50 最後の春休み
お待たせしました第50話を更新しました!
研修の準備をして、いよいよ研修スタートですけど、まだ医師免許登録済証明書が来ません! まあ、申請して一ヶ月は掛かるということなのでもう少し掛かるかな……
北総での挨拶回りも終わり、荷物の整理です。私達四人はアパートの同じ三階で302号の小路丸さん303号の南条さん305号の私と306号の二階堂君です。ちなみに城戸先輩は同じ棟の203号です。二階堂君と小路丸さんのバイクはバイク専用の駐輪場に隣同士で止めてありました。私のクロスバイクを間に止めておこうかな…… まあ、私のクロスバイクはアパートの自転車専用駐輪場に止めてありますけどね! そんな事を思いながら私はダンボールを開けて衣類をタンスに、いくつか持って来ていたパンプスやミュールも靴置きに整理しました。これで整理はほぼ終了です。車の駐車場もありますけど、病院までは徒歩一分というところでしょうか。非常に近いですけど…… 周りにはやっぱり何も無いです。はあ、こんなところで私、生きていけるのかな……
片付けも終わり病院の食堂で食事をしている時でした。
「今村さん、食事が終わったらちょっと良いかな?」
精神科の河合部長です。ここ数ヶ月の間に立派な顎髭を貯えています。
「はい、解りました」
そう答えましたけど、たぶん治療の事でしょう。
「あの、今村さん、さっきの髭の先生は誰ですか?」
南条さんは不安そうに私に訊きました。
「精神科部長の河合先生だよ」
「河合先生って何だか怖そうですね!」
小路丸さんまでがそう言いますけど……
「全然そんな事ないよ! 凄く優しい先生だから」
まあ、河合先生より外科の内藤先生の方が怖いかも……
「飛鳥!」
「あっ、先輩」
「車、買ったんだって」
「はい」
「あとから見せてもらおうかな」
「ええ、今からでも良いですよ!」
「悪いけど、今からカンファがあるから」
「えっ、手術ですか?」
「うん、明日ね! それじゃ」
そう言って城戸先輩は行ってしまいました。
私は食事が終わった後、精神科の医局に行きました。
「先生、よろしくお願いします」
「うん、普段は二週間に一回のホルモン治療をしているんだよね」
「はい、あと後遺症等が出ていないかを半年に一回検査をしています」
「うん、解りました。私はGIDの治療は初めてだけど今村さんは僕より詳しいようだし、いざとなれば本店の上杉先生や今津の案西先生にも助けてもらえそうだしね」
ハハ、上杉先生も本店扱いなんですね……
これで研修の準備は整いました。後は医師免許登録済証明書が届けば研修をスタート出来ますが、やっぱり二十日を過ぎないと届かないかな…… そんな中、玲華と梨菜は毎日のように家に遊びに来てます。
「まったく、毎日毎日暇だね!」
「だけど今だけだからね、研修が始まればなかなか遊べないよ!」
まあ、確かにそうですね……
「玲華も梨菜もまだ登録済証明書は来てないんだよね」
「来てるなら飛鳥の家には来てないわよ」
はあ、やっぱり暇潰しに来てたのか…… 私達は毎日のようにゲームとかトランプをして遊んで、偶には街をぶらついてウインドウショッピングもしました。
「玲華、お昼パスタでも食べに行かない」
「梨菜はいつもパスタだね」
「あれ、飛鳥知らないの? パスタはエネルギー交換に優れているから太りにくいんだよ」
「それは解るけど……」
それって食後にちゃんと運動した場合だよね……
私達は梨菜の要望により近くのパスタ専門店ピエロトに行きました。私はここのキノコとベーコンの和風パスタが好きですけど、北総の近くには無いですよね…… 私、耐えられるかな…… 梨菜は太りにくいとか言ってたわりに野菜とベーコンのクリームパスタを頼んでいました。玲華は明太子カルボナーラを頼んでいます。何だか胃もたれしそう。
ランチを終えて、また家へ戻って来ました。あっ、ポストに何か入ってますけど……
「飛鳥、それって……」
「うん」
そう言ってポストを開けると…… 電気の明細書でした。
「なんだ、違うのか!」
あれ、でも奥に何かあります。私が引っ張り出すと…… 見慣れた文字でうちの住所と私の名前が書いてある葉書が…… これは!
「飛鳥それって……」
玲華もそう言って息を呑みます。そうです。医師免許登録済証明書です。やっと届きました。
「あれ、それってもう春休みは終わりって事だよね」
梨菜はいつまで春休みをするつもりなんだろう…… 取り敢えず私はその事を北総の鳥越院長に報告しないといけません。その報告をしたとき院長からは『明後日の朝八時に院長室まで来てもらって良いかな』という事でした。
「飛鳥、明日から仕事なの?」
梨菜からそう訊かれましたけど……
「明後日の朝八時に院長室にだって!」
「じゃあ、明日までは遊べる訳ね」
玲華って楽観的だよね……
「飛鳥、私帰るよ」
「えっ、梨菜どうしたの?」
「私の家にも通知書が来てるかも知れないから」
そう言って梨菜は車に乗ります。
「ねえ梨菜、申請はいつ出したの?」
玲華もちょっと気になっているようです。
「えっと、三月十八日かな」
「飛鳥はいつ申請したのよ?」
「私は三月十七日だよ」
「という事は梨菜より私の方が早いかも」
玲華は私と同じ十七日に申請してたようです。まあ、国試の合格発表が十六日だった訳だからだいたいその辺の申請ですよね!
