ドラゴンブレス
「急がなきゃ」
私、女神ミューズは焦っている。
夏希が迷宮に飲み込まれてからどれくらいの時間が経っただろうか。
既に戦士団と探索者が夏希と叢雲、レジーナの捜索に迷宮に向かってはいるが、そう簡単に見つかるとは思えない。
簡単に見つかる所にトリネロが夏希たちを飛ばしたとは思えない。
もしかしたら、普段迷宮探索で行けることができる場所とは違うところに飛ばされているかもしれない。
もしそうなら戦士団達が夏希を発見することは不可能。
でも、私達女神は迷宮に潜れない。
直接この身を使って夏希を探しに行くことができない。
引き裂かれるような思い。
私のかわいい、私のかわいい夏希の最大の危機に、私がなんとかすることができない。
「3人の女神を集めると言っても……いくら女神がいたとしても迷宮には入れないんだよね。万が一のことを考えて女神を迷宮付近に待機させておくとは言っても……意味があるのかな……」
エリスは、もし夏希がモンスターに追われて迷宮から出てきた時の備えとして、最低3人の女神を集めてこいと言った。
でも女神が何人いたところで、迷宮の前で待機していることしかできない。
迷宮から出てくるまでは夏希自身がやらなくてはならないんだ。
「ううん、何を考えているんだろうね私は。やれることをやれるって決めたばっかりなのに。もし凄く強いモンスターに追われて夏希が迷宮から出てきたら、そこでモンスターを倒さなきゃならないんだから、意味がないなんてことはないはずだよね。それに、あのまま迷宮の前でじっとしてるなんてのは無理だよ」
既に1体の妖精と話をして、1人の女神は迷宮に向かってくれるのことはほぼ確実だ。
あと2人。
問題は時間。
何時間も何日もかけて集めるなんてことはできやしない。
「……探すったって、女神が都合よくすぐ見つかるとも限らないし、他の都市に行けば在住している女神もいるだろうけど、時間がかかり過ぎる。妖精に頼むにしても女神とすぐに話をつけられる妖精がさっきみたいにすぐに見つかるとも限らないし……」
どうしようか。
すぐに女神を見つけるにはどうしたらいいだろう。
そこら辺にいる野良女神を連れていきたいところなんだけど、私がただ飛んでいたって向こうから話しかけてくる可能性は低いと思うし。
……よし決めた。
分かりやすい方法で、女神の特性を利用しよう。
女神が絶対に無視できない方法を使おう。
私の持つ力を声に乗せる。
常識外れの大きな声を出す準備をする。
「おーーーーーーーーい女神! いたら返事して!」
よし、いい感じに大きな声が出せた。
地平線の向こうくらいまでは届くだろう。
「子供達がピンチなの! 迷宮トリネロに飲み込まれちゃったの! 助けて!!!」
叫ぶ。
子供達が危ないと叫ぶ。
女神であれば、これが聞こえてさえいれば絶対に無視はできないはず。
一度目で女神が現れるとも限らないから、何度かこれを繰り返して……
と思っていたら、ズドドドドドドドドドドドという轟音と共に、地平線の彼方から何かが近づいてきた。
「あなた! 子供達が迷宮に飲み込まれたって、どういうことなの!?」
轟音を立てて女神が目の前まで近づき、私に尋ねてきた。
ああ、やっぱり子供達が危ないって分かればそりゃ何もかもほっぽりだしてでも飛んでくるよね。
私だってそうするもん。
……っていうか……
「ハーモニーじゃないの」
「ミューズじゃないの」
眼の前の女神は、ハーモニーだった。
私と夏希と一緒に庭で暮らしていた女神。
今は夏希を探しに出かけていたはず。
私が庭に帰った時に置き手紙を残して、トリネロに来て欲しいとは伝えてあったけど。
「置き手紙読んでくれたってこと?」
「ええ読んだわよ。読んですぐにトリネロに向かってきたの。そうしたらその途中であなたの大声が聞こえて……って、そんなことはどうでもいいわ。子供達が迷宮に飲み込まれたってどういうことなの? 子供達って夏希のことよね?」
「もちろん夏希のことだよ。他に誰がいるっていうのよ」
「どういう状況なのそれは。夏希が自分で入って行ったってこと? いいえ、飲み込まれたなんて言うからにはそういうことじゃないのよね。何かしらのイレギュラーが起きて迷宮に入ったってことよね。ミューズ、あなた子供達がピンチだとも叫んでいたわね。つまり相当に最悪の状況ということね。可能性としてはトリネロが何かしたって線が濃厚かしら?」
