第86話 植木
山の木々は青々と茂り、如何にも夏の山という力強さを見せている。
俺がこっちの世界に来てから1年ちょい、2度目の夏を迎えた。
こっちの暦も1年は12ヶ月、1ヶ月は30日程になっている。
1年を12ヶ月に区切る暦の付け方は地球人の影響だろうか?
地球でもなぜかいろんな地域で昔から1年を12ヶ月で区切ると聞く。
12ヶ月と言うのは感覚的に腑に落ちやすい数字なのかも知れない。
こちらでも同じように自然と12ヶ月の暦が生まれたのだろうか?
1年が12ヶ月で360日ってのは分かりやすくて助かる。
もっとも、惑星の自転公転まで転生者の影響ってことはないだろう。
似たような環境だから似たような生態系が生まれたと言うことかな。
そして、その環境に馴染み易い地球人から転生者が選定されたのか?
去年の今頃はひたすら原生林の中を駆け回っていた。
今の俺の前には、約80ヘクタールの耕作地が広がっている。
勤勉な農耕民族である兎人族の流入で開拓は一気に加速した。
すでにこの領の食料を賄うには十分すぎる耕作地ができている。
だが、俺の目標は食料自給率200%超だ。
この世界は政情不安定なようだし、その辺は余裕が欲しい。
食料の常温長期保存についても研究と情報収集を進めている。
余った食料は備蓄と輸出に回そう。
冬の間に開拓が終わった南側の畑では腐葉土や堆肥を土に混ぜている。
一部の夏野菜が収穫を終え、次の作物の準備にかかっているのだ。
森を切り開くごとにダンジョンの魔力収入が減るのは悩み所ではある。
だが、この世界の住人との共存を目指す上である程度の妥協は必要だろう。
それでも切り開く面積は最小限に抑えたい。
その為の工夫の1つは前にも触れた都市機能の積層化だ。
畑等は地表に作らざるを得ないが、それ以外はできるだけ地中に埋める。
といっても地下ばかりだと健康に悪いし、人間は迷子になりやすそうだ。
公園や道路、ランドマークもある程度は地表に造っておく。
別の工夫として、木材などの再利用も推進している。
『経済特区』の南端、大型倉庫の向かいにはリサイクルセンターがある。
不要になった衣類や家具、木材、石材などを持ち込んでもらうのだ。
処理費用については迷ったが、捨てる者に一部負担してもらう事にした。
ゴミ処理には金がかかるのだし、ゴミを出す者が負担するのが筋だろう。
それに、ゴミを出来るだけ出さないという意識を住民にも持って欲しい。
不法投棄が蔓延る事が不安ではあるが、そこはしっかり取り締まろう。
金属製品や宝石類は出来るだけすべて回収し、再利用に回す。
この辺りの持込は基本無料、物によっては買取もする。
そのまま使えるものは磨いて洗って売りに出す。
痛みの激しい物や需要の低い物は熔かして加工する。
陶器の破片や小石等は石畳の下に使おう。
水はけがよくなるだろうから、雨などを川のほうに流せるはずだ。
拳大の手頃な石は砦の2階か屋上に集積しておくことにする。
家具等は状態のいい物は補修して売りに出す。
状態の悪い物はばらして釘などもできるだけ回収する。
材木として使えそうな部分は適宜手を入れて保管する。
状態の悪い木材も燃料として売るか、紙にするか、堆肥化する。
子供の自由工作や木工職人の練習用の素材になったりもする。
衣類は状態のいい物は補修と洗濯をして古着として売りに出す。
それでも売れないような物は孤児院や救貧院で配ったりする。
服として使えないほど痛みの酷い物はゴミ袋や雑巾に加工する。
それにも使えなければ、下水処理場のフィルタか堆肥にする。
それ以外の細々としたゴミは、分別してゴミ箱に入れてもらう。
生ゴミや天然繊維などの「生物由来ゴミ」、金属類、その他の3種だ。
開拓村でも『経済特区』でもゴミの分別を呼びかけてはいる。
ただ、『経済特区』は不特定多数の人数が行き来する場所だ。
定住する気も無い人間に細かい分別ルールを課すのはなかなか難しい。
『経済特区』で出たゴミは基本的に山に埋めることにする。
小石や陶器交じりではあるが、ほとんどは生ゴミや小枝などの有機物だ。
堆肥にして畑に撒くには適さないが、山の草木の肥料にはなるだろう。
材木として使えそうな樹を切り倒し、抜根して更に掘る。
その穴にゴミを埋めて土を被せ、その上に植樹する。
50年後か100年後にはまたいい材木になってくれるだろう。
古くなった下水処理場のフィルターも同様に処理していこう。
なるみ「かずきおにぃちゃん、なんかいっぱい馬車が来たよ」
一樹「なんだあれは?苗木?」
なるみに声をかけられて見に行くと、第2の砦に向かう車列があった。
先頭を走っているのは見知った顔のアーネストさんの馬車だ。
だが、その後ろに続くのは大量の苗木を積んだやけに頑丈そうな馬車。
曳いているのも毛並みがよく、足の太い強そうな馬達だ。
ずらりと並んだ全く同じ形の頑強な馬車・・・軍用の輸送車両か?
