表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/125

第57話 研究所

アーネストさんの商隊が持ち込んだのは今回も主に食料と日用品だった。

村でも春野菜が少しずつ取れ始めているが、まだしばらくは輸入頼りだろう。

加えて流入した労働者たちの消費する酒と食料も増えた。

それを当てにして、俺の作った百貨店で定食屋を始めた領民もいる。


大量のハムルの苗に隠れて見えなかったが、商隊は花の苗も持ってきてくれていた。

今回はサンプルということで数種類を1本ずつだ。

大通りの街路樹用に淡いピンクの花が咲く落葉樹をいくつか選ぶ。

とりあえず今回は見積もりだけお願いして発注は保留にしておく。


2つの砦を結ぶ約1kmの大通りに5mおきに植えたとして両脇で400本か。

苗木400本はけっこう高そうだし、時間はかかっても種1000粒がいいかな?

サンプルとして持ち込まれた苗木はせっかくなので全部買い取った。

どれもきれいな樹だし、何かしら使いどころはあるだろう。


加えて透明石鹸用のペルメ油についてもアーネストさんに注文しておいた。

ペルメってのを栽培してみたかったが南の方の植物でこの辺では難しいらしい。

実の状態で買う事も考えたが、輸送コスト的に難しいとの事だった。

この世界の輸送手段は主に馬車のようだから、運べる量も限られるのだろう。


実の状態で入手できれば潰したり絞ったりはゴーレムを使うこともできる。

必要な成分の分離抽出はコバルト達に任せたほうが精度も高いだろう。

低コストで高品質なペルメ油が作れるかと思ったがうまくいかないものだ。


まあ、生息域が違うということであれば、外来種とかも警戒しないといけないか。

実の状態で輸入すれば余計な物が入ってくるリスクも上がってしまうだろう。

その辺の対策費用も考えれば油の状態で買うほうが安くなるのかな?

ただ、箱やら詰め物やらの消毒だけはしておいたほうがいいのかもしれない。


最近は土木系労働者だけでなく、公爵家の御用聞き商人も出入りするようになった。

ドアや窓用の高級木材とか、各種調度品などの注文を受けているのだろう。

人や物の出入りが多くなってきたため、防疫についても考える必要がありそうだ。

検疫のための人材確保とルールの策定か、ちょっと見当がつきにくいな。


ひとまずそれは置いておくとして、メインダンジョンの改装に戻ろう。

防衛機能については、とりあえず一旦完成ということにしておく。

『勇者』や『聖騎士』が相手ならまだ不安はあるが、それを言い出したら切りがない。

おいおい強化はする事にして、今回は研究室の整備を行おう。


新しい研究室用に確保した空間が26ヘクス分だから約260aの細長い空間だ。

全部を研究室にしちゃうのはさすがに広すぎるから、奥の方は倉庫とかにしよう。


俺がいつも使うエレベーターの出入り口を研究室フロアにも追加する。

さらに、地上部の倉庫を一部潰して貨物用エレベーターも追加する。

入ってすぐが実験や作業をするエリア、その奥に薬品倉庫と資料室。

更に奥には研究員用の休憩室、トイレ、浴室、寝室と続いている。


研究員といっても魔道人形だから風呂も寝室も本来は必要ないんだけどね。

なんかこう、人型のものを不眠不休で働かせるってやっぱり抵抗がある。

それに将来的に人間の研究員を入れる可能性も皆無ではないだろう。


一番奥は俺用の倉庫で、一応宝物庫という事にしておく。

といっても、宝物らしいのはまだ『聖騎士』から奪った魔剣くらいか。

攻撃力強化や耐久力強化などが付与された優れものらしい。


エイミーにでも持たせようかと思ったが、大きすぎて使いにくいらしい。

俺が使えばいいんだろうが、人に刃物を向けるのはやはりまだ抵抗がある。

棍棒で撲殺しまくってる奴が言う事でもないけどな。

いや、撲殺したのはまだ2人か?だが魔法ではすでに何百と殺している。

それにガーディアンたちが殺した分も俺の業としてカウントすべきだろう。

いい加減に覚悟を決めて、剣なり刀なりを持つべきだろうか?


