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憧れの医療  作者: 赤坂秀一
第六章 最後の春休み
48/69

48 最後の花見

お待たせしました第48話を更新しました!


大学を卒業してみんなでお花見です。12人集まってのお花見は最後になるかも知れません。春というのは淋しい季節でもあるし、また新たな出会いがある季節でもあり、ちょっと複雑と思っているのは私だけでしょうか……


 三月の下旬、桜の花も満開を迎えました。恒例の最後の花見を橋本大社(はしもとたいしゃ)で行います。みんな大学を卒業したので今回が最後の花見です。十二人みんな揃うのは難しいでしょうから…… 私は会場の橋本大社まで玲華(れいか)と一緒にとっぽちゃんに乗って行きます。玲華はお酒が入るので私がハンドルキーパーです。二階堂(にかいどう)君は春休みは有村町(ありむらちょう)の自宅にずっといたようですけどもう来てるかな…… 待ち合わせの橋本大社の駐車場へ行くと男性陣はもう集まっていました。

「みんな早かったのね!」

「ああ、俺たちは場所取りとかバーベキューの準備もあったから」

 そう言いながらバーベキューの火起こしを松坂(まつざか)君がやっています。

「玲華、久しぶり!」

 静香(しずか)遥香(はるか)もいました。

「わぁー、可愛い車だね! これは飛鳥(あすか)の車だね」

「えっ、なんで解るのよ」

「だって、玲華はこんな可愛いのは趣味じゃないでしょう! それにあなたの車はブラックのカッコ良いのじゃなかった?」

 まあ、確かにそうですね……

「ねえねえ飛鳥、いつ買ったの!」

「えっと、国試の合格発表の前くらい」

「本当に可愛い車だね!」

「うん、とっぽちゃんだよ!」

「えっ、とっぽちゃん……?」

 静香は訳が解らず玲華の顔を見ますけど…… 玲華は笑顔で微笑んでいます。

「静香、この車の名前がとっぽちゃんなのよ!」

「えっ……」

「へえー、可愛い名前ね! 飛鳥らしくて良いんじゃない」

 遥香はそう言ってくれましたけど静香は微妙ですね。

「飛鳥、車に名前とか普通つける?」

 静香はそう言いますけど……

「えっ、名前つけないの?」

 確かに玲華の車の名前とか聞いた事ないですものね…… 静香も玲華も車に名前はつけてないようですね。

「私は良いと思うけどな、凄く愛着が湧くし、私も名前つけようかな」

 遥香は解ってくれてるようです。

「飛鳥はやっぱりD社の可愛いのにしたんだ!」

 梨菜も話に加わって来ました。

「うん」

「うわー、可愛い! 名前はなんて言うの?」

「とっぽちゃんだよ」

「いや、カッキーは車種を訊いているんじゃないの」

 静香はそう言いますけど……

「とっぽちゃんか、可愛い名前だね!」

 やっぱり解っていないのは静香だけです。カッキーは解ってくれています。

「今村、また可愛い車を買ったな」

 二階堂君を含む男性陣も集まって来ました。

「二階堂君、これとっぽちゃんなんだってよ!」

 また静香がそう言いますけど……

「うん、今村らしくて良いんじゃないか、なあ二階堂」

 谷崎(たにざき)君もやっぱり解ってますね。

「ああ、そうだな。今村(いまむら)、俺も今度乗せてくれよ」

「うん、いいよ」

 二階堂君ならいつでもOKですよ! とここまでは私の車で盛り上がってしまいましたけど……

「ところで今村、国試の成績表は確認したか?」

 谷崎君が思い出したように言います。

「ああ、今村は最後の問題が禁忌肢だったかもって言ってたからな」

 二階堂君も気になってたのかな?

「うん、あれはやっぱり禁忌肢だったみたい。答えをeにしてたらドボンだったよ」

「やっぱり、あれは禁忌肢だったんだ」

 遥香も梨菜もそう回答していたようです。まあ、私の場合そう回答していてもギリギリ合格点はとれてたけどね! でも、みんな合格出来て良かったです。

 さて、ここからは本題の花見開始です。

「玲華、今日はおでんもあるよ」

「やった! 飛鳥にも何回かおでんを作ってもらったけど静香のとはちょっと違ったんだよね」

「えーっ、ちゃんと再現したんだけどな…… それに美味しいって言ってたのに」

 確か鰹節をティーパックに入れて出汁をとって昆布と鶏肉とかの具を入れるんだよね……

「飛鳥の事だから他に何かやったんじゃない?」

 あっ、そう言えば、肉団子を入れたかな……

「あっ、そうそう! 飛鳥のおでんには肉団子が入ってた。でも、美味しかったけどね」

 ええ、そうです。最近は牛すじが面倒だったから肉団子にしてたんだ! それで少し味が違ったのかな……

「おーい、バーベキュー始まるぞ」

 神地(かみじ)君も張り切ってるね!

「飛鳥以外はビールで良いね」

 静香も張り切ってます。

「あっ、みんな乾杯の前にちょっと報告があるんだけど」

 生田(いくた)君がそう言っていますけど……

「実は……」

「生田君ちょっと待ってよ!」

 今度は美咲(みさき)が何か言ってますけど……

「えっ、どうしたの? みんなに言っておかないと」

「うん、それじゃ……」

「じゃあ、いい?」

「うん」

 美咲はなんだか俯いていますけど……

「実は僕達、結婚する事にしました」

 えっ、結婚!

