38 クリニカルクラークシップ
お待たせしました第38話を更新しました!
いよいよ、山岡大学病院へ来てしまいました。大学卒業後、飛鳥はここで手術をして女性として医療従事をする事になるみたいです。どうなるでしょうか?
私は山岡大学病院ジェンダーセンターに到着しました。ここまで新幹線で二時間! 流石に遠いです。でも、海外に比べたら飛行機で移動する訳でもないし日帰り出来るのでやっぱり海外よりかは便利です。私は到着してすぐに受付をします。とてもスムーズに事が進み、待合室に行くとすぐに診察室へ呼ばれました。ここは予約の管理が徹底されています。流石ですね。
「こんにちは、今村です。よろしくお願いします」
「こんにちは、今村飛鳥さんですね、私はジェンダー外来医師の馬場龍司です。あなたのカルテは拝見させて頂きました。診察の前に検査をしますのでよろしくお願いします」
私は超音波検査、心電図、そして、レントゲン検査をします。こういう検査は何度となくやって来ましたけど病院が変わるたびにしないといけないんでしょうかね…… そのあと検査結果が出ました。
「検査の結果は異常ありません認定どおりです。今村さんは再来年の春に手術を希望ですね」
「はい、大学を卒業した後にと思っています」
「そうですか、それでは今の段階では最短で三月十六日になりますがよろしいでしょうか?」
「えっと…… はい、よろしくお願いします」
思わず返事をしてしまいました。これで手術の日まで決定してしまいました。
「あの入院期間はどれくらいになりますか?」
「術前にもう一度検査をしてから手術して、リハビリ等もありますので一ヶ月くらいは予定しておいて下さい」
やっぱり一ヶ月は入院が必要みたいですね…… 大学の卒業式が三月一日で研修が始まるのがはっきりとは解らないけど四月の下旬だから…… まあ、ギリギリという所でしょうか! 手術はSRS手術を受けます。手術日はまだまだ先ですけど何だか緊張しますね!
その日の夜、私は新幹線と在来線を使って橋本市のマンションに戻って来ました。私、本当に女の子になれるんですね! なんだか嬉しくもあり不安でもあります…… でも、大丈夫ですよね!
夏休みもお盆が終わり、謹慎が終わった玲華が戻って来ました。
「玲華大丈夫?」
「うん、もう全然大丈夫…… 色々とごめんね」
「良かった! 玲華が戻って来てくれて」
彼女は謹慎中、如月先生にたっぷり小言を言われたようです。その結果居酒屋のバイトも禁止されたみたいですから……
「ところで玲華、バイト中にお酒を飲んだ訳じゃないよね!」
玲華は目を白黒させて……
「当たり前でしょう! バイトが終わってみんなで食事しようということになって、飲んでたのよ! でも、すきっ腹に飲んじゃ駄目ね」
玲華の今回の件は空腹時にビールと日本酒と薩摩焼酎でチャンポンしたためにいろんな悪い要素が重なって起こったみたいです。
「それでバイトはどうするの?」
「うん、飛鳥と同じとこでバイトすることになったからよろしく」
どうやら静香がオリビアさんにお願いしたみたいですね! ちなみに予定されていたツーリングは私と玲華は欠席する事にしました。静香や遥香の話では結構アップダウンがあってキツかったようですけど海沿いの直線道路に出た瞬間景色がパーっと広がって今までの疲れを忘れるくらいの景色を走れて清々しくてとっても綺麗で良かったそうです。そんな話を聞くとちょっと行ってみたい気はしますね! もちろん玲華の車で……
夏休みが終わりBSLが再開されました。私達の実習は精神科からの再開です。梨菜もカッキーも一緒ですけど……
「精神科の患者さんってなんだか他の患者さん達とは違うよね……」
「カッキー、そんな事言わないのみんな悩んでいるんだから」
梨菜がそんな事を言います。
「カッキー、私もその一人だからね……」
「あっ、ごめん…… そんなつもりじゃ」
そんな中、実習が始まりますけど、私達はほとんど見学です。その後、患者さんの症状や治療法のレポート提出とかがあります。そんな実習は後期いっぱい続きます。もちろん精神科の実習は二週間で、その後脳神経内科、脳神経外科まで実習予定が決まってます。
そして、私達はついに六年生になってしまいました。しかし、BSLは夏休み前まで続きます。その後はクリニカルクラークシップがあります。私は精神科でクリクラをしますけど…… 二階堂君は心臓血管外科で大平准教授の下、実習をするみたいです。私も大平准教授から誘われたんですが、どうしても精神科で学びたかったので丁重にお断りしました。でも、どうして大平准教授は私を誘って来るのかな? 外科なら玲華とか谷崎君とかの方が良いと思うんですけどね…… でも、案西先生が言っていた大学でいろいろな技術を学んでいた方が良いよという言葉が頭をよぎります。やっぱり外科も学んどいた方が良かったでしょうか…… ちなみに玲華と谷崎君と神地君は消化器外科で梨菜とカッキーは小児科、美咲と生田君は整形外科に、静香と遥香は産科、松坂君は呼吸器内科でクリクラをするみたいです。