とりあえずそれも今は保留だ。

地下の化学実験上ということで、換気設備はしっかりした物を作ろう。

排水管にはしっかりと濾過装置をつけ、公害や環境破壊に気をつける。

遠心分離機型ゴーレムも5機追加。

試験管だの還流装置だの細かいところはコバルトとなるみで直接調整してもらおう。


最後は肝心の研究員、アルケミスト型ガーディアンを30人召喚する。

いつものように中空にいくつもの光の繭が現れ、それぞれに裸身の少女が浮かぶ。

すでに働いているアルミ、コバルト、ネオンと同じ顔がそれぞれ10人ずつだ。

同じ顔の人間がずらりと並んでいるとまるで人形のように思えてくる。

いや、実際これは人形だったな。


30体の人形はいつものようにゆっくりと回転を始める。

胸元に虹色の光が走り、小さな胸をコットンのブラジャーが包む。

さらにお尻を見せ付けるようにゆっくり回転しながら虹色の光が走る。

やはり小さなお尻をなにか動物の描かれたコットンのパンツが包んだ。

今回はよれた感じは止めて、それぞれ新品っぽい下着にしてある。


最後に全身を虹色の光が包んで衣装を完成させる。

といっても、服は先ほどの下着に白衣が追加されただけだけどね。

なぜかこれがこの研究室のユニフォームらしいから仕方がない。

他の違いは顔が機能不明の謎ゴーグルで半ば以上隠れている所か。


この30人にはそれぞれ個別の依頼をするつもりはない。

基本的にはオリジナルの手足として動いてもらう。

試行回数や作業量を増やすのが目的だ。


一樹「じゃあ、みんなそれぞれ上の3人を手伝ってくれ。頼んだぞ」

アルケミスツ「はーい!」


さて、これでメインダンジョンの改装は一段落だ。

あとは、最初のダンジョンもある程度強化しておくか。

メインコアは移設済みとはいえ、それなりに思い入れもある。


あっちはゴブリンとオークの巣窟で如何にも魔物の巣という様相だ。

俺ではなく「プライベート・ブラック」のダンジョンという事にしよう。

領主としては特に立ち入りの制限をせず、ガーディアンの戦闘訓練の場にするか。

だが、メインダンジョン周辺は観光地として整備する予定だ。

そのすぐそばに危険なダンジョンがあるというのはまずいだろうか?


アウラエル「住んでいるのがゴブリン程度でしたら、簡単な柵と鳴子程度で対応できるでしょう」

一樹「それだけで街への侵入が防げるのか?」

アウラエル「完璧とはいえませんが、特に大きな問題になるとは思いません。最初のうちだけ傭兵でも雇って鳴子に即応するようにしておけば、すぐに鳴子が鳴るだけでゴブリンが逃げるようになります」


ある程度の学習能力はあるわけか。

そういえば、ガーディアンを真似て剣や弓を使ったりもしていたな。


一樹「傭兵というのはいくらくらいかかるものなんだ?」

アウラエル「有名なのは『ハイランダー』と呼ばれる狼人族の傭兵団ですが、任地で大きく変わりますね。戦場に駆り出すなら天井知らずですが、紛争地帯の警備で月に金貨3~6枚、比較的平和な地域で2~3枚でしょうか。ゴブリン対応でしたら3~4枚も考えておけばよろしいかと思います」


ちなみに住み込みメイドの月給が3食付で金貨1枚前後らしい。

それと比べると高いが、命がかかっているならそんなものか?

