表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケモ耳少女はファンタジーの夢を見る(仮)  作者: 空駆けるケモ耳
第1章 ケモ耳 異世界を知る
12/545

10話 それは重要な決断

 今回もアリスはかわいい。


 レスターに声をかけられた。


「どうしたの」

「大事な話がしたい」

「ご飯食べながらでもいい?」


 今、私はご飯で頭がいっぱいなんだ。

 頭じゃなくてお腹をいっぱいにしたいのに。


「…それでもいいだろう」


 レスターに少し呆れられた気がしたけど気にしないよ。


「リアとレスターはご飯決まってる?」

「私はいつものでいい」

「俺もそうするか、少し待ってくれ。他の奴らも呼んでくる」


 そう言うとレスターは他の仲間の元へ行く。

 え、他の人達も呼ぶ必要あるの?

 お礼はご飯で落ち着いたんじゃないの?


「何を食べるか決めたか?」


 リアがアリスの正面に座りながらアリスに聞く。


「えっと、パンと牛のローストとトマトスープ!」

「牛のロースト?」

「ダメ?」


 アリスが悲しそうにする。

 ダメだよそんな顔しちゃ。

 姉という存在がその顔に勝てるわけがない。

 リアが身を乗り出してアリスの頭をわしゃわしゃする。


「かわいい奴め、今回だけだぞ」


 リアの声が少し甘くなり、笑みが溢れている。


「ありがとうお姉ちゃん」

「ミオは決めたか?」


 リアがわしゃわしゃを止めると、私を見る。


「私もアリスのと一緒で、それと葡萄にするかな」

「なんだ?ミオもこうされたいのか?」


 リアがまたアリスの頭をわしゃわしゃする。

 アリスが「あぁ〜」と声を漏らしている。

 かわいい。


「私はお礼だから、そうされる筋合いはないよ」

「ふふ、冗談だ」


 わしゃわしゃを止めたリアが笑う。

 おぉ、リアはカッコいい系だなって思ってたけど、笑うとかわいい。

 姉妹揃って天使の笑顔だ。


 そうこうしてレスターと魔法使いであろう女性と同じくアーチャーであろう男が私達の席にやってくる。


「この獣人族の女の子がミオだ」

「どうも、私はミオ」

「私は魔法使いのレイナ、よろしくね」

「自分はカインです。見ての通りのアーチャーです。よろしくお願いします」


 レイナさんは私より少し年上で、優美を絵に描いたような女性だ。

 カインは割と大人しそうな人だ。


「一応言っとくか、俺は剣士だ」

「私は魔法剣士」


 レスターとリアが続く。

 レスターはメンバーを纏めるリーダーらしいカッコよさがある。

 リアもアリスと同じ金髪碧眼だけど、かわいい系のアリスと違ってカッコよくて美人だ。


「私もジョブ言う?」

「頼む」


 レスターが答える。


「私もリアと同じ魔法剣士だよ」


 そうして自己紹介を終えると、レイナさんが私の隣に、レスターが私の正面に、カインはレスターの隣に座る。

 早くご飯が食べたい。


「注文を取ってくれ!」


 レスターがそう言うと店員がやってくる。


「どうもレスターさん、注文はお決まりですか?」

「あぁ、いつものやつを4つ。ミオ達は?」

「パンと牛のローストとトマトスープを2つずつ。それと葡萄をお願い」


 代りにリアさんが答える。


「いいの頼むね〜」


 レイナさんが横腹を突いてくる。

 やめて、くすぐったいよ。


「飲み物はいかがいたしますか?」

「アリスはミルクか?」

「うん」

「ミオは紅茶か?」

「私もミルクで」


 リアに答えると、店員がオーダーを繰り返し、店員が離れていく。


「それで大事な話についてなんだが」


 そういえば普通にアリスいるけどいいのかな。

 そんなことを気にせずリアが話し続ける。


「ミオ、私達のパーティに入らない?」


 リアさんの言葉に耳を疑う。


「どうして?」

「詳しい話は俺がしよう」


 レスターが答える。


「早い話、ミオが使える回復魔法、あれは相当の価値がある。回復魔法を使える者がいるだけで受けれる依頼の幅が増える」

「いや、仮にパーティに入るにしても、私は今日ここの冒険者になったばかり、Gランクの冒険者だよ」

「だとしてもだ。ウルフを風魔法で2つに出来るんだろ?その程度の魔法の心得があるなら自衛も出来るだろう。別に前線に出てくれと言ってるわけではない。後方にいてもらって、自分のことを守りながら、誰かが怪我をした時にそいつが後退するから、その時に怪我を治してほしい」


 それがもし仕事なら、ものすごく楽だろうね。


「私がパーティに入るメリットは?」

「ミオが入れば俺たちは5人パーティになる。しかも回復魔法を使えるメンバーがいる。今、俺達はCランクなんだが、恐らくBランクの依頼を受けても問題なくこなすことが出来るだろう。そうすればミオも俺達もBランクの冒険者になれるぞ」

「Bランクってどれくらいすごいの?」

「国に表彰される」


 そんなにすごいのか。


「5人パーティになるから報酬も5等分になるが、Bランクの依頼の報酬は弾む。5人で分けても余るほどだ。どうだ?」

「ミオちゃん、入る気ない?」


 レイナさんが声をかけてくる。


「足手まといなんて思わない。もしそうだったとしても、ランクの低い依頼をこなして、ミオの実力を伸ばすようにパーティで努力する。実力についても心配しないでほしい」


 リアさんも後押ししてくる。

 もう少し考えたいな。

 どうしよう…


「…ご飯食べてからでもいい?」


 あ、ものすごい視線を感じる。


「急な話です。考える時間も必要でしょう」


 カインが助け舟を出してくれた。

 ありがとうカイン。

 君は人の気持ちが分かる人だ。


「そうだな、飯を食いながら考えてくれ」


 レスターが呆れながら答える。


 腹が減ってはなんとやら。

 お腹を膨らませて、重要な決断をするのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