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第72話 単位制

先日、俺は最初のダンジョンに3500匹のゴブリンを配置した。

数百回の雑魚戦を繰り返させることで、体力・魔力・精神力を消耗させるためだ。

これがテレビゲームなら、オートバトルモードとかも使えるんだろうけどな。

ついでに経験値も積み重なってちょっとだけ強くなったりもするかもしれない。


しかし、現実には毎回毎回自分の意思で体を動かして対応しないといけない。

同じ動作の繰り返しは基礎を固めるにはいいかもしれないが、それ以上にはならない。

ひたすらゴブリンをぶつけ続けるというのは我ながらいいアイデアだと思う。


ところが、メインダンジョンについてはその作戦が使えない。

ここでは『破壊すべき魔物の巣窟』という印象を与えないようにしたいのだ。

そのため、見栄えの悪い魔物を置かず、ガーディアンは人型とゴーレムで固めた。

だが、1000匹のゴブリンで『勇者』に剣を1000回振らせる案も捨てがたい。

しかし、大量のゴブリンを徘徊させるのはやはりヴィジュアル的に問題があるだろう。

かといって代わりにジェシカやエイミー達を1000人切らせるのはもちろん論外だ。


となると残る選択肢はゴーレムか。

だが、いつもの3mある乙女の裸像タイプを1000体ってのはコスト的に厳しい。

それにゴーレムとはいえ人型のものをそういう使い方をするのはどうも抵抗がある。

『勇者』に勝てないまでもゴブリン程度には鬱陶しい廉価版ゴーレムを作ろう。


『勇者』なら石を斬るくらいはできるだろうが、繰り返せば疲れるし刃も痛むはず。

魔法で攻撃したり剣を強化するにしても、魔力を消耗させることはできる。

「1000匹のゴブリン」作戦よりさらに有効なんじゃないだろうか?