一樹「アーネストさん、お久しぶりですね」
アーネスト「ああ、一樹様。ご無沙汰しております」
俺の姿を認めたアーネストさんが慌てて馬車を降りて挨拶を返す。
一樹「街路樹の苗木については見積もりをお願いしただけのはずですが、これはどういう事ですか?」
アーネスト「いや、それがですね、御代は公爵家の方から既に頂いてるんですよ。種類は一樹様が第一候補とされた花に揃えてあります」
公爵家から言われたのでは一商会主では断りようが無いか。
だが、なぜ公爵家が俺の領の街路樹をいきなり送りつけてくるんだ?
『経済特区』の整備は、確かにある程度クリスに裁量を預けてはいる。
街道沿いを綺麗な花の咲く街路樹で飾る計画も既に話していたか。
一樹「いったい幾らなんです?」
アーネスト「御代はもう頂いてますのでご心配無く」
一樹「それは承知しています。公爵家から支払われた料金はいくらですか?」
アーネスト「急な買い付けだったもので少々高くつきまして、本体価格で金貨800枚になります。輸送料はあちら持ちですね」
近くで改めてみると、馬だけでなく御者の体格も随分と立派だ。
平民風の麻の服を着てはいるが、公爵家の私兵なのだろう。
また公爵家からの借りが増えてしまうのか?
これも実効支配を強めるための策略か?
それとも俺に対する懐柔策なのか?
一樹「分かりました。ちょっと受け入れ場所などを確認してきますよ」
アーネスト「お手数おかけします」
なんにしても、馬車に載せたままでは遠からず枯れてしまう。
とりあえず受け入れてどこかに仮植えするしかないか。
この状況で突き返すわけにも行かない。
一樹「クリス!表の馬車はどういうことだ?」
キャシー「ごきげんよう、一樹様。友好の証としての公爵家からのプレゼントですわ」
区役所の執務室に入ると、クリスの代わりにキャシーが応えた。
キャシーの拠点はここでは無く開拓村の公爵家別邸のはずだ。
俺がこのタイミングでここに来ることも計算済みという事か。
一樹「それはありがとうございます。しかし、場所を取る贈り物については事前に調整するものではありませんか?」
クリス「伺っている街道整備計画に沿ったものです。配置については問題ありません」
一樹「しかし、一方的に施しを受けたとあっては今後の関係に響くだろう。街路樹計画は領の予算で進めるべきだ」
クリス「それだけ公爵家がこの地に期待しているとお考えください。それに、こちらの都合でもあります。施しなどと考えていただく必要はありません」
一樹「どういう事情だ?」
クリス「我々はバルバス男爵の様々な失態を糾弾してこの地の支配権を剥奪しました。その失態の中には開発の遅滞も含まれています」
一樹「開発速度で明確な差を示す必要があるというわけか」
クリス「はい。領の財政は黒字で安定してはいますが、街路樹をすぐに買い集められるほどに余裕があるわけでもありません。迎賓館区画の庭園整備もまだ手付かずの状態です。農園の整備は順調とはいえ、玄関口である大通りの整備は早急に終わらせるべきでしょう」
一樹「それは確かにそうだが」
現在の街道は踏み固められた土の道だ。
川沿いの堤防造りが終われば石畳に変えていく予定ではある。
だが、土が剥き出しの街道は整備された街と言う雰囲気ではないか。
クリス「庭木職人の話によれば、植え替えはこの時期が最適とのことです。暖かく日差しの強い夏ならば、よい土と水を与えればしっかり根付きます。しかし、秋以降では苗木への負担が大きくなってしまい、枯れる可能性も出てきます。そうなれば、街路樹計画は来年まで延期しなければなりません」