ハーモニーは話が早くて助かる。
「そうだよハーモニー。私も何が起きたのは正確なところは分からない。分からないけど、迷宮の前で夏希が突然消えたの。叢雲と、後はトリネロの学院の生徒が1人と一緒に」
「言いたいことは山程あるけど、とりあえずそれは後ね……ああもう、何で夏希がトリネロにいてしかも迷宮なんかに……」
「うん、説明は夏希が出てきてからちゃんとするね。なんで夏希がトリネロの住むようになったのか、それに夏希は迷宮も塔も城も全部壊すって言ってるから、それもちゃんと聞いてあげてね」
「……本当に言いたいことが山程あるけど……まずはトリネロに向かいましょうか」
「うん、そうしよう。でもね、女神をもう1人見つけたいんだ。エリスがね、何が起きてもいいように女神を3人連れて来いって言ってるの。1人はさっき多分渡りをつけることができたから、あともう1人」
「女神は迷宮に入れないわよ?」
「分かってるよ。それでもだよ。もし夏希がモンスターに追われて迷宮から出てくるかもしれない。それに、考えもしないようなイレギュラーなことが起きるかもしれないじゃない? その時に、女神が私とエリスしかいなくて対処できませんでした、なんてことになるのは嫌でしょ。私は迷宮の前にいたって何もできないから、やれることをやろうと思って女神を集めているんだよ」
「なるほどね。確かに夏希が迷宮に飲み込まれたなんてことが既に異常事態なのだから、何が起きてもおかしくない……それに対応するための戦力、つまり女神の頭数は揃えておくに越したことはないわね」
本当にハーモニー相手だと話が早くて助かる。
私とハーモニー、フォルテの中じゃ頭の回転の速さはピカイチだもんね。
「というわけで、もう1人……」
と言ったところで、さっきハーモニーが近づいてきたのと同じ轟音がズドドドドドドドドドドと鳴り響く。
「あ、向こうから来てくれたみたい」
「そうみたいね。さっきのミューズのバカでかい声が聞こえたのね」
眼の前に轟音の主が現れる。
もちろん女神。
そして、なんとなく予想はしていたけど……
「やっぱりフォルテだったね」
現れたのはフォルテ。
庭で一緒に暮らしていた女神の3人目。
私とハーモニーとフォルテ、そして夏希はずっと一緒にあの庭で暮らしていたんだ。
「ミューズ、子供達の危機とは?」
フォルテが簡潔に聞いてくる。
「子供達とは夏希のことで間違いないな? そして夏希が迷宮に入ってしまって、そして夏希は困っているのだな?」
「そうだよフォルテ。その認識で今は十分かな。それで、夏希を助けるのにフォルテも力を貸してくれる?」
「当たり前のことを質問しないでくれ。場所は都市トリネロで間違いないな。話は着いてからでもできる。まずは移動をしよう」
「了解、じゃあハーモニー、フォルテ、行くよ」
3人揃って光の羽を背中から出し羽ばたく。
思ったよりずっと早く3人の女神を集めることができた。
しかも2人はハーモニーとフォルテ。
夏希もよく知る女神だ。
どちらにせよハーモニーとフォルテとは合流するつもりだったのだから、それがちょっと早まったくらいのことだしね。
心が少し軽くなる。
状況はさっきから何も動いていない。
夏希がピンチなのは相変わらずだし、それが覆る材料は何も生まれていない。
だけど夏希と一緒に暮らしてきた女神が3人揃ったのが嬉しい。
今回のことがなんとかなれば、また3人で暮らせる。
生活できる。
あの庭での4人の生活は愛おしいものだったけど、夏希が自分で決めて庭から出たのだから、これからは夏希の気持ちを大切にしてあげないといけない。
そう決めてある。
だったら、夏希がやりたいことをやらせてあげながら、私達がついていてあげればいい。
夏希のことは何でも面倒を見てあげる。
ハーモニーもフォルテもいるのだから、なんだってできる。
そうだ、最初の予定通りハーモニーかフォルテのどちらかと結婚して貰うのもいいな。
夏希は人間の女の子と恋をしてみたい、出会ってみたいなんて言っていたけれど、そんなのは一時の気の迷いかもしれないじゃない。
結局は赤ちゃんの時からずっと一緒だったハーモニーとフォルテのどちらかをお嫁さんに選ぶ可能性は高いよ。
そうすればまた4人で暮らせる。
私はお姑さんになるのかな?
