41. 話の試練は大体主人公で決まる。
5章突入回です!遂に新しいオリジナルの武器(双剣)を手に入れたリチ君。さぁ、セバスチャンさんに勝つことはできるのでしょうか...?
それでは、どうぞ!
セバスチャンさんの殺気は、普段からは全く想像できないほどの威力を持ち、肌という肌に激痛が走るものだった。流石元勇者、その強さは伊達じゃない。...だけど、そんな彼から受け取ったこの双剣は、自然と俺によく馴染んでいて、これなら何とかセバスチャンさんを倒せるんじゃなかろうか?という錯覚さえ芽生えてきた。俺、この二刀で最強目指すぜ!
...と、息巻いていた時期も確かにあったのは、紛れもなく事実です。ええはい。ワタクシメは、それはもう、高笑いの後に『俺だって、俺TUEEE!な主人公なんだぜ!』とかって、デカイ声で叫んでいましたよ、恥ずかしい位に。
結果は予想通り、完膚なきまでに叩きのめされましたよ、それも一瞬、瞬殺です。
「な、なんで...?どうして...?俺は、強くなったんじゃあ...?」
地面に叩きつけられて身動きの取れない俺は、必死になって顔だけを上げ、呻くことしかできなかった。
「何をふざけたことを言っているのですか?私は以前申し上げたはずです。『本来勇者という者は、最初からチート能力や魔法の類を持っているというわけもなく、ただ、成長する過程で身に付けていくため、初めのうちは、魔物内最弱であるはずのスライムでさえ、まともに倒すことはできない。よって、聖剣を抜くには、相当強くなる必要があるのだ。』と。あなたは何を聞いておられたのです?まさか、たかが剣を変えただけで、俺にもチート能力が授かる!とでも思っていらっしゃったのですか?あなたの頭の中は、さぞかし素敵なお花畑なのでしょうね?今度、是非その頭を割って、見せてほしいものです。」
セバスチャンさんのバックに太陽があるせいか、セバスチャンさんが影になっていて顔がよく見えない。今の表情は想像でしかないが、素晴らしく黒い笑顔なのだろう。...見えなかったことに、感謝しないとな。
俺は、冷や汗をダラダラ掻きながら元勇者を仰ぎ見る。彼は俺に手を差し伸べるでもなく、突っ立っていた。この頃連日のように修行三昧のため、正直体が思うように動かない。全身筋肉痛だ。
「何時までそうしているつもりですか?地面と愛し合うのはあなたの勝手ですが、私も忙しい身。後30秒で立ち上がらなければ、一生二本足で立てないようにしてしまいますよ?」
穏やかな笑みのはずなのに、彼から発せられる毒と瞳のどす黒さがマッチして、とんでもなく恐ろしく感じる...。この人本当に元勇者なの!?魔王の方がよっぽど天職だったと思うんだけど!?
俺は大急ぎで全身に活を入れて立ち上がると、至極残念そうに眉を下げ俺を見つめてきたセバスチャンさんに言った。
「...俺は騎士団長じゃないので、毒を吐いて楽しまないで下さい。俺、豆腐メンタルなんですから。それと、俺が立ち上がったの、何でそんな残念そうな顔で見るんですか。そんなこと言われて喜ぶ奴、普通いませんからね?」
...M属性を除いては...な?
いやぁ、当初のセバスチャンさん像が跡形もなく消え去ってしまい、後には真っ黒な人が出来上がっておりました...。それでも、セバスチャンさんは良い方のはずです、きっと...!←
これからは、暫くリチ君の特訓回となります!次回もお楽しみに!