バルバスの開発遅滞を糾弾した公爵家の開発が遅滞するわけにはいかない。
糾弾した失態はそれだけでは無いが、支配権剥奪の正当性が薄れてしまう。
ここで統治能力の差を明確に見せ付ける必要があるというわけか。
キャシー「これは投資であるとお考えください。新たな食料供給源の確保、鬼族との交易の再開、そして魔界の生産物の安定供給。それらが実現するのであれば、たとえ1万枚2万枚の金貨を投入したとしても十分に利益が期待できます」
クリス「今回の街路樹の搬入は王国貴族向けの示威行為の意味も含んでいます。一樹様がお気になさる必要はありません」
キャシー「なにより、新たな『アーバンコア』が使えるようになるのであれば、金貨1万枚どころか10万枚20万枚を投入する価値も十分にありますわ」
『アーバンコア』は大量の魔力を生み出し、王国の都市機能を支えているらしい。
もっとも、近年は出力が低下していろいろと支障が出ていると言う話だったか。
この街ではダンジョンコアがそれと似たような機能を果たしている。
喉から手が出るほどに欲しがる場所と言うことになるのだろう。
一樹「承知しました。今回はひとまず受け取っておきますが、投資してもらった金額については必ず返済させて頂きます」
キャシー「その心配はありませんわ。この地の産物は必ず公爵領を通り、ほとんどは公爵家と懇意の商会が扱うことになるでしょう。十分に回収できると考えております」
一樹「なるほど。では、ご期待に沿えるようせいぜい尽力させて頂きましょう」
キャシー「はい、楽しみにしておりますわ。一樹様はお花がお好きと伺いましたので今回はちょっとしたサプライズプレゼントのつもりだったのですが、御気分を害してしまったのでした申し訳ありませんでした」
一樹「いえ、こちらこそ驚き過ぎて失礼を申しました。公爵家からのプレゼント、有難く頂戴致します。ありがとうございます」
街道の西側は緩やかな傾斜が小川まで続いている。
だが、山間部の谷と言う立地では大雨での増水で被害を受ける可能性が高い。
増水に備えて対岸から30mほどの位置に石垣の堤防を作っている。
具体的な工法はクリスが呼んだ王国の技師とガブリエルに任せた。
石垣の内側にはなにやらコンクリートっぽい物も使われているようだ。
先ほど触れた小石や陶器の破片なども使われている。
街道の整備に着手しているなら、街道のルートも当然決まっている筈だ。
ならば街路樹の配置も既に決まっている状態なのだろう。
仮植えと言わず、街道整備計画通りの位置にすぐに植えられるわけだ。
公爵家の思惑は相変わらず気になるが、街の開発計画には支障はでない。
いや、むしろ大いに助かると言わざるを得ないな。
なるみ「ねね、新しいゴーレムをデザインしてみたんだけどどう?」
一樹「ゴーレム?」
なるみ「お花が好きなかずきおにぃちゃんのために、植木型ゴーレムを考えてみました」
一樹「なんだそれ?」
なるみ「基本的には定点カメラだね。要所要所に置いて、侵入者や犯罪者を見張るのに使います」
一樹「なるほど、それはいいな」
防犯カメラみたいなものは欲しいと思っていた。
しかし、いかにも監視してますって感じだと普通の人まで萎縮させてしまう。
植木に偽装できるなら景観を壊すこともないだろう。
なるみ「花は一年中咲いていてもいいし、カレンダーに合わせて周期的に開かせるんでもOK。色は気分で変更可能」
一樹「いいね。常緑の観葉植物っぽい外見なら周期的に開かせるのが自然でいいかもな」
なるみ「うんうん。あと、各種ガスを放出できます」
一樹「ガス?」
なるみ「えっとね、ライムの香り、ラベンダーの香り、ローズの香り・・・」