「ミューズ、女神を見つけることができて少し気が緩んでいるの? 夏希が相変わらず危ない状況なのは変わっていないのだから、常在戦場の気持ちを切らさないで」
ハーモニーが言ってくる。
うん、そうだ、そうだ。
ちょっと気が緩んでしまった。
まずは夏希が助かってから、後のことはそれから考えよう。
でも、明るい未来を考えなきゃ私は頑張れないから。
少しだけ許して。
女神3人の全力の移動により、都市トリネロはすぐに見えてきた。
「着くよハーモニー、フォルテ。このまま迷宮前まで向かうよ」
「分かったわ」
「了解した」
3人揃って、迷宮前のエリス達の横に着陸する。
戦士団や探索者が慌ただしい動いているのはさっきと変わらず。
その中からエリスがこちらにやって来る。
「早かったわねミューズ」
「うん、大声で叫んだら2人が来てくれたからね。後の1人はまだ来ていない? 妖精に話をしたら呼んでくれるって言ってたんだけど」
「もう1人来るのね? それはまだ来ていないわ。それにしても、ハーモニーとフォルテなのね」
「うん。私が夏希と一緒に暮らしていた庭に置き手紙をしてきたんだ。読んだらトリネロに向かうようにって。2人ともそれを読んでここに来る途中だったみたい。タイミングが良かったよ」
「そう。来てくれたのが夏希が知っている女神であって良かったかもしれないわね。知らない女神よりも気心の知れた女神の方が夏希も安心するでしょうし」
私とエリスとで話していると、ハーモニーが割り込んできた。
「エリス。あなた夏希のことを夏希って呼ぶほど親しい関係だったかしら? あなたはずっとここトリネロを守護して引きこもっているだけだったはずだけど」
「あら。夏希があなた達の庭から出て辿り着いたのがここトリネロよ。そして私はここの守護。夏希と私が親しい関係になったとして何の不思議があるのかしら」
「そんなのはただの偶然じゃないの」
「偶然かしら? 少なくとも夏希があなた達から逃げ出したのは偶然でもなんでもなく夏希の意志だと思うのだけど? そうしてトリネロに来たのだから、半分は運命みたいなのものだと思うわ。私が女神の職務として夏希を保護してあげるのは当然だし、夏希だって私に好意を持つのも当たり前の話よ」
「夏希がエリスに好意ですって?」
「それはそうよ。トリネロでは私が夏希の面倒を見てきたし、これからもそうするつもりだもの。好意くらい持ってもなにがおかしいのかしら?」
「私もミューズもフォルテも揃ったのだから、夏希は返して貰うわよ。また4人で暮らすのだから。私達、3人で話し合ったの。夏希の気持ちを大切にしなきゃいけないって。だから、夏希の望むことを大切にしながらまた4人で暮らすの。確かにトリネロではあなたのお世話になったのでしょうね。それについてはお礼を言っておくわ。ありがとうエリス」
「はぁ。しょうがないとはいえ、あなたは何も分かっていないのね。夏希がどんな思いであなた達の庭から飛び出したか、そしてトリネロに辿り着いてどういう決心をしたのか。その場にいなかったとはいえ、あなたと私では夏希に対する理解度がまるで違っているのだわ。話が合わないのも当然ね」
「私が夏希のことをあなたより理解していないですって? エリス、言っていいことと悪いことがあるわよ。夏希が生まれてからずっと私は夏希と一緒に暮らしてきたのだけど」
