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憧れの医療  作者: 赤坂秀一
第六章 最後の春休み

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49 四人の同期生

お待たせしました第49話を更新しました!


いよいよ新生活が始まります! とは言っても医師登録済証明書が来ないと研修は出来ませんけどね。

 四月七日、私は医療法人清済会(せいさいかい)の入社式に行きます。と言っても北山総合病院へ行くのではありません。場所は橋本市文化センターです。ここってよくコンサートやライブとかで使われますよね、確か大ホールが一つと中ホールが二つくらいの施設だったと思います。ここに清済会系の医療機関の新人が集まる訳ですね! 私も早速受付をします。

「おはようございます」

「おはようございます。所属される医療機関とお名前をお願いします」

「北山総合病院の今村飛鳥(いまむらあすか)です」

「えっと、北山総合病院の今村さんですね、B列の七番目からになりますのでそちらにお願いします」

 そう言われて奥に入って行きました。

「今村、こっちだ!」

 あっ、二階堂(にかいどう)君です。

「おはよう」

「よう、これでうちは揃ったな」

 北山総合病院の新人は私達と二人の女性です。

「あの、看護師の方ですか?」

「あっ、いえ、これでも医師です」

 とは言っても今回は紺のスーツとタイトスカートにストッキングと黒のパンプスなので医師というより新入社員そのものといった感じです。でも二階堂君だってグレーのスーツですけどね。

「失礼しました。私達は看護師の小路丸梨子(こじまるりこ)南条雫(なんじょうしずく)です」

「あっ、私は今村飛鳥です」

「僕は二階堂義樹(にかいどうよしき)です」

「あっ、よろしくお願いします」

 私の同期はこの四人のようですね!

 この後、入社式が始まります。会長さんからは有り難い挨拶がありました。その後は清済会の病院案内等もありました。時間的には一時間くらいで入社式は終了しましたけど…… これだけなの?

「今日はこれで終わりなのかな」

「うん、でも明日は北総(きたそう)に行って荷物を受け取らないとな」

 そうでした。明日は北総へ行かなくてはなりません。それに送った荷物の整理もありますからね!

「二階堂君は今日はどうするの?」

「ああ、有村町(ありむらちょう)に帰るよ!」

「ひょっとしてバイク?」

「いや、バイクはもう北総のアパートにあるよ。だから電車なんだ」

「車は持ってないの?」

「うん、研修が終わったら状況が変わるかも知れないからな」

 そうか、二階堂君は北総に九年間いる訳じゃないからね。

「あの、バイクに乗るんですか?」

 小路丸さんが話し掛けて来ました。

「ああ」

「私もCB1000に乗ってます」

「そうか、俺はゼファー1100に乗ってるんだ」

 えっ、なにそれ! 二階堂君とても嬉しそうなんだけど……

「良いですね、ツーリングしませんか」

「そうだな、今からは良い季節だしな」

 なんだか小路丸さんと二階堂君っていい感じでちょっとイラっとするんですけど、これってジェラシーでしょうか……

「小路丸さんと南条さんって自宅は橋本市(はしもとし)なの?」

 私はちょっと話題を変えようとしました。変に思われていないかな……

「私は一條市(いちじょうし)です」

「そうなんだ、南条さんは?」

「……」

「あの…… 雫は、今津市(いまづし)ですよ」

 えっ、なんで小路丸さんが答えるんだろう。

「……」

「あの…… 雫は人見知りなもので……」

「あっ、そうなんだ……」

 南条さんは頬を赤く染めて何だか恥ずかしそうです。なんだか可愛いんですけど!