なんだ、アロマか。
なるみ「あとは催涙ガス、催眠ガス、致死毒、麻痺毒が出せるよ」
一樹「物騒だな!誤動作の心配はないのか?」
なるみ「んー、まず心配は要らないと思う」
一樹「ならいいが」
凶悪犯の立て篭もりなんてそうそうないとは思うけどね。
備えあれば憂いなしか。
なるみ「そだね。それに高温多湿でも根ぐされしないし、光が弱くても枯れないし、石鹸水がかかっても大丈夫だよ」
一樹「高温多湿に石鹸水?」
妙にピンポイントな耐久性能だな。
いや、植木風のゴーレムなんだから普通なんだろうけど。
なるみ「温泉宿の浴室と脱衣所に置こうよ。あと領内の女子更衣室ね」
一樹「そういう所は普通カメラ置かないんじゃない?」
なるみ「なるみとかずきおにぃちゃんしか見ないから大丈夫だよ」
俺も一応男なんだが・・・。
なるみ「ねぇ、かずきおにぃちゃん!もし、男湯に不審者や不審物があったらどうする?」
一樹「ん?状況にもよるだろうけど、まあ、見に行くだろうな」
なるみ「だよね。じゃあ、それが女湯だったら見にいける?」
一樹「行けないな。けど、だれか女の人に見に行ってもらえばいいだろ?」
なるみ「へぇ、危険物や危険人物かもしれないのに、女の子に行かせるんだ?」
一樹「いや、それは・・・」
どうする?ウィセルたちに行かせればいいのか?
だが、メインダンジョンから派遣するのは時間がかかるな。
かといって、石垣の中のウィセルはちょっと見せづらい。
なるみ「あと、お風呂場特有の犯罪といえば?」
一樹「・・・覗きか?」
なるみ「そう、覗き、盗撮、痴漢だよね。その主なターゲットは?」
一樹「女湯だな」
なるみ「そう!ならば女湯を見守るのは必然!」
そうなのか?
言われて見れば確かにそんな気もするが・・・。
あとは、男女問わず置き引きの心配もあるな。
なるみ「女湯でなにか起こって、女性客に離れられても困るでしょ」
一樹「それはまあ、そうだな」
なるみ「まあまあ、基本的にこれはなるみが見ておくことにするから」
一樹「わかった。なら頼んだ」
温泉に植物園にエステ、ここのメインターゲットは女性客になりそうだ。
となると、性犯罪系の騒動はけっこうダメージが大きいのか。
だが、なるみは観光地化にそこまで積極的ではなさそうだが・・・。
なるみ「温泉で女の子の体型とか下着とかチェックできたら、召喚アプリのバリエーション増やせるよ」
一樹「なるほど・・・」
召喚アプリで選択できる女の子はなるみのデザインらしい。
なるみにサンプルをたくさん見せれば、今後選択肢は増えるか。
領民たちの姿はチェック済みだろうが、そこに観光客が加わる。
現状でなるみは王国富裕層の下着を見る機会はないもんな。
なるみ「気に入った女の子がいたら教えてね。重点的にスキャンしとくから」
一樹「そりゃーどうも」
街で見かけたかわいい女の子の体型やパンツの柄とかか。
特に親しい訳でもないのにそれらをすべて把握してる男。
うん、控えめに言っても変態だな。
かわいい女の子がいてもその辺はちゃんと自重しよう。
使うのはあくまで防犯となるみのサンプル収集のためだ。
一樹「映像のモニタリングはなるみに任せて大丈夫なんだな?」
なるみ「数によるかな。増えてきたら専用のサーバを作ったほうがいいかも」
一樹「サーバか」
またパンチラ機能付きの巨大美少女フィギュアが増えるのか。
スカートが放熱バネルになっていて、冷却ファンで吹き上げられる仕様だ。
まあ、ゴーレムのパンツが見えたからなんなんだ、って話ではある。
1台2億ポイントもするが、今の魔力収支なら問題ないか。