「男子三日会わざれば刮目して見よ。あなた達と暮らした長い時間よりも、夏希が庭を出てからこっちの時間の方が遥かに濃密だったということよ。初めての旅、初めての労働、初めての人間との関わり、初めての戦闘……男の子を育てるには十分な要素よね」
「戦闘? 夏希が戦ったの?」
「何を当たり前のことを言っているの。庭から出てトリネロに辿り着くまでに一度の戦闘もなしに済むと思っているわけ? トリネロに着いてからもワイバーンと戦ったし、それに私とも戦ったわよ」
「ワイバーン? 飛龍と戦闘? 夏希が? それにあなたと? なんで女神であるエリスと夏希が戦っているのよ!」
「あなたに全部説明する義務はないわ。ただ、夏希は成長したわよ。戦闘技術だけじゃないわ。戦いを通じて男の子として、子供達として成長した。あ、それと一番大切なことだけど、夏希は決めたから。あなたの覚えているでしょう。私の子供達。戦うことを選んで迷宮に潜り続けた私の子供達。あの子と同じように、夏希も戦うことを決めたから」
「……あなたの子供達って、確かトリネロの最下層まで辿り着いて、そこで……」
「そうよ、その子よ」
「……あの子は戦闘が上手かったわ。天才だった。叢雲を自在に操り、剣技も術技も達人だったわ」
「ええ、そうね」
「夏希があの子と同じようになれるわけがないじゃない。私達は夏希にそんなこと教えてないわ」
「あなた達が教えなくとも夏希はやれるわよ。いつまで夏希を赤ちゃんだと思っているのかしら。……そうね、分かりやすく言えば、夏希は紫電を使えるわよ」
「紫電? 紫電って燕返しの紫電? それってあなたの子供達の得意技だったあの紫電? なんでそんなものを夏希が……あれは才能ある者が極限の修練の果てに習得するものでしょう」
「ま、とにかく夏希はあなたの知らないところで様々な成長をしてきたということよ。この短い期間にね。なぜ紫電を使えるようになったか、あなたが夏希に聞いてみなさい」
エリスとハーモニーの応酬が続いているけど、それはまた落ち着いてからにして欲しい。
夏希さえ無事なら話をする機会なんていくらでも作れるんだから。
「エリス、ハーモニー、話はまた今度にしよう」
2人に向かって話す。
「あら、それはハーモニーに言ってくれる?」
「エリスに言ってくれるかしら」
……ダメだねこれは。
エリスとハーモニーが会うのってどのくらいぶりなんだろうか。
元々、エリスみたいな都市に拠点を構えて守護をするタイプの女神と、私達みたいな在野でウロチョロしている女神とは基本的に気が合わないケースが多いのだけど。
それに加えて夏希のことがあるから、2人とも感情的になってしまうのだろう。
そこへフォルテが割って入る。
「エリスもハーモニーもいい加減にしろ。女神は夏希のためにいるのだろう。争ってどうする。エリス、確かこの都市には戦士団と探索者がいるな。もちろん夏希の捜索に迷宮に潜っているのだろう? どのような様子なのだ」
「戦士団からも探索者からも夏希を発見したという報告は入っていないわ。それどころか夏希と叢雲、それに学院の女子生徒の痕跡すら見られないということよ。まだ浅層しか捜索していないけど……場合によっては中層や深層に飛ばされている可能性もあるということね」
「そうか……」
ここに女神は4人いるが、迷宮に関してのことには直接手出しできない。
もどかしい。
戦士団と探索者の報告を待つ以上のことができない。
「一応、何が起きてもいいように戦闘の気構えだけはしておくとしよう」