廉価版とはいえ1000体のゴーレムを召喚するのは大変ではあるだろう。

だが、ゴーレムの強みの1つはアイドル時の維持コストが非常に低い事だ。

長期的に見れば1000匹のゴブリンよりはコストも低く抑えられるかもしれない。


貯蓄魔力の関係もあってひとまず雪風の担当エリアに100体を召喚した。

石柱の間を蛇行する通路を巡回し、侵入者はクロスボウで攻撃する。

単体で致命傷を与えることはできないだろうが、雪風の補助にはなるだろう。

地上と上空の両方を常に警戒しないといけないというのはストレスだろう。

加えて水中からの攻撃も順次追加していく予定だ。


さて、今度は開拓村の話に移ろう。

公爵家から受け取った開拓予算は金貨3200枚(内2000枚は借金)だ。

借金といっても建前は捕らえた貴族子弟の身代金だから請求はされないと思うけどね。

まあ、踏み倒すのもアレなんで、いずれ何か別の名目で返済することにしよう。


今は冒険者ギルドに伐採作業を抜根込み1アール金貨1枚で発注している。

安すぎるかと思っていたが、幸いにも受注するものは後を絶たない。

未開の森の伐採なら、薬草や魔物の素材などの副収入が期待できるかららしい。

それでも、これだけですでに支出は金貨5700枚に上っている。


もっとも、その金貨のほとんどは生活費として領内で消費される。

それは領民の収入や、領の税収となって戻ってくるのでまるまる赤字ではない。

また、労働者以外でも色街やドクタースライム目当ての訪問者も増えてきた。

これに加えて魔物の素材や石鹸の売却、家賃収入などでも稼いでいる所だ。


また、王国ではここ数年木材不足が続いているらしく、そこそこ高く売れる。

できれば付加価値をつけて更に高く売りたいところだが、急いで金が欲しい。

とりあえず単価の低い木材から優先的に売っていく事にする。

高級木材は売り渋って値を吊り上げてやろう。

できれば領内の職人に加工させて高級家具などにしてさらに単価を上げたい。


また、紙に加工して売るのもいい金になりそうだ。

王国でも製紙は行われているが、高級紙の製法は王家が独占しているらしい。

しかし、なぜかなるみの作るゴーレムはそれと同等程度の質の紙が作れる。

写真が印刷できるようになったら踊り子のブロマイドとかで更に単価を上げよう。


自転車操業ではあるが、徐々に財政は改善しつつある。

「もっとも効果的な投資」と呼ばれるアレも増強していこう。

あれ?「もっとも確実な投資」だったかな?どっちでもいいか。

とにかく、たいへん有益かつ確実な投資とされる『教育』だ。


以前から考えていたとおり、授業は年齢別ではなく単位制にしたい。

また、美術や音楽、ダンスなどの芸術系も積極的に推進したい。

受講料は領民は無料、教科書とかは貸し出し制にするかな?

楽器も貸し出しがいいんだろうけど、吹き口はどうしよう?


筆記具とかの消耗品もできるだけ領で負担したほうがいいかな?

けど、この世界の紙はそれなりに高価なようだ。

売っちゃう子とか、誰かに取られちゃう子も出てくるかな?

使用済みのノートと交換・・・それだと復習できなくなるか。

使用済みのノートを持って来たらスタンプを押して次を支給かな?

あるいは単元を1つクリアするごとに1冊プレゼントでもいいかも。


あと、単位制にするからには各教科を細かい単元に分けないとな。

たとえば小中学校9年分の国語を20段階くらいに分ける。

各単元のテストをクリアしたら年齢に関わらず次のステップへ行ける。

必修20課程をクリアしたら、あとは好きな分野に進む。

高度な授業については必修とは別に前提履修科目も設定しておこう。


児童書に名著名作、学術書に哲学書に各種論文などを可能な範囲で取り寄せる。

まずはこれをなるみに読み込んでもらい、単語を出現頻度順に並べてもらう。

さらに日常会話での出現頻度や親しみやすさ、綴りの難しさなどで調整する。

そうして単語の習得レベルを20段階+αに分けて行こう。


なるみ一人ではきついのでアルケミストたちやマーガレット達にも協力してもらう。

背表紙をぶった切ってOCRに読み込ませたら速そうではある。

しかし、この世界の本は高価だし、後で図書館や図書カフェに置きたい。

だが、今後も各種文書などを取り込む機会はあるだろうし、OCRは欲しい。


一樹「なるみ、高速で本の内容を読み込むゴーレムとか作れないか?」

なるみ「んー、どうかな?文字の高速読み込み自体はできるけど、本はばらしたくないんでしょ?」

一樹「ああ、後で図書館とかで使いたいからな」

なるみ「そうすると問題はページ捲りだね。本の大きさも装丁もばらばらだから、そこは人の手が必要になりそう」


ページを開いてスキャナにかざすだけなら誰にでもできるだろう。

僅かではあるが、これも多少は雇用を生むことになるのかな?


一樹「わかった。ならその方向で頼む。デザインが終わり次第召喚してくれ」

なるみ「おっけー!」


学術書と論文は引き続きアルミやマーガレットが読んでくれるそうだ。

俺は『人間族語』は読めないし、読んだ所でデータをなるみに飛ばせない。

この場は任せて俺は別の仕事を探すとするか。


なるみ「完成!司書子ちゃん1号です」


完成した書籍読み込み用ゴーレムは黒髪おかっぱの女の子だった。

メガネに白のブラウス、ブラウンのミニスカートと落ち着いた雰囲気だ。

パッと見は血色の良さそうな肌色、等身大美少女フィギュアという感じ。

「人の手」ってそっちか?


一樹「箱型のスキャナかと思ってたよ。もしくは三面六臂のロボットとかね」

なるみ「そっちの方がよかった?そういえばネコミミとか好きだったね。人外萌え?」

一樹「いや、そういうんじゃ無くて単に性能的な話ね。デザインは普通に女の子が好きかな」

なるみ「ならこれで大丈夫だね。内容にもよるけど、読み込み時間は1ページ5秒程度。目の前に本を積み上げとけば、あとは全自動で読み込んでくれるよ」

一樹「それは優秀だな」

なるみ「あと、とりあえず当面は書籍データはなるみが預かっとくけど、増やすつもりならそっちもサーバが必要だね」

一樹「わかった、考えておこう」

なるみ「よろしくー」


1ページ5秒だと1冊で1000秒くらい?20分くらいか?