なるみ「戸籍データベースの時みたいに情報処理特化型のゴーレムを作って、送られてくる情報を解析させるんだよ」
一樹「わかった。そういうことができるならそれなりの数を設置しても大丈夫そうだな。とりあえず一定期間は全部保存して、それ以降は事件とかに関連する部分だけ残すようにするか」
なるみ「うんうん。あとはかわいい女の子のビジュアルデータもね」
一樹「その辺は任せる」
なるみ「あーい」
映像処理用のサーバは警備員風の青を基調とした服装になった。
見た感じはミニのタイトスカートなのだが、なぜかしっかり捲れ上がる。
まあ、プロセッサの放熱の為らしいから必要なことなんだけどね。
併せて戸籍サーバに兼任させていた口座管理も別途サーバを造った。
こちらは如何にも経理の事務員さんという感じの服装だ。
いずれも3台ずつ造り、互いにデータを照合しあってエラーを防ぐ。
さて、開拓村のダンジョンは街のインフラの基盤となっている。
俺にとってだけでなく、住民達の生活にとっても重要な存在だ。
サブダンジョンとはいえ、防備をもっと強化するべきだろう。
開拓村の拠点の執務室からボス部屋の入り口前にエレベーターをつなげておく。
次に3mの乙女の裸像型ゴーレムをトンネルのボス部屋と同数まで増やした。
構成は盾4、剣2、弓2、杖2、マシンガン2、鎖分銅4だ。
小さな車輪で床を走り回るボウガンゴーレムもボス部屋入り口前に50体配置。
壁に埋め込む固定型単機能ゴーレムも100体ほど追加しておくか。
ゴーレムについてはメインダンジョンも同様に強化しておこう。
そして、以前から気になっていたボス部屋覗き見対策をしよう。
前にオーク部屋のドアを開けて中を覗き込み、そのまま帰った冒険者がいた。
戦わずに情報だけ持ち帰られ、対策して攻め込まれるのは困る。
ボス部屋はすべて2重扉にした。
片方が開いているときはもう片方は開かない仕様だ。
そして、奥の扉は少し開くとあとは自動で全開になる。
ボス部屋を見た者は、戦って勝つ以外に生きて帰る方法はないというわけだ。
と言っても、俺だって殺したいわけはない。
要所要所に警告文を掲示したり、機動隊仕様の忍者たちで警告したりもする。
ある程度自由に入らせているのは通称『ゴブリンダンジョン』の地下2層までだ。
こちらは戦闘データの収集の意味もあるし、冒険者も魔石をいくらか拾える。
警告文は地下3層のボス部屋前に掲示してある。
ダンジョンの防御力の強化に関してやれることは、後は階層を深くすることか。
侵入者の移動距離と戦闘回数を増やすことで、コアへの到達を困難にする。
ただ、ダンジョンの維持コストは階層を増やすと階差数列的に増大する。
でも魔力収支にはまだまだ余裕があるから、もっと大胆にいってもいいのかな?
あとは各種素材を収集してガーディアン個々の戦闘能力を上げることだな。
ただ、現状でそこまで危機感は覚えないし、領の運営のほうに力をいれていくか。
ルーデレルの参加で教育環境の整備は進んでいるようだ。
公爵家からの借入金の金貨約3000枚は気になるが、一応財政は黒字の状態。
楽器や画材、本などを取り寄せ、芸術教育に力を入れていくことにしよう。
それらを指導できる人材の確保も必要だな。
現在は冒険者や土木関係者を相手に食料と色香で稼ぐ街になっている。
もちろん、それはそれでしっかり守り育てていくつもりではある。
ただ将来的には「花と芸術の街」というコンセプトで売り出していきたい。
『花壇管理権』への入札も増え、街は見た目も華やかになりつつある。
おかげで庭師なども領内に増えてきたし、迎賓館区画の整備にも役立つだろう。
俺の街は順調に育ちつつあるようだ。