「そうだね。もし夏希が迷宮から出てきてモンスターが追ってくるようなことがあったらすぐに対応しないと。そうなったら私が夏希をすぐに保護するから、他の3人はモンスターをお願い」
私が3人に提案する。
エリスがすぐに反論してきた。
「ミューズ、夏希を保護するのはトリネロ守護たる私の役目ではなくて? あなた達3人がモンスターの相手をすればいいわ」
「夏希は私がお腹を痛めて産んだ私の子供だよ。保護するのは親の義務じゃないかな?」
……ダメだな。
私だってエリスだって誰が保護する誰が戦うなんてどうでもいいことだなんて分かってる。
夏希が無事なら役回りが誰になろうと関係ないなんて分かっているんだけど、夏希のことになるとすぐにこれだ。
と、その時。
轟音が響き渡る。
地中から。
迷宮から。
あり得ない場所から。
轟音と共にほとばしる光の束。
魔法ではない。
人間による術技でもない。
それらを超える圧倒的な暴力の光。
「ドラゴンブレス!?」
咄嗟に空に飛ぶ。
エリスもハーモニーもフォルテも同様に光を躱す。
光の束は、地上の土を岩を溶解させ蒸発させ、そして空中に消えてゆく。
「迷宮が崩れたっていうの!?」
過去に例のない事態だ。
迷宮からモンスターが這い出ることはあっても、迷宮自体が崩れて地上と繋がるなんていうのは聞いたことがない。
「エリス! ハーモニー! フォルテ! 夏希の確認を! 急いで!!」
3人の女神に向けて叫ぶ。
「分かったわ」
「もうやってるわよ!」
「光を放った存在にも気をつけろ」
今の光による攻撃によって、恐らくは迷宮の一層と地上が繋がった。
確認するまでは分からないが、迷宮に潜むモンスターが地上に這い出てくる可能性がある。
戦士団に対処してもらう必要がある。
そして、そして……光は何によって放たれた?
あの強大な暴力は、ほぼ間違いなく龍による攻撃だ。
他のモンスターが迷宮と地上を繋げてしまうような芸当ができるとは考えられない。
そして、それは夏希がその龍と対峙しているということではないか?
夏希との戦闘によって放たれたブレスではないか?
「と、とにかく確認! 夏希! いるなら返事して!!」
叫ぶ。
すると
「ミューズ! そこにいるの?」
崩れ去った迷宮の天井、まだ土埃が舞うその下から夏希の声が聞こえてきた。
「ミューズ! そこにおるのか? ならばエリスもおるな! すぐに戦闘準備をするんじゃ!」
叢雲の声も聞こえてきた。
思ったより近い場所にいるようだ。
「敵は不死龍じゃ! すぐに地上に出ていくぞ! 儂らもすぐに地上に出る!」
不死龍か。
やはりドラゴンによる一撃。
いや、今は敵の種類なんてどうでもいい。
夏希が生きていた。
どんな強大と戦っていようと、生きてさえいれば後は私達がなんとかできる。
良かった。本当に良かった……
「エリス、ハーモニー、フォルテ。聞こえていたね? 敵は不死龍だってさ」
「叢雲も学院の女子も無事なようね」
「生体の龍じゃないのね? なら戦えるわ」
「気をつけろ。不死龍は龍語魔術は使えないはずだが、強力な身体能力と弱体化しているとはいえブレスは驚異だぞ」
「分かってるわよ。でもやるしかないでしょ」
不死龍は強力なモンスターだが、生体の龍でないのなら戦いようはある。
それに戦わないという選択肢はないわけだしね。
問題は、戦闘をしながら夏希を助けるのか、戦闘が終わった後に助けるのか……そのくらいのものだ。




