無駄なのは分かっていた。
<車回すけ、廃屋まで来るっぺ。犬もそこで呼ぼう>
<まだ廃屋まで見えないですが、了解です>
砂場を抜けると、急なだけの普通に草花のある斜面を同じ標高で回り込む形で進んでいく。
水門が現れるあたりで、やや斜面が緩やかになり、木々もまばらになり、視界が開ける。
<廃屋、見えました>
<犬はこっちで拾ったど>
<ありがとうございます!>
<しつけはダメだけんど、誰にでも寄って来るのは便利だっぺ>
<そだそだ、岡本はまだ使えんけど、犬だけでももらってくっぺ>
<そ、そんなぁ>
<まあ、エドのほうが先に一人前になっちまったな>
師匠からのフォローかどうか自信の持てない微妙なフォローで一拍空く。
そのとき、丁度廃屋に辿り着く。
ガシャーガタン
嫌な音が響いてきて、事故の不安に駆られて振り向くと、林道の廃屋合流地点手前で
僕のライトバンが速攻に片車輪落ちてる。
<悪ィ岡本、一緒に押してくれ>
「了解です」
無線に肉声で返して押し上げると、あっさりライトバンは道に乗った。
やっぱり、軽自動車は2~3人集まれば押し上げられて便利だ。
<この回を終わって今日は終わりだあ。納会の準備すっぺー>
会長が締めくくり、各々、自分の車に向かう。
明朝は仕事だし、自分の山も回りたいし、さあ、どうしようか。
各話挿絵付きという方向で、やってみていますが?いかがでしょうか。
解説回では、そのうち複数の写真を使って説明することがあるかもしれません。
狩猟関係または本作品関連で質問を頂けましたら、本編のネタとして使いつつ
応えていけたら楽しいなと思っておりますので、気になることがあれば、感想等の機能を用いて
ぜひご質問をお寄せ下さい。
現実的に応えられる程度の質問数であれば、全部応えて行きたいと思っています。