取り寄せる本はどんどん増やすつもりだし、領内でも出したい。

そうなると司書子の数も増やしたほうがいいのかもしれない。

だが、あの外観をエロ衣装と仮面にアレンジするのは難しそうだ。


いや、司書子はゴーレムだからロボットみたいなものだ。

同じ顔、同じ格好のものが並んでいても何の不思議もない。

いや、それを言うなら他のガーディアンも魔道人形だから同じか?

ただ、それは何か嫌なんだよな。


・・・やめよう。

人形ならなおの事エロ衣装で問題ないはずだ。

そして司書子はロボットだから同じ姿でもOK。

俺は司書子5号まで召喚して読み込みを任せた。


サーバは3台作り、お互いにデータを照合し合ってエラーを減らす。

サーバの外観は想像した通り司書子を大きくした物だった。

メイドロボと同じくボス部屋のコアルームの横に立たせる。

縮尺は2.5倍に揃えたいらしく、天井ぎりぎりになった。

ちなみにパンツは淡いブラウンの落ち葉モチーフ。

読書の秋のイメージらしい。いや、どうでもいいけどね。


ボス部屋に2.5倍スケールのめがねっ娘フィギュアが2体。

しかもときどき自動でパンチラする謎機能付き。

侵入者はさぞかし困惑することだろう。

ただ、最初のダンジョンの分はさすがに隠したほうがいいかな?

他人のダンジョンって態でいくつもりだから同じ物があるのはまずい。


だが、今はとりあえず教育制度の事を考えよう。

国語の教科書の単語の振り分けだけでもけっこう手間だ。

加えて文法とか文学史とか作文とかの課程も必要だろう。

算数とか音楽とか、他の教科についても考えないといけない。

教育委員会・・・いや、文部科学省みたいなものを作るか。


アウラエルに単位制の構想を説明しつつ、学校を視察する。

現状では字の読める大人たちが交代で読み書きの授業を行っている。

算数も同様で、その時々で授業の質のばらつきが大きい。

いや、教師の当たり外れが大きいのは、日本の学校も一緒だったか。

私立ならその辺少しはましとも聞くけどね。


教員の確保と育成も何とかしないといけない。

だが、人間がやる以上は結局『教師ガチャ』になるのか?

『教師ガチャ』で外れを引くとけっこうつらい1年になるんだよな。


ただ、ここでは年更新じゃなくて単位制だから事情は異なる。

『ハズレ』を引くとずっとその単元でもたつくことになるのか?

あるいは生徒が自習に励むようになり、逆に教師の評価が上がる?

