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トライ・ワールド  作者: 英心
1/5

一話  「始まり」

一話目になります


一部改行位置が違っていたので修正しました

俺の名はドロイド・ロイド。今年で50を過ぎるロートルな冒険者だ。

ランクはD。下から数えたほうが早い…つまりどうしようもないオヤジって事だ。

こんな俺にでも、一応守る家庭と家族は居る。妻のケリーと娘のダリアだ。

稼ぎの悪い俺に二人は、随分前に愛想が尽きている


…昔は良かった。妻のケリーは俺が冒険に出かける前には、しっかりと防具と

武器の手入れをし、帰りが遅い時は寝ずに待っていたものだ。

あれから20数年。今では、寝室は別で俺はリビングのソファーで寝ることが

増えた。早朝出掛ける時は、なるべく物音を立てず出掛け帰れば冷めた飯だけが

置かれている。ケリーは高鼾寝室で寝ている。

娘のダリアの最近家に余帰って来ない。風の噂で良くない連中とつるんで居ると

聞く。これも俺の稼ぎが悪いからだと妻ケリーは愚痴る。


今朝も早くから狩りに行く為、俺は町の南門へ向った。門で警護しているのは

古い知人のボブ。コイツも俺と同じくロートルな門兵。歳も一緒だ。


「よっ!ドロイド今から狩りか!?」

「あぁ。何か狩れれば良いがな」

「オケラな時も有るさ。がんばってこい。怪我だけはするだよ。

 歳を取ると怪我の治りが悪いからな」

「ああ、ありがとう。言って来るよ」

毎度の会話を交わしいつもの様に門を潜ろうとした時ボブが一言追加してきた


「そうそう。昨夜から独り若いのが帰って来てないんだ。

 見つけたら、ソイツに一声掛けてやってくれ」


「誰だ?」


「確か…エレインとか言ってたかな!?最近流れ着いたばかりの若造だ。中々の

 男前の坊主さ。見れば判る。顔に似合わずゴツイ剣を背中に背負って居る」

「クレイモアか…珍しいな」

「いやクレイモアより幅広の剣だ。本人はダンジョンで拾ったって言ってたな」

「ほぉ~それは羨ましい話だ。見つけたらお前さんが心配してたと伝えよう」


そう言って俺は門を後にする。向うはいつもの狩場『南の森』だ。



歩いて小1時間の距離にある『南の森』正式には『ガラールの森』だ。

近くに『ガラール遺跡』が在ると古い地図には記載されてるが、見つけた者は

誰も居無い。だから町の者は誰もが『南の森』としか呼んでいない森だ。


森へ向う道中、俺は回復薬を持っていない事に気付く。


「くそ!補充するのを忘れてたな…今から取りに帰ると狩の時間が減るな…」


家に戻るか迷う。今日の得物は赤鹿を考えていた。アイツ等は、獣中でも比較的

大人しい。万一コチラの攻撃が失敗しても襲い掛かるより逃げる事の方が多い

コチラが怪我をする確立は低いのだ。赤鹿の餌の時間は早く、意外と無防備だ。

家に戻ればそのチャンスを失う。迷っている所に運良く行商人と出くわした。


「すまんが回復役は持っているか?」

「はい。有りますよ。普通に効く奴が5$。無茶苦茶効く奴が15$です」

財布の中身は50$在ったが、町で買えば1つ3$だ。

「では、普通に効く奴を1つくれ」

そう言って5$払い行商人と別れた。



森に入って30分。赤鹿が今日に限って一匹も見つからない。


「おかしい。いつもの餌場には来た様子も無かったし…もう少し奥に行くか」


昨日、一昨日と手ぶらで帰った俺は、流石に3日続けて手ぶらで帰る訳に行かず

無理して森の奥まで進む。


「ふぅ~。こんな奥まで来るのは久し振りだな」


独り言を言いながら流れる汗を拭きつつ、少し段差のある所で一息つく。

段差の下。草木の陰からキラリと光る何かがあった。おや?っと思いつつ俺は

段差を駆け下り光の元を探した。すると生い茂った木々と覆い隠す様に茂った

葉っぱの先に銀の糸屑が付いていた。そして、その奥に人が入れる程の

洞窟の入り口が在る事に気付く。


「こんな所に、穴とか在ったのか!?…まさか!これが…」


この穴が遺跡の入り口か?と思いつつ、用心しながら中へ足を踏み入れる。

意外と深い。それよりも気になったのは、降りた足場が何処と無く人の手に

よって創られた階段の様にも思える。俺は用心しながら先へ進んで行く


