7 リベンジ
最終話
「よく寝てんなー」
マリー(偽)の寝顔を見て、黒ローブはそう呟いた。
「まぁ、仕事だから起きてもらわないと話にならないな。おーい、起きろー。」
そう言い、マリー(偽)に何か魔法をかけようとする黒ローブ。
私はそれを見た瞬間、私、マリー、黒ローブを外へ転移させ、私達の変身魔法を解除した。
「へぇ……これが本当の忍び込んだネズミってとこか?」
「お前を捕まえてやる。覚悟しろ!」
「やれるもんならやってみな!」
それから、私達の戦闘が始まった。
初手相手の足元を泥にし、相手のバランスを崩させる。
「おぉっと?」
彼は意外そうな顔をし、風魔法の応用で空中に浮かび、難を逃れた。
でも、既に私の魔法の準備は終わっている!
魔法の神髄にたどり着いたものの特権。
それは、概念に干渉する魔法を扱えるようになること。
それが出来るならば、精神への介入だって容易にできる。
「まさか、その魔方陣はっ!やめろおお!!!!!!」
相手も精神魔法の使い手なのだろうが、残念。一つの魔法だけにこだわっていてはこのレベルまでたどり着けないだろう?
少々意地の悪い笑みを浮かべながら、私はその魔法を呟いた。
「精神魔法 第一段階 解除 『お前の主人は私だ』」
すると、彼は空中から降りてきて私の足元に跪き、「何なりとご命令を」と言った。
……こんなにあっさり行くなんて。
そんな驚きと共に精神魔法を元の基準まで閉じ込める。
あの状態では、対象を延々と洗脳してしまうからな。
「お前の前の主人は?」
「はっ、隣国のバウムクーヘンでございます。」
やはりな。大方天才の芽を摘もうとして寄越したのだろうが、遅すぎたな。
私が時魔法を覚える方が早かった。
それだけで、バウムクーヘンの敗北は決定的だった。
「で?お前に出されていた命令は?」
「はっ、被術者同士で強烈に惹かれ合う魔法を用い、マリー様を恋に恋する少女にしろ、との命令でした。」
やはり、磁石のような原理の魔術だったか。
それにしても……やはり、あの程度の魔法を打ち破れないのでは、王たりえないよな。
そんなことを思っていると、マリーが耳元でこうささやいた。
「後のことはおまかせください。きっちりと罰を受けさせますので。」
要するに、はよ帰れってことだ。
もうそろそろ日ものぼってしまう。
そろそろ頃合いか。
「あぁ、じゃあ、またな。」
「えぇ。」
そう言うと、私はフクロウに変身し、夜の風を切り、自室へと戻り、眠りについた。
……それからの事?あぁ、いいよ、教えよう。
マリーはスパイを自力で捕まえたことが評価され、王城で働くことが決定した。
私は、自身が王の器ではないということを両親に根気強く説明したのだが突っぱねられてしまい、今もまだ王太子のままだ。
そして、ソフィーに正直に「私は、恋愛を生涯しないと決めている。それでも、私でいいのかい?」と聞いたところ、「嫌だ」という返答をいただき、無事ソフィーはハンスと婚約者となることが決定した。
実は、以前かけられた魔法が解けていないのか、婚約するならマリーがいいと思ってしまっている自分が居る。
あ、そうだ。マリーと婚約したいと言って今度こそ母上に王位継承権の放棄を認めさせよう!
そうだ、それがいい。
それじゃあさっそく行動だ!
※なお、マリーとの婚約はあっさりと認められ、結局クラウスはこの国の王となりました。
めでたしめでたし
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