生徒側からの教師の評価制度も導入したほうがいいか。


一樹「なるみ、俺の使ってるディスプレイって、もっとでかいのをたくさん出せたりするか?」

なるみ「できるよ。何がしたいの?あ、『えろえろダンジョン』の巨大モニタールーム作っちゃう?」

一樹「それもいいが、ビデオ教材を作りたい」

なるみ「ほほう」

アウラエル「主様、びでお教材とは何でしょう?」

一樹「過去に使い魔が見た情景を見せたことがあったろう?あれと同じ要領で、教師が説明している様子を生徒に見せるんだよ」

アウラエル「なるほど」

一樹「授業の内容にもよるが、知識を覚えこませるだけの授業なら動画を見せるだけでいい。同じ単元を複数の教師に説明させて、生徒は好きな動画を選択できるようにしよう」

アウラエル「面白いアイデアですね。ダンジョンの魔力あってこそのやり方ですので、王国などには真似のできないものです」

一樹「そうだろうな」

なるみ「ただ、それをやるならもっとミスリルが欲しいな。とりあえず銀でなんとかならなくもないけど、魔力の伝道効率が低いんだよ。せめてプラチナが欲しいよ」

一樹「わかった、なんとかしよう」


財政が苦しい現状で貴金属の調達か、厳しいな。

そういえばシュバルツは配下の天使族に素材調達をやらせてたな。

けど、アウラエルの仕事はさすがにこれ以上は増やせない。


アウラエル「主様、天使族の応援を呼んでもよろしいでしょうか?」

一樹「いいのか?来てくれるなら嬉しいが、アウラエルにも報酬らしい報酬は出せてないよな」

アウラエル「強く気高き者に仕えることこそ天使族の誇り。これに勝る報酬はございません」

一樹「えーと、それは俺で大丈夫なのか?」

アウラエル「今伺った内容は今までに無い発想でございます。この国をきっと強固なものにすることでしょう。これに関われる事は名誉なことでございます」

一樹「そういってもらえるならありがたい。現状では自分のことで手一杯だが、今後天使族のために俺にできることがあれば言ってくれ」

アウラエル「ありがとうございます。心強く思います」


シュバルツは天使族が俺たちを手駒にしたがっていると言っていたか。

そういう意味では俺はいい様に乗せられているのかもしれない。

だが、アウラエルは実際に十分過ぎるほど俺に尽くしてくれている。

俺にできることがあるのなら、ぜひ恩返ししたいものだ。


なるみ「ねね、かずきおにぃちゃん、気づいた?今の子ノーブラだったよ」


なるみは平常運転だな。

というか、それって服の上から分かるもんなの?


一樹「そういうのは気づかない振りしてなさい」

なるみ「なんで?」

一樹「え・・・いや、当人も恥ずかしかったりするだろう」

なるみ「うん、恥ずかしがってるかもしれないし、乳首が擦れて痛かったりもすると思うんだよね」

一樹「まあ、そうかもな」

なるみ「なんでだろ?趣味かな?趣味でやってるなら気を使う必要もないよね。むしろ突っ込み待ち?聞いてみよっか」

一樹「やめなさい。なんか事情があるのかも知れないだろう」

なるみ「じゃあほっとくの?」

一樹「そうだよ。興味本位で首を突っ込むようなことじゃないだろう」

なるみ「何もできないなら気づかない振りがいいんだろうけど、かずきおにぃちゃんは領主様なんでしょ?」


それって領主の仕事か?


一樹「いやいや、領民の女児の下着に口を出す領主とかヤバいだろう。個人に肩入れするのも問題だし、そもそもそういうのは母親の仕事だ」

なるみ「むぅー」

アウラエル「主様、仰るとおりそれは本来であれば母親の仕事なのでしょう。ですが、この領には母親の居ない娘や孤児も少なからずおります。それに、母親が居たとしても適切に対応してくれるとは限りません」


そういえば、日本でもそんなような話はたまにきいたか。

ブラやら生理用品やらを親が適切に買い与えない家庭もあるんだとか。

領主ならそういう問題にも対応していかないといけないよな。

気恥ずかしいなんていってられないか。


アウラエル「差し出がましいことを申しました。仰るとおり親が責任を持つべきことですので、主様が無理に対応されることでもないかもしれませんね」

一樹「いや、やはり必要に応じて介入しよう。一般的な家庭では子供のブラはどうしてるんだ?」

アウラエル「基本的には自分で縫わせます。最初の数枚は母親や祖母が与えますが、それ以降は作り方を母親や姉などにを教わりながら自分で作って覚えますね」

一樹「なるほど。では女子の必修科目に子供用ブラジャーと布ナプキンの作り方を加えよう。未成年については材料費は領で持つことにする」

アウラエル「承知しました。手配しておきます」


ブラジャーを買ってもらえない家庭なら材料費も出してもらえないかもしれない。

受講回数を無制限にしておけば、ある程度数も揃えられるだろう。

学校の東隣には公衆浴場も設置した。

未成年ならIDをかざすだけで無料で利用できる。

あとは布地と、初心者向けの工数の少ない型紙の手配もしておかないとな。

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