第22話 急成長
ここから第二章です。
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冒険者デビューするまでの三ヶ月間、ユーゴは超多忙な毎日を過ごしていた。ちなみに一日のスケジュールは以下の通りである。
6時 起床
土魔法と水魔法を魔力が枯渇するまで練習。
7時 朝食準備
従業員の賄いも準備する
9時 館内清掃と洗濯
11時 休憩
休憩時間に剣術の自主トレ1時間、アイラと
共に父ジョージの特訓を2時間受ける
15時 仕込み
夕食と酒場の料理の仕込みを手伝う
18時 酒場の開店
ホールと生ハム係り、厨房の補助
23時 閉店業務
0時 日によっては風呂掃除
筋トレ後に読書と魔力操作の為の瞑想
1時 就寝
休日は週に二日。魔物退治と素材の鑑定&採取をひたすら繰り返し、何も無い日はハインの店の手伝いをしながらポーションの作成。
こんな生活を三ヶ月間送っていた結果、ユーゴが冒険者登録した時のステータスは劇的に変化していた……そのステータスがこれである。
【ユーゴ・エジリ】(16)男 LV1→3ーーーーーー
錬金術師 SP0→6
-体力
体力1 NEW
疲労回復1→2
-魔力
魔力2 NEW
魔力操作0→2
土魔法1 NEW
水魔法1 NEW
-筋力
筋力1→2
-技術
剣術0→2
錬金術0→2(素材採取・鑑定を統合)
料理1 NEW
-防御力
回避0 →1
-知力
読解力0→2
-素早さ
素早さ1 NEW
-運
悪運0→2
-特殊
成長加速0 NEW
元から持っていたスキルは言うに及ばず、新たに獲得したスキルがエライことになっている。流石に体力が続かない日もあったのだが、自前の材料でポーションを作り放題だった為、強制的に復活してノルマをこなした。
魔法を習得するに当たっては、夜に瞑想をして魔力操作をする練習から始めた。そして魔力が満タンの朝イチに、魔力切れをするまでひたすら土魔法と水魔法を練習しまくった。
休日の度にハインの店に入り浸って薬品調合を教えてもらっている内に、何故か薬品調合では無く錬金術のスキルが1上がった。そして素材採取1と素材鑑定1のスキルは錬金術のスキルに統合されてしまったのだ。恐らく錬金術に必須な下位スキルは全て上位スキルに統合されるのだろう。
料理は日本での経験もあってか賄いを作り始めたらすぐ上がった。時間が惜しいので常に小走りで移動していたら、何故か素早さまで上がっていた。
悪運が上がり続けてはいるが、幸運は勝手に舞い込んでくる物。悪運は行動をし続けた者にしかついて来ない物と考え前向きに捉える事にした。
そして最も驚いたのが突如発現した成長加速だ。コレのせいでここまでステータスが急成長したのは一目瞭然であった。
このステータスのお陰で冒険者登録をする際、元Cランク冒険者の試験官を驚かせる事になったユーゴは、初めからEランクで登録する事を許されたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
正式に冒険者になって数日後、ユーゴは相変わらずこのハードなスケジュールをこなしていた。
「まだまだぁぁっっ!」
ブォォンッ
「遅いっ」
バシィッ
「痛あっっ」
昼の休憩時間は木剣でアイラといつもの稽古だ。未だにユーゴは三本中一本しか取れない。それでも先輩冒険者アイラからしてみれば屈辱である。
「ふうーっ。ユーゴはやっぱり詰めが甘いね、ちょっと上手く行くとすぐ隙だらけになるし」
「頭では解ってるんですけど、つい大振りしちゃうんですよね」
「まあそれでもD級の私から一本取るんだから、こっちとしては複雑だけどねっ!」
アイラは一月前のD級昇格試験に無事一発合格した程の実力者だ。E級の受験者四人でパーティを組んで、ダンジョンに挑むのだが合格者はアイラ一名と、かなりの難関であった。
「父さんとアイラさんのお陰ですかね」
「隙が無くなったらと思うと、ゾッとするよ」
「ありがとうございますっ!」
(このままじゃ直ぐに追い抜かれる……)
アイラは悔しさで奥歯を噛みしめた。
成人してからのユーゴは職業を戦士と名乗っている。バーテンダーという職業が無いのも勿論だが、試しに錬金術師と名乗ったら周りに厨二扱いで爆笑された為だ。
そしてそれはこの時代、既に錬金術というスキルが失われている事を意味していた。ジエリ・トマスの時代でさえレアだった錬金術はもはや伝説級のスキルとなっていたのだ。
「よーし、そろそろ切り上げるぞー。汗を流して夕食の準備だ!」
「「はいっ!」」
ジョージは二人の様子を眺めながら思っていた。
ジョージは幼い頃から剣の才能に恵まれ、二十代のうちにA級まで登り詰めた程の男だ。その為、息子であるユーゴの剣の成長に関しては、さほど驚いてはいなかった。
しかしある日の朝方、ピロティにいたユーゴを見かけて驚愕した……なんと土魔法と水魔法を練習していたのだ!エルフには魔法剣士という職業があるらしいが、人間では聞いたことが無い。
(ユーゴの奴いつの間に?やはり血は争えないか……)
そして問題なのはアイラだ。晴れてD級に合格していよいよだという時に、今一つ顔が晴れない。そう、原因は明らかにユーゴだ。
アイラにも剣の才能はある。駆け出しの頃から面倒を見ているが、地道に努力すればB級まで辿り着ける程の才だ。
だが一緒に練習している弟分が普通じゃ無さすぎる。こんなところでアイラには腐って欲しく無い。ジョージはそんな事を考えていたのだった。
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