「流石に暗いな。確か…有った有った」


背負ったバックから松明を取り出し明かりを灯す。20分ほど進むが、獣や魔物

の類には出会わなかった。入り口の生い茂った木々は奴等も遠ざけてた

のかもしれない。


「むむっ。分かれ道か…さて右か左か…どっちに進むか」


少し迷った俺は右に進路を取った。10分程進むが相変わらず何も無い。

道を誤ったかと悔いる俺。足元が土から石畳に変わっている事に今更ながら

気付く。どうやらこの道で正解だったらしい。


既に町を出て3時間は過ぎただろうか!?もう赤鹿を探しても居ないだろう。

手ぶらで帰る訳には行かない。ここが『ガラール遺跡』なら、何としてもお宝の

一つでも持ち帰らねば!その思いが俺を突き動かす。

やっとの思いで、大きな扉の前に着いた。明らかに壁や床とは、造りが違う

趣がある。此処がこの遺跡の最深部だと俺は確信した


「さて!どんな宝が眠っているか楽しみだ。やっと俺にも転機が向いたな」


そう思いながら重い扉を開ける。

更に闇が広がる大広間。それが扉の中の部屋だ俺は、用心しながら突き進む。

部屋の中ほどまで進むと、異変が起こった。重くてデカイ扉が勝手に

閉まって行く。慌ててドアの下に駆け寄るが間に合わない


「くっそ!やっちまった!まったくツイてないぜ!」


自分の愚かさを罵りながら出口を探す。だが、異変は終わっては居なかった。

大きな最深部の部屋に突如明かりが灯し始める。見渡せば、部屋はドーム状の

空間。奥の中央に祭壇が祭られていた。

『ゴゴゴゴー』と呻り音を発しながら、祭壇に設けれれた扉がゆっくりと開いた


「我を眠りから醒ますもの誰か。」


祭壇の扉から現れたのは身の丈3Mは在ろう4本腕の石像だ。慌てて物陰に

隠れる俺。だが、石像はしっかりと俺の位置を判っているらしく太い腕で

殴りに掛かってきた。


「冗談じゃ無い。コッチは何の準備もしてないんだ。戦えるか」


そう俺は赤鹿を狩りに来たのであって、こんな化け物と戦いに来た訳ではない。

武器も防具もそして道具すら準備などしていない。勝てるはずが無い。

二発、三発と石像の放つパンチを避けるものの四発目が左の脇腹にヒット


「グハッ!」

血飛沫と今朝喰った飯を一気に吐き出しながら壁に弾き飛ばされた。

立った一発のパンチで体力の大半を失った。


「マジで、冗談じゃねぇな」


そう呟きながらバックから回復薬を取り出す。


「クソ!こんな事になるなら高い薬を買っとけば良かった!」


今朝行商から買った安い回復薬では、失った体力の半分も回復できない。

焦りながらも逃げ惑い、逃げ道を探す。幸い石像の動きは遅い。

パンチもしっかり見定めれば、避けれるだろう。


俺は繰り出されるパンチを避けながら、必死に出口を探す。入ってきた扉。

それっぽい彫刻がされた壁。だが、何処にも出口らしき物は無かった。


「…アレだ!アソコなら!」


祭壇の上に俺の視線が留まった。そこは石像が出てきた扉である。今しっかりと

開いた扉の奥に逃げ込めば、もしかしたら助かるかもしれない。

一抹の望みに掛け、俺は命いっぱいの力で走った。

石像も俺が祭壇の扉に駆け込もうとするとは思わなかったのだろう。

出だしが遅れる。お蔭で俺は奴よりも一歩も二歩も前を進めた。そして祭壇まで

駆け寄り一気によじ登る。…そこで俺は凍り付いてしまったのだ。


「若い男で二枚目な…背中には幅広な大剣…お前なのか…坊主」


必死に駆け寄って登った先には、門兵のボブが言っていた坊主が横絶えていた。

俺より若く、俺より運があって、俺より未来がある坊主が…

そう思った瞬間ドスン!ドスン!と足音を立てていた石像が、直ぐ後ろまで

迫っている。俺は慌てて振り向き奴の繰り出すパンチを避けようと構えるが、

奴の攻撃が一足早かった。

ものの見事に奴の右パンチを喰らい、飛ばされ、壁に跳ね返って坊主の亡骸の

上に重なるように圧し掛かる。


「く、クソ…坊主悪りぃな、お前の仇も取れなかったぜぇ…

 ケリー、ダリア…達者に暮らせよ…」


俺は意識が薄れていくのを黙って受け入れて…いく




一話  「始まり」  完

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