 この後、三人をとっぽちゃんに乗せて橋本駅まで送りました。

「二階堂君、明日はどうするの?」

「城南駅からバスで行こうと思っているが……」

 えっと、それはやめた方が……

「バスは本数が少ないから城南駅から四人で私の車で行った方が良いと思うよ」

「えっ、そうなのか! コミュニティバスがあるとは訊いていたけど」

 そういう事で明日は城南駅前のコンビニに集合となりました。

「今村、それじゃな!」

「じゃあね!」

 その日はこのまま家の近くのコンビニに寄って帰ります。

「あれ、飛鳥!」

 えっ、玲華(れいか)がいました。

「何してるの?」

「何してるって買い物、飛鳥もコンビニとか来るんだ」

 そりゃ行きますよコンビニくらい。

「玲華のアパートはこの辺だっけ」

「そうよ、道向かいの茶色の建物。ところで飛鳥はどうしたの? スーツなんて着て」

「今日は医療法人の入社式だったから」

「えっ、北総でやったんじゃないの?」

「ううん、橋本文化センターだよ」

「へえ、そうなんだ」

「よその病院からも沢山来てたからね」

「ねえ飛鳥、お昼一緒に食べない?」

 えっと、それって何か作れって事かな?

「良いけど、じゃあ私もお弁当でも買おうかな」

 ちょっと予防線を張っておきましょう。

 私はとっぽちゃんに玲華を乗せアパートの駐車場へ移動した後、玲華の部屋へ入ります。

「さあ、どうぞ!」

「お邪魔します」

 あっ、そうだ金魚はどうしたのかな?

「玲華、金魚はどうしたの?」

 そう以前橋本祭で買った金魚です。

「あっ、あれ、私のアパートじゃ生きていけないかも知れないからうちの病院の理事長室で元気に暮らしてるわよ」

 なるほど、死んじゃったら可哀想だもんね…… 私達は買って来たお弁当を食べながら色々と話をしました。

「それで明日も病院へ行くの?」

「うん、明日は北総に行って送った荷物の整理をしないとね」

「そうか、でも良いよねアパートも食事も病院から出て」

「いや、全額じゃないよ! 私達もいくらかは負担しないとだし」

「そりゃそうだけど」

「それにこの辺と違って近くにコンビニやスーパーはないからね」

「スーパーは車で十分のところにあるんでしょう」

「うん、営業時間が朝の十時から夜の七時までだけど」

「まあ、利用するのは難しそうね」

「うん」

「ねえ、今から飛鳥の家に行っても良い?」

「えっ、良いけど……」

 玲華は何を企んでいるんだろう。

 まあ、そういう事で私は玲華と一緒に自宅へと戻って来ました。本当、玲華は暇そうだな……

「ただいま!」

「飛鳥、誰もいないんじゃないの?」

 まあ、家に帰れば自然と口にしてしまいます。

「あっ、おかえり」

 姉がいました。

「あれ、今日は学校じゃなかったの?」

「うん、そうなんだけど、この間の代休もあるから」

「ふーん、玲華コーヒーで良い?」

「うん」

「コーヒーは私が作るから着替えて来たら」

「あっ、うん、お願い」

 まあ、確かにそうですね。私は着替えをするため二階の部屋へ行きます。下の部屋では姉と玲華の話し声が…… 何を話しているんだろう。

 私が着替えを済ませて降りて来ると……

「飛鳥、とっぽちゃんってチョコポッキーの名前から取ったの?」

 えっ、いきなりなんなの?

「飛鳥はトッポ好きだよね!」

 お姉ちゃんはそう言います。

「うん、確かに好きだけど……」

 私が好きなのは本当の事を言うと、ジョニーズの奈良瀬(ならせ)君なんだよね、それに二階堂君にも何となく似てるかな…… トッポも奈良瀬君がCMしてたからよく食べてたし、車の名前も、まあそこからですけどね……

「飛鳥、顔が赤いけどどうしたの」

 玲華は本当の事を知りませんからね。

「さてと、私は部屋で仕事をしてるからね!」

 姉はそう言って二階へ行ってしまいました。

「でも、とっぽちゃんの由来がお菓子のトッポだったとはね」

 それを言われると本当の事を思い出してちょっと恥ずかしいです。


 次の日、今度は北総へ行きます。その前に駅前のコンビニで二階堂君と小路丸さん達を乗せないとね! あっ、トッポがあります買っちゃおうかな…… あっ、あれは南条さんじゃないかな?

