第10話 断絶
夜の街を震わせる紅紋の光。
リムは全身で青と金の光を爆発させ、赤黒の影に立ち向かう。
『……みなと……もう、限界……』
「大丈夫、リム! 一緒に乗り越える!」
俺はリムを抱き、拳を握り締める。
レナも手帳を片手に、冷静な声で指示を飛ばす。
黒い影は一瞬で距離を詰め、赤黒い光で街を支配しようとする。
周囲の声は消え、空間が静寂に支配される――断絶の瞬間だ。
『……ぼく……でも……守る……!』
リムが光を最大限に放ち、青と金が赤を押し返す。
街の声が少しずつ戻り、空気に温もりが戻る。
「レナ、奴の動きはこれまでのパターン通りか?」
「ほぼ。だが、力が増している……!」
解析しながら戦うレナの声に、俺は頷く。
「なら、この連携で押し切る!」
三人の光と意志が重なり、黒い影の動きが乱れた。
裂けた声、紅紋、そして響炎――
全てが融合し、街の空間に力強い光の波が走る。
黒い影は一瞬、揺らぎ、赤黒の光が裂ける。
『……やった……!?』
リムの光が爆発的に広がり、街を包み込む。
俺たちは限界を超え、初めて影を押し戻すことに成功した。
しかし、その目に映る黒い影の核心は未だ遠い。
――断絶。
光と闇の間で生まれたこの隙間こそが、次の戦いへの布石だった。
三人は息を整え、再び街を見渡す。
声を取り戻した街、人々の小さな笑い声が戻る――
だが、黒い影の正体、そして真の目的はまだ見えない。