そのあと玲華のアパートへ行くと通知書が来ていました。
「あっ、春休み終わりの通知書だ!」
玲華はまだ言ってます。
「私もやっぱり見に行こう」
そういう事で梨菜のアパートへ行きましたけどポストの中にはまだ通知書は来てないみたいです。
「はあ、私はまだか……」
「ねえ、玲華は研修いつからになった?」
私が訊くと……
「やっぱり明後日の朝八時までに来てだって」
玲華がそう言ったあと、梨菜が……
「それじゃ、明日は三人で思いっきり遊んで美味しもの食べて終わりにしない」
「うん、良いね!」
玲華と梨菜は意気投合したようでしたので私も一緒に行動する事にしました。
翌日も朝から三人一緒です。
「今日は何しようか?」
「ねえ、玲華は彼氏さんとは遊ばなくて良いの?」
「あっ、いいのいいの! 日曜日とかじゃ無いと無理だし、日曜でも日直とか前日からの宿直明けだとなかなかね……」
やっぱり医師というは大変です。私達もそのうち日直とか宿直があるんですかね……
「ねえ玲華、モールタウンに行かない」
「良いけど何するの?」
「うん、そろそろ夏物の服をね!」
「飛鳥はまた買うの?」
「えっ、玲華も梨菜も買わないの?」
「そんなに毎回はね……」
「それに今からは白衣を着る事が多い訳だしね」
「でも、白衣の下に着るでしょう」
「外科は基本的に白衣の下はスクラブなの」
「私は精神科だから」
「私も内科だから」
私と梨菜がそう言うと……
「まあそうかも知れないけど、まだ研修がある訳でしょう」
まあ、そうだけど研修中ってそんなに手術は無いと思うけど…… あっても私達は見学とか手伝いレベルじゃないのかな。そう言いながら私達はモールタウンへやって来ました。思った通り春物バーゲンと夏物が揃っています。
「ねえ、飛鳥はミニとか履かないの?」
「えっ、ミニってミニスカートの事?」
「うん、飛鳥は脚も綺麗だから似合うと思うけど」
うーん、ミニを履くというのは結構勇気がいりますね…… 梨菜は私の脚は綺麗とか言うけれど、ちょっと自信ないかな、ちょっと太い気もするけど……
「ミニはちょっと無理だよ」
「えっ、飛鳥が無理なら私だって無理だよ」
いや、梨菜は私より身長だって少しだけどあるし、痩せてて、胸もあるから似合うと思うけどな……
「そんな事ないよ! 梨菜は似合うと思うけど」
「いや、私は無理だよ」
「それじゃさ、二人で履いて並んでみれば、私が見てあげるから」
私と梨菜が話している間に玲華が入って来ました。
「えっ、玲華はずるいよ! そんな事言うなら玲華も履きなさいよ」
まあ、まず玲華は履きませんね! 普通のスカートだって履こうとしないし……
「私は関係ないもん梨菜と飛鳥が言い出した事でしょう」
いや、私は梨菜から誘われたから…… まあ、そう言っても仕方がないので淡いピンク色のミニを履いてみる事にしましたけど、やっぱり自信無いかな…… 梨菜はグレーっぽいのを選んだみたいですけど、私はトップスに白いブラウスとボトムスに淡いピンクのミニを履いて試着室のカーテンを開けます。
「どうかな玲華」
やっぱりちょっと恥ずかしい……
「うーん、やっぱり飛鳥はロングの方が似合うかな」
今度は私の隣で試着していた梨菜が出て来ました。
「私は飛鳥の方が似合うと思うけど……」
でも、思った通り梨菜の方がスタイルも良いのでミニもトップスのブラウスもとてもよく似合ってます。
「ごめん、飛鳥はやっぱりもう少し長い方が良いかも……」
玲華にそう言われてしまいました。やっぱりそうですよね……
「飛鳥もスリムだし脚だって細くて綺麗なんだけど、やっぱりミニは無いかな……」
そういう事で軍配は梨菜に上がりました。やっぱり私は、膝下のスカートとかロングの方が似合ってると思います。好みもロングやワンピーが良いですしね! そんな訳で今回は花柄の夏物ロングスカートを購入しました。ワンピーはまた今度でも良いかな!
そうこうしてるうちに、夕方になってしまいました。
「飛鳥は夜ご飯はどうするの?」
「私は家で食べるよ! 今日中に北総のアパートへ行こうと思っているから」
「そうか、その方が明日ゆっくり出来るよね」
「うん」
そういう事で私達の最後の春休みは終わりました。明日からは研修が始まります。
登録済証明書も無事届き、いよいよ研修スタートですけど…… 何もない山の中で私は耐えられるでしょうか?




