68. 話の伝説は大体主人公で決まる。
久々投稿になってすみません。今回は、遂にサツキちゃんが聖剣を手にします!文章いつもより多めですが、読んでくださると嬉しいです!
それではどうぞ!
外野の驚く顔は今日だけで散々見飽きていた。だからこそ、私は一人でいることを好ましく思うようになっていたんだと、今だけは、そう解釈したい。
外野を背にして、私はゆったりと出口へと歩き出す。
「...それじゃあ、もうこれ、要りませんね?」
そう言いつつ、私は身に着けていた仕立ての良い黒のジャケットを脱ぎ、背後へと投げる。宙を舞う黒いジャケット。ふわふわと漂うそれを見事ギルマスがキャッチしたその時には、私の服装は受付のお姉さんのそれとは変わっていた。それもそうかと思っている人もいるだろう。だが...
「め、メイ!?なんでもう依頼受けてる時の服装になっているんだ!?」
白いカッターシャツに藍色のベストを着用、プリーツスカートは赤字にチェックをあしらい、黒のハイソックス、長旅に最適だと言われたため、汚れの目立たない黒のスニーカー。そして、スニーカーやハイソックスと同色のロングコート。それに加えて赤い膝丈までの長さのマフラーが黒髪と共に風に靡く。
静寂はどよめきに代わり、周りの反応はクルクルと変わる。多少興味は沸いたものの、聖剣の話の方が私の頭を占めていた。
「それで、地図をいただけますか?あ、紙媒体でお願いします。...ギルマスは、要りません。」
私は背後を振り返り、左手を前へと出す。驚きからか一言も発しないまま、サミュエルは筒状に丸まった古びた紙を手渡してきた。私はそれを受け取り、礼を言う。そのまま、ギルマスの呼ぶ声をBGMに、外の世界へと足を踏み出した。
...と、ここまでは良かったのだが、地図を開いてみて気づいた。これは幼稚園児が一生懸命描いた落書きか何かだな、と。
「...全く分からん。これじゃあどう進んでいいか...。」
大きなため息が自然と出てしまう。クレヨンだよ、これ。誰だよ書いたの...。下の方に、描いた人物の名前がまるで画伯のように載せてあった。
「ギルマスじゃんかーーー!もっとマシなもん描けーーーー!!」
取り敢えず、それまで見ていた落書きを空高くへとぶん投げ、街を歩く人々に聞きながら、私は聖剣の置かれている初代勇者の館へと足を速めた。
旅立ってから5日経過...
「...着いた。」
薄暗い森の中心部に、ぽっかりと開いた大きな平地。そこに、初代勇者の館は、ひっそりと佇んでいた。中世ヨーロッパ風の少し古びた洋館で、外の壁には蔦が覆っているような状態だ。B級のホラー映画とかゾンビゲームとかに出てきそうな洋館だ。しかし、怖そうなのは外装だけだったようで、大層な門を通るとこれまた大きな噴水が姿を現した。中心部に美しい女神がいて、両手でしっかりと大きな壺を抱えて、それを天高くに掲げ、その大きな壺から水が溢れる仕組みにしているようだ。女神は目を閉じて『我が清き水を与えようぞ』と言っているみたいに見える。その周りを水が囲んでいるのだ。凄い趣味だよ、初代勇者。
私は、目的の代物『聖剣オラシオン』の刺さっていたとされる場所に向かうことにした。探していた物は、この館の裏手に回ったところに見つかった。神々しく輝く聖剣、それはまさに白一色と形容してはいけないものだった。白銀とも白金ともいえる色に、進む足が止まらない。そのまま近づく。
神聖なるこの剣に触れて良いものなのだろうか...。そんな考えは、剣を見た瞬間に消えていた。ただ、この剣を手にしたいという思いが、私を、その剣へと向かわせたのだ。
手にした瞬間、剣は勢い良く抜けるものではなかった。そこで、少し力を加えて引き抜いてみた。
...結果は、何故か巨大なクレーマーのようなものが出現してしまったが、無事に抜くことができた。私はそれを専用の鞘(ギルマスが直前にくれた...奪った、とも言うが)に収め、元来た道へと戻っていったのだった。
後に、この剣が『勇者でないもの、聖剣に触れるべからず。さもなくばその手、紅蓮の炎に焼かれ、跡形もなく朽ち果てるだろう』と言われていたことを知り、激しく動揺してしまうのだが、それはまだ、先の話。
いかがでしたか?ちょっと力を入れただけで巨大クレーターできちゃうとかいうチート女性です。
そして、今回も、ブクマ件数+2件で、計52件となりました!嬉しすぎて逆立ちで喜んでおります!←
これからも作者作品共々、どうぞよろしくお願いします!