開拓の人足の給金もあるし、手持ちの金貨1200枚など長くはもたない。

早く安定した外貨獲得手段を確立しなければ。


一樹「その『ハイランダー』への連絡手段はあるのか?」

アウラエル「はい、お任せください」

一樹「わかった。ではその件については後ほど検討するとして、最初のダンジョンの改装の話に戻ろう」

アウラエル「わかりました。ただ、あのダンジョンについては既にゴブリンの巣窟として人間族に情報が出回っています。今から開拓村のようなダンジョンに切り替えるのは難しいですね」


最低限の礼節を弁えた人間なら、他人の家や施設に勝手に押し入ろうとはしない。

俺は人間族に対し、ダンジョンをそういう対象として認識させたかった。

だが、最初のダンジョンについてはもう手遅れか。

向こうではすでに冒険者を何人か殺してもいるしな。


一樹「では、危険なだけで無価値なダンジョンという方向でいくか」

アウラエル「お言葉ですが、それは悪手かと存じます。人間族にとって無価値なダンジョンなら、なおのこと潰そうとするでしょう。中の魔物が溢れる可能性もありますし、少なくとも最奥部にはダンジョンコアという秘宝があるのですから」


俺が人間族と戦うそもそもの理由はダンジョンコアが狙われているからだったな。

あそこは今はサブダンジョンだから潰されても致命傷というわけではない。

それでも痛手には違いないし、そもそも奴等にくれてやる筋合いもない。


アウラエル「幸い、ここはゴブリン狩りでも多少なりと魔石を稼げるダンジョンとも知られているようです。あとは食用キノコやマリョクタケでも植えて有用かつ危険度の低いダンジョンと認識させるほうが得策ではないでしょうか?」

一樹「なるほど」


野生のゴブリンならある程度の上位種でなければ魔石は取れないらしい。

だが、俺のゴブリン型ガーディアンなら核として魔石が存在している。

また、王国にはダンジョンを資源として保持・活用しようという勢力がある。

勝手に踏み込まれている状況で敵に媚びるのは癪に障るが止む無しか。


なるみ「えろえろダンジョンにしよう!女の子の服がどんどん脱げてくやつ!」

一樹「なんだそりゃ?」

なるみ「戦うたびに女の子の服がどんどん弾けていくんだよ。かずきおにぃちゃんってそういうの好きだったでしょ?」

一樹「いや、まあ・・・それはそうなんだが」


こいつはなぜか俺が地球でプレイしてたゲームを把握してるんだよな。

それはともかく、命のやり取りをしようって時に脱がしてどうするんだ?

侵入者が相手なら遠慮は無用かもしれないが、冒険者は8割以上が男だ。

うまいこと服や鎧を剥がす罠を作ったとしても、男の裸など見たくないぞ。


なるみ「冒険者の格好って外側はいろいろ見てきたけど、インナーがどうなってるのかは見る機会が少ないんだよねー」

アウラエル「エロエロダンジョンですか。そうなると『服だけ溶かすスライム』などが定番だそうですね」

一樹「アウラエル、お前まで何を言い出すんだ?」

アウラエル「そういうのを好むダンジョンマスターも多いと聞いたもので。主様の趣味ではありませんでしたか?」

一樹「いや、そういうわけじゃないが、アウラエルが乗ってくるとは思わなかった」


そういえば、なぜかアウラエルは俺に女をあてがおうとする節があるな。

そういう意味では意外でもないのか?


アウラエル「侵入者の撃退ということでしたら殺してしまうのが一番確実ですが、主様は死人は増やしたくないご様子。特に女を殺すことに抵抗を感じてらっしゃるようですね」

一樹「ああ、そうだな」

アウラエル「ですが、ただ追い返すだけでは二度三度とまた侵入して来るでしょう。そうなれば、次も無傷で追い返せるとは限りません。侵入者もそうですが、主様やなるみちゃんの危険まで増すことになります」


ダンジョンの情報を持ち帰られれば対策され、攻略が進んでしまう。

そうなれば、殺さざるを得ない状況になってしまうか。


アウラエル「殺さずに追い返したいということなら畏怖を与えるのが一般的でしょうが、羞恥を与えるのも確かに一つの手かもしれません。いずれにせよ、侵入者は主様の慈悲により生きて帰れることを感謝すべきでしょう」