「おはよう、南条さん」

「あっ、あ、あ、あの、おはようございます」

「緊張しなくても大丈夫だよ! 小路丸さんは?」

「あ、あ、まだです」

「よっ、今村おはよう! あれ、小路丸さんは?」

「うん、まだみたいだよ」

 その時、駅の方から走ってくる小路丸さんが見えました。

「あ、あの、えっと、梨子ちゃん来たみたいです」

 あっ、南条さんが自分から喋りました。私はなんだか嬉しくなりました。

「うん、じゃあ、車の方に行こうか」

 これで四人揃いました。これから私の車で病院を目指します。

「今村さん、ここからバスで行く場合はどうすれば良いんですか?」

 小路丸さんはちょっとバスに興味があるようです。

「えっと、まず北山大学病院までバスで行って、そのあと北山町役場行きのコミュニティバスに乗り換えないといけないの」

 コミュニティバスは一日五本しかないですけどね……

「コミュニティバスですか?」

 南条さんもそう言ってます。

「これって町が運営してるんですよね」

「そうだな、バス会社が採算が取れなくなったのを理由に廃止にしたんじゃないかな」

 二階堂君は見て来たようにそう言います。まあ、そんなところでしょうけど……

「コミュニティバスって一時間に一本くらいはあるんですか?」

 あ、小路丸さんは解っていないですね! まあ、そういう経験も無いかも知れませんけど……

「コミュニティバスは一日五本だよ」

「えっ、たった五本ですか? それで町の人は大丈夫なんですか?」

「まあ、バスを利用する人は車を持ってない学生やお年寄りなんだろう。あとはみんな車を使うだろうから」

 まあ、二階堂君の言うように車を持っている人はそっちの方が便利でしょうからね。そんな話をしながら車は狭い山道を通り城南駅から一時間くらいで北総に着きました。

「あっ、あれがコミュニティバスだよ」

 丁度病院から一台のワゴン車が出て行くところでした。

「えっ、バスいました?」

「今、ワゴン車が出て行ったでしょう」

 私がそう言うと二人は信じられないというような顔をしていました。まあ、仕方ないかな…… でも、こんな事で驚いていたら先が思いやらされます。そんな中でも二階堂君は受付に行ってくれました。

「あの、橋本大学から来ました二階堂ですけど」

「あっ、研修の方ですよね」

「はい」

「それではそこのエレベーターから五階に行ってもらって右奥の院長室へ行ってもらっていいでしょうか」

「はい、解りました」

 そうして私達四人は院長室へ向かいます。

『コンコン』

 私がノックをすると……

「どうぞ」

 院長先生から返事がありました。

「失礼します」

「ああ、よく来たね」

 私達を心良く迎え入れてくれたのは鳥越院長です。

「私は院長の鳥越隼人(とりごえはやと)です。よろしく」

「初めまして、二階堂義樹です」

「今村飛鳥です」

「小路丸梨子です」

「あっ、南条…… 雫です……」

 やっぱり南条さんは初めての院長先生に緊張してますね! 声も何だか小さいです。

 この後、早速今後の説明がありました。そのあと、各診療科へ案内されました。

「今村さんはいつから研修が始まるの?」

 外科部長の山田(やまだ)先生です。何だか期待されてるみたいで怖いんですけど……

「あの、医師登録済証明書が二十日くらいには届くと思いますのでその翌日くらいからは研修を始められると思います」

 そのような挨拶を外科意外の精神科でも河合(かわい)部長から訊かれました。

「今村さんは凄いんですね」

 小路丸さんはそう言うし、南条さんは私の事を見つめています。何だか変な感じです。そのあと私達は荷物の整理をするためアパートへと行きました。これから新しい生活が始まりますけど、上手くやれるかな……



まずは、入社式と病院への挨拶ですけど、飛鳥は期待されてるようです。橋本大の大平准教授と今津赤十字病院の案西先生から話があってるようですからね! でも慣れない田舎暮らしが出来るでしょうか……

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