52. 話のポジショニングは大体主人公で決まる。
さて、前回より日が開いてしまいましたが、今回は頑張って何話か(今のところ決めてはおりませんが)投稿していきたいと思います!
それでは、前回の続きからどうぞ!
心地よい暗闇から解放されて、まず我が目を疑った。私は昨晩、確かに森(と定義してよいのか激しく疑問を抱いているが)に居た。大きな幹を持つ木にもたれかかり眠りについたのは、記憶に新しい。しかし、今目の前の光景は、木が存在しない。否、存在はしているが、それは元の姿ではなく、加工済みの、所謂家具というもの達へと姿を変えていたのだ。
そう、私は、現在進行形で何処かの家にいるようだ。
家の構成を見るからに、此処の主人は農村で暮らしている者のようだ。私のいる小さな部屋には、小さな窓に寄り添うように木製の簡易ベッドが置かれ、部屋の中央にある座卓には、私がそれまで着ていたパーカー等が、洗濯されているのか綺麗に折り畳まれて置かれていた。また、窓と反対が側のベッド横に取り付けられている小さな机には、蓋の乗った皿がいくつかおいてあった。そして、一緒に置かれている水の入った木製のコップの下には、何やら置手紙がしてあった。私はそれを慎重に取ると一目する。
「『よく眠っているようだから、ご飯は此処に置いておく。冷めていて申し訳ないが、我慢してくれ。何かあったら外に居るから、気軽に声を掛けろよ。』...なるほど。」
字体から察するに、これは男の人が書いたのだろう。急いでいたのか、字が多少荒ぶっている。私の他に人の気配がしないことから、この手紙を書いた人は一人暮らしではないかと推測する。
私は、それまでの一旦考えを止め、ご飯を食べるため、蓋を開ける。中には、生まれて初めてお目にするようなものもあった。代表例は真っ白いフレンチトーストだ。白い粉砂糖がのっているから白いのか、とも思ったが、なるほど、この世界の卵もパンも白いようだ。外はサクッと、中はふんわりとろけるような仕上がりに、思わずため息が漏れた。絶妙な甘さも、食欲を掻き立てるのには十分すぎるほどだ。他にも、赤い色をした葉野菜のサラダには、黄色い胡麻ドレが彩りよく添えられ、意外にも味は私の居た世界のそれと相違なかった。一番驚いたのは、真っ黒いシチューだ。これは焦がした失敗作なのか?と、若干手が伸びずにいたのだが、思い切って口に運んだ瞬間、それは間違いであることが分かった。これは、今までの概念を覆すものだった。味はどちらかというとやはりビーフシチューに近いのだが、キチンと牛乳のまろやかさ、食材のうまみが凝縮された汁、煮込まれた野菜の柔らかい食感、冷めても美味しいが、今度は是非とも作り立てを頂きたいものだ。
不思議なご飯をお腹いっぱい堪能した私は、最後に、普通の水に驚きつつそれを飲み干し、暫くは何をするでもなく、ぼぉっと窓の外を眺めていた。
いやぁ、謎の料理をためらうことなく口に運んだこの女の子。凄い勇気ありますよね(汗)。作者なら迷わずビクついて食べませんよ。今までデンジャラスな料理をお作りなさる方々に散々殺されかけた(物理的、また精神的に)のでね。
さて、次回はいよいよ置手紙の主とご対面か!?です。どうぞお楽しみに!