一樹「なるほど・・・」


こちらの目的は第1がもちろんダンジョンの防衛だ。

そして第2の目的がガーディアンたちに戦闘経験を積ませる事。

必要に迫られて冒険者を殺す事もあるが、殺すこと自体は目的ではない。


一樹「なるみ、『服だけ溶かすスライム』ってのは作れるのか?」

なるみ「んー、どうだろ?ちょっとむつかしいかも」

アウラエル「それについてはスカーフスライムが使えるでしょう。すでにけっこうな数をお持ちでしたね」

一樹「あれか」


ジャイアントボアに寄生、いや共生している小さなスライムだ。

ジャイアントボアの体表に住み、垢や抜け毛を食べているらしい。

どうやって区別しているのか不明だが、生きた毛や肌は傷つけないそうだ。


人間に対しても同様で、体を這わすとお肌がつるつるになる。

ご婦人方の美容法の1つとしてそれなりに人気があるそうだ。

しかし、王国内では長期の飼育例はなく、すぐ死んでしまうらしい。

ただ、環境の違いなのか、うちではくず肉をやるだけで元気だ。


アウラエル「触手攻めなども定番だそうですね。あとは好みが分かれますが、ゴブリンやオークをけしかけるという手もあります」

一樹「触手はともかく、ゴブリンとオークはやめておこう」

アウラエル「本物のゴブリンをけしかけるのに抵抗があるようでしたら、ゴブリン型の魔道人形を使う手もありますよ?」


ゴブリン型ガーディアンのことか。

確かにそれなら性病や妊娠の心配はない。

玩具を入れるようなものだ。


一樹「こっちはよくても相手からしたら似たようなものだろう。意外とえぐい事を言うな」

アウラエル「私としても女を苦しめるのは本意ではありません。飽くまでダンジョンの防衛と不殺を両立するための方法の1つということです」


命を脅かすものを殺さずに済まそう等と無茶を言っているのは俺の方だったな。

人形とはいえゴブリンに犯されれば改めて来ようとは思わないか。

向こうは人形とは知らないはずだから、妊娠を心配してしばらく半狂乱だろう。


一樹「有効な手段だとは思うが、やはりゴブリンとオークは止めておこう。見ているこっちがつらくなりそうだ」

アウラエル「わかりました。ではスライムと触手は採用ということでよろしいですか?」

一樹「そうしよう。変なことに付き合わせてすまないな」

アウラエル「いいえ」


アウラエルの柔らかい手がそっと俺の手を包む。


アウラエル「殺しを忌避する者は珍しくありません。しかし、自らの命を脅かす者に対してまで、可能な限り殺さずに済まそうという主様の態度は好ましく思っているのですよ」

一樹「そうか」


遠まわしに「甘い」と言われているような気もしなくはない。

シュバルツも脅すだけでは守り切れないと言っていたか。


アウラエル「主様のダンジョンへの侵入者ならば死罰が妥当です。しかし、多少なりと主様の眼を楽しませるならば罪を一等減じてもよいのかもしれませんね」


俺の不安を拭おうとするかのようにクスリと笑う。

楽しむ・・・楽しむ、か。


「なるみを守る」という義務感だけでは俺が潰れてしまうかもしれない。

ならば侵入者を使って少しばかり遊ばせてもらうのも有りなのか?

服を溶かされて全裸で走り回る女冒険者というのも見てみたい気はする。

しかし、引きつった顔で泥と擦り傷まみれでは見ても楽しくはなさそうだ。

それに、侵入者が相手とはいえ、やはり人道的に問題があるだろうか?


また、全体の8割以上もいる男の冒険者をどうはじくかという問題もある。

『白百合』のように女だけのパーティーはかなり珍しいらしい。

ほとんどのパーティーは男中心で女は居ても1人か2人と聞いた。

男を武力で排除しようとすれば、当然一緒に居る女とも戦うことになる。

それで危険なだけで無益なダンジョンと認定されれば本格的に潰される。


人間族にとっての有益性を保ったまま男だけを排除する方法。

それがあれば、王国のダンジョン有効活用派を味方につけられる。

その上で冒険者の大半を排除し、ダンジョンの安全性もあげられる。

そんな女の冒険者だけを誘引するようなダンジョン・・・・。


アウラエル「何か思いつきました?」

一樹「そうだな、2人の言うとおりエロいダンジョンにしよう。それでいて、女冒険者も味方につけるようなやつだ」

アウラエル「詳細を伺えますか?」

一樹「ああ、まずは・・・・」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