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【2】無防備な純情男(21)と、容赦のない女(28) side クリフ




 街が一望できる小高い丘の上に建つ、白亜の城と城門。




 賑やかな城下には…歴史的価値も高く、貴族や観光客にも人気な歩廊式の【紅のグランバザール回廊】もあれば、教会資金で運営し、昼夜様々な店が広場や公園を中心に出店する屋台組合【導きのカンパネラ】や、食材や生活必需品を揃え、民の暮らしを直接支える【翠のファミリア市場】は城下の東西南北4ヵ所で商いをしている。



 デートは紅回廊、昼や晩飯の世話になるのがカンパ、日用品はファミ市。

 あとは欲しいものがあると専門店や工房を口コミや紹介で覗くくらいで不満なく暮らせるいい街だと思う。



 職務中でもつい城門からチラりと見下ろすのは、好きな人がいる商店街のあたり。


 そこに辿り着いたのはただの偶然で運が良かっただけ。

 毎朝っていうか…毎日会いに行って、く、口説いてるつもりなんだけど…伝わっているんだろうか…。




*****




 ある日、ヘタってきた愛用の靴をいつもの店で買い替えようと店に行ったら、オレが好きなシリーズを作っている職人が怪我で休養中、在庫なし。


 どうしたものかと困っていれば、顔馴染みの店主が腕のいい職人を紹介してくれるという。

 既製品ではないので少し値は張るかもしれないがと前置きした後、よくしてくれるよう紹介状まで書いてくれた。


 そこまでされちゃあ…行かなきゃな、と職人の工房を訪ねれば素晴らしい完成品の見本に見蕩れ、提示された値段に固まった。


 来月…いや2月は水だけで過ごすことになる。



「なんだ、気に入らないのか」

「気に入り過ぎて困ってるんです~~!」



 手触りも色味もデザイン性耐久性もドストライクなのに懐事情がそれを許さないなんて…!

 悶えながらいかにこの靴との出会いが衝撃的で人生変わりそうだと熱弁したら…



「わっ…わかったわかった!恥ずかしいからヤメロ!」


 そう言いながら店主は1枚のメモを渡してきた。

 特殊な布や皮を扱う店で、靴に使う最小限の素材を自分で買ってこいという。

 仲介業者も入らなければ、素材も無駄にならないようケチって作るからお前の給料でもどうにかなるだろ?と。



 それでも来月は飲みに行くような贅沢はできない金額だったけど1日2食にする価値はあるので有りがたくメモを受け取りやってきたのが【ペレグリヌス商店街】。



 パッと見、14から…20店舗にも満たない小さな商店街。

紅回廊の近くにこんな商店街があるなんて気付かなかった。

 なんなら紅回廊より城に近い気がする。



 ファミ市ほどの生活臭もなければ、カンパのような活気があるわけでもない。

 連なる素朴な民家を改築したような商店には紅回廊のような華やかさはない。


 異国で迷子になったらこんな気分かなと少し浮き足立ちながらメモの店舗を探し見つけた。


 看板は出ていないし扉は閉まっているけと多分ここ。

 誰かいるような気配も無い…気がする。



「ダンさんにご用ですか?」

「あ、えっと…『マテリアル・ファル』っていう店を探してて…」

「合ってますそこで。ただダンさんこの時間中央広場に逃げてるんで捕まえようにもまだ暫く帰ってこないですよ」


「…?逃げ…?」

「部下の方じゃないんです?」

「?何のことか…よく分からないんですけど…」

「じゃあ何のご用でダンさんを探しに?」


「ダンさんという方を探しに来たというより…この素材を買いに来たんですけど…」

「あら、お客さんでしたか。あ、しかもモーガン靴工房からとか珍しい」



 キラリと射るように見つめられてドキっとする。

 妹とか妹の友達くらいの女の子くらいしか普段喋ることがないから…


「ダンさん戻ってくるまでうちでお茶でもどうですか」


 こんな風に…大人の女性に誘われて返す言葉が見つからない。

 いや!でもオレもとっくに成人してるし!

 21の大人の男として…こう…エスコートとか出来ちゃうワンランク上の男になるんだ!



「あっあっあっ…てて手っ!手がぁっ…」


 思ったよりぐいぐい引っ張られてる!

 というか腕!腕組まれてる!!


「多分協力できると思うんですよね」

「ななななななな」


 何が!?

 てかくっつき過ぎじゃない!?近い近い近い!!

 なんか柔らかい!なんかいい匂い!



「ダンさんコレクターでもあるから集めるだけ集めて満足して手入れが行き届いてない素材も多いんですよ…うふっ…お兄さんの注文を機会に全部洗浄にコーティング…材料費…手数料…うふふふふ…」


 何かぶつぶつ言い出したけどココ何!?

 花屋さん!?でもかなり緑でいっぱいだけど!


「ああ、勿論お兄さんが良い靴作れるようサービスしますね」



 ?!何のサービスですかお姉さーーーん!!?

 あとオレ靴屋じゃないですー!!



「そうだ依頼書作らないとですね、お兄さんお名前は?」


 え、オレ何か依頼したっけ!?

 何かちっちゃい字で色々書いてある書類出てきたけど何でペンは胸元から出てくんの!?

 ペンがあったかいよぉ!!!!



「クククククククククククククククク」

 声もペンも震える~~~~!!!!


「『クリフォード』さんですね、…これから宜しくね?ク・リ・フっ」


 ふぁああぁっ!!!

 耳がなんかふわってした!!!ふわって!!!



 ああ!見たことも会ったことも無いけど…!

 早く帰ってきてくださいダンさぁーーん!!!




無双状態のヒロインですが、

本当は彼女に「手加減してください!」と言わせたいです。

 

なのでまた時間がある時に続き…書くかもです。

あと勝手にじれじれキュンキュンしているであろう

見守り隊のおっちゃん達が書きたい←

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