「飛鳥さん、この間の馬宮さんの病気は解った?」
本郷先生です。私は精神科の本郷先生の下でクリクラ中です。
「あっ、はい」
「なんだと思ったの?」
「私は統合失調症だと思います。他の人との考え方や行動が違うだけならパーソナリティ障害も考えられますが人が悪口を言っているとか噂をしてるなどの症状では、たぶん幻覚とかもあるのではと思いました」
「流石は飛鳥さん、よく観察してるわね!」
馬宮さんは奥さんと一緒に診察に来られていて、奥さんは色々と症状らしき事を言っていました。例えばいつも不安そうな顔をしているとかブツブツと独り言を言ってるなどその辺をまとめるとやっぱり統合失調症の可能性ありです。
「本郷先生どうでしょうか?」
「そうね、私も奥さんの話を聞いてそう思ったわ! 決めては馬宮さんが奥さんの証言を否定してあり得もしない事を言ってた事よね、たぶん幻覚も見えてると思うわ」
「先生、治療は脳内のドーパミンを抑えるお薬ですよね」
「ええ、馬宮さんの場合は脳内のドーパミンが過剰に活動しているからね! それと精神科リハビリテーションでの治療、ただしこれについては精神保健福祉士や作業療法士の先生とかにも相談しないとね!」
「この場合専門医への転院もあるんですか?」
「ええ、リハビリを主にするならその方が良いと思うわ」
なるほど、ここは大学病院なので本格的な治療は専門医の方が良いようですね! 精神科も色々と大変なようです……
その日の実習は他にも認知症の患者さんと知的障害の患者さんについても実習を受けました。知的障害の患者さんはお薬の投与について患者さんのお母さんが迷っているみたいです。実際に子供に飲ませて良いものなのか迷われているようでした。これについては本郷先生と患者さんのお母さんとで、もう少し話し合って決めるみたいです。
そして、本日の実習は終了です。その後私は二階堂君の所へ行きますけど、ちょっと様子が変ですね……
「今村、悪いけどもう少し待っててくれ」
二階堂君は細長い針金? もしくはワイヤーみたいなものを管の中に入れています。何してるんだろう……
「やあ、今村さん君もやってみる?」
大平准教授です。
「あの、何をしてるんですか?」
「うん、これはカテーテルの練習だよ! こういう模型を使ってカテーテルや腹腔鏡手術の練習をするんだ」
そういう事で私も成り行きで腹腔鏡手術の練習をやる事になりました。私は外科は専攻してないんですけどね……
「僕がカメラを入れるからモニターを見ながら赤いボールを取ってみて」
空気で膨らませたマネキン人形のお腹の中には赤い小さなボールが埋め込まれているような…… これを特殊なメスや鉗子を使って取り出します。
「これって、縫い付けてありますか?」
「そうだね、色んな状況があるからね! あとはどうやって取り出すかだよね」
そう言われてモニター画像を目を凝らして確認します。これって五カ所縫い付けてあるようです。私は慎重に糸を一本一本特殊な鋏鉗子を使って切っていきボールを取り出しました。
「早いな今村!」
二階堂君にそう言われました。
「うん、やっぱり今村さんは凄いね、精神科に置いとくのは勿体無いな」
などと言われてしまいました。
「でも、私はジェンダークリニックを作りたいから」
私はつい、本音を語ってしまいました。
「でも、それなら外科的な事も必要になってくるから放課後にでも練習に来なさい。必ず役に立つ時が来るから」
そう言われ、私は放課後に外科の方へ通う事になりました。これで案西先生の思惑通りになった訳ですね! 私も少しくらいは外科の技術を身につけるのも良いのかなと思いました。
それから数週間が過ぎたある日、私は事務局に呼ばれました。
「あの、今村ですけど……」
「あっ、今村さん! 県と自治体からで北山総合病院へ来週の水曜日、面接に行くようにという事です」
「えっ、どういう事でしょう?」
大学からは地域医療枠で学んだ生徒、つまり私は大学が指定する病院で前期研修を含めた医療行為を九年間行わなければいけないという事です。これは入学当初から判っていた事ですからね! それにしても北山総合病院での研修ですか…… でも、ここには四年前に卒業した城戸先輩がいますので、またご一緒出来ますね! しかし、本当に面接だけで試験とかはないんですね! これで私が勤務する病院もほぼ決定しました。
飛鳥も、大学六年生になり研修先の病院もほぼ決定しました。後は卒業試験と国家試験が待っています。それが終われば、また友人達との別れもありますね……