「おめでとう、前期研修が終わってからだと思っていたけど」

 玲華がそう言ってます。知ってたのかな……

「生田君と美咲はいつも一緒だったもんね」

 梨菜もそう言ってます。

「うん、ありがとう。式は来年の春なの。みんなにも是非来て欲しくて」

「私達の中では一番乗りだね」

 そうか、結婚か…… 私には無縁のことに思われます。

「それじゃみんなで乾杯しよう! 神地、掛け声やってよ」

「飛鳥は何にする?」

「うん……」

 私は考えてしまいました。まあ、解っていた事なのに……

「飛鳥! どうしたの?」

 玲華と梨菜が声を掛けてくれました。

「あっ、ごめん! 私は烏龍茶で……」

 その場は、みんなで生田君と美咲を祝福しました。

「それじゃ、生田君と黒瀬さんの結婚を祝してかんぱーい!」

 乾杯の音頭を神地君がやってくれました。こういうのはやっぱり神地君が似合いますね!

「飛鳥、お先に! 二階堂君と仲良くね」

「うん、ありがとう」

 そうは言いましたけど美咲、手術もまだだからそれは難しいよ…… まあ、そう言いたかったんですけどやめました。なんだか満開の桜の花を見ているとそういうのはどうでもよくなったからです。

「玲華も彼がいるんだよね」

 梨菜がそう言います。

「うん、いるよ」

「結婚はまだしないの?」

「うーん、取り敢えず前期研修が終わってから考えようかな」

「そっか」

 玲華も考えてはいるんだ……

「梨菜は?」

「私は相手がいないから」

 なんだか梨菜は嬉しそうにそう言います。

「梨菜は研修先はどこだっけ?」

「私は城南(じょうなん)医療センターだけど」

「えっ、それじゃ城南市に住むんだよね」

「うん、病院の近くのアパートに引っ越したよ」

 病院の近くならうちからはちょっと離れてるかな。医療センターは城南市の南部の方だからとは言っても家から車で十分くらいかな……

「玲華も城南市だったよね」

「うん、私は城南中央病院だから飛鳥の家から歩いて四、五分のところかな」

「それじゃ、近いんだ」

「うん、でも医療センターからなら車で十分くらいかな」

「玲華、これからもよろしく」

「うん、こちらこそ」

 そう話しているなか、静香が来ました。なんだかご機嫌のようです。

「玲華、梨菜飲んでる!」

「飲んでるよ!」

 静香は缶ビールを持って玲華達にも勧めています。

「静香、大丈夫?」

 遥香は静香を心配しているようです。

「大丈夫らって……」

 静香はそう言ってるけど、ちょっとふらついているし、言葉も何だか可笑しいです。

「ねえ、遥香は研修先はどこなの?」

 私が訊くと……

「私も静香も橋本大学だよ。まだ、よそへ行く感じがしなくて…… でも、カッキーと松坂(まつざか)君も残るんじゃなかったかな」

 そっか、大学に残る人もいるんですよね…… 生田君と美咲は鷹取(たかとり)総合病院で…… あとは谷崎君と神地君だけど。

「ねえ、谷崎君は研修はどこでやるの?」

「俺は如月(きさらぎ)総合病院だけど」

 えっ、玲華ん家の病院……

「ちなみに俺は橋本医療センターだよ」

 神地君も取り敢えずそう言ってます。

「ねえ、玲華は知ってるの?」

「いや、言ってないよ! なんとなく言いづらくてな」

「何が言いづらいの?」

 あっ、玲華が話に加わりますよ。

「いや、俺の研修先が如月ん家の病院なんだよ」

「あっ、そうなんだ! 物好きね」

 玲華、そんな事は無いと思うけど……

「でも何故、如月総合病院なの?」

「俺の家は貝崎(かいざき)市なんだよ、だから如月総合病院とか一條(いちじょう)大学病院とかが近いからな」

 なるほど、貝崎市ならそっちの方が便利ですよね!

「谷崎君、うちのお母さんに言っとくわね、しっかり扱き使ってねって!」

 玲華、それは可哀想だよ……

「如月、よろしく言っといてくれ」

 何だか谷崎君も無理してないかな……

「それじゃ、そろそろお開きにしようか! 静香がやばいから」

 遥香は静香のことを気遣っていますね! 静香も何だか酔いが回っていてちょっとやばいです。

「えっ、もう終わっちゃうの?」

 静香はみんなと別れるのが淋しいんだね! 

「私は大丈夫らよ!」

 駄目だ! 静香は千鳥足でフラフラです。もう酒に呑まれてます…… でも、こうやって今度みんなで会えるのは来年の生田君と美咲の結婚式かな…… こうして、私達の最後の花見は終わりました。


 私が家に帰ると母が何か片付けをしています。

「お母さん何してるの?」

「あら、おかえり、今年も色々あって飾れなかったからちょっとだけ出してみたのよ」

 母はそう言って雛人形を片付けてるとこでした。

「ここのところ、唯香(ゆいか)は聖華高校の先生になって大変だったし、あなたも大学の試験とか国家試験があったからそれどころじゃなかったでしょう」

 まあ、そうですね…… ここのところ二、三年はお雛様を飾ってないかな。

「ねえお母さん、一日くらいここに飾らない?」

「そうね、明日また片付ければ良いからね」

 お母さんも何だか嬉しそうです。我が家の雛祭りはかなり遅ればせです。来年からのお雛様はきちっと飾りたいものですね!

大学の友人達とはしばしの別れになります。飛鳥は取り敢えず三年くらいは二階堂君と一緒に研修です。


お雛様は飛鳥が大学生の時はあまり飾られて無かったようで母だけがたまに出して楽しんでいたみたいです。来年からは出番があると良いんですけどね! そうしないと飛鳥はどうかわからないけどお姉さんの婚期が心配です。

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