第一章:二年後の世界
あれから二年後。一樹らは高校二年生で楓らは高校
一年生になる。このころのヒップアタック文化は
日本全体に広まり部活として出来ているところも
あった。雰囲気はいい方向に進んでる……。表面上
はーーー。実際は強豪校のヒップ部に入って幽霊
部員化。成績だけ上げて強いやつにすがるだけに
なっているところが多い。さらに、顧問がいな
いためそれを判断する人もいない。次は今の秩序を
見ていこう。まず正式にヒップアタックバトルを
していいのは中学一年生から大学一年生の年齢まで
と定められた。さらに高校・大学生の年齢になると
身体の成長が進み、打撃力こそ正義という『ロマン
第一主義』が生まれた。それによって勇斗・楓・碧
といった列強が波にのまれていった。もちろん、
一樹も例外ではない。今生き残っているのは辻兄弟
・大河・陸とギリギリ楓である。楓に至っては強い
といえば強いが、大河とのタッグで名を馳せている
ところがある。今の『最強』の肩書きは辻蓮だ。
もちろん辻翔とのタッグも多大な評価をされてい
る。二人の二つ名は《寒月のツインズ》だ。さらに
道具を使った特殊なヤツも高校・大学生の年齢では
いなくなってきており、小柄なやつは活躍できない
という印象が強まっている。碧・一樹はもうあまり
ヒップアタックバトルをしていない。勇斗に関して
は完全にヒップアタック界を離れている。
何もかもが新しかった。高校の生活。ヒップアタッ
ク文化の変化。そして………下ネターーー。
「楓!風俗で童ティーがセックスしても童ティー卒
業じゃなくて素人童ティー卒業になるんだって」
チビ仲間で入学早々仲良しになった友達がそう言
ってくる。
「へ〜」
「なんで楓は冷たいんだよ〜あとはあとは………」
そんな話を昼休み中聞かされた。
「あ、そういえば部活はどこに入るんだ?」
「尻闘同好会に入ろうと思って
いるんだ」
「なんか面白そうな名前。俺もそれにしーーー」
「やめろ」
「か、かえで?」
「あそこは素人の入っていい場所じゃない絶対に
やめておけ」
「つまり……素人童ティーーー」
「だまらっしゃい」
「いてっ」
放課後。廊下の曲がり角で先輩と思わしき人物と
ぶつかった。
「お前は一年か!名前なんて言うんや!」
「渡辺 楓です」
「楓………?どこかで聞いたことあるな
まぁいいや。今回は許してやる」
なんか変な人に絡まれたなと思いつつ部 同好会に
入る人は放課後に部室にいけと先生に言われたのを
思い出す。
「やば、急がなきゃ」
「尻闘同好会………ここか 失礼します」
「おぉ、よくきーー」
そこにいたのはさっきぶつかってしまった先輩だ
った。
「楓ってそういえば先生から新入会員がくるって
言われてた人か」
「よろしくお願いします」
「まずは自己紹介からだな。俺は木村 流星だ。
高校二年生。よろしく」
「僕の名前は渡辺 楓です。よろしくおねがしま
す。そういえば他の会員はどこにいるんです
か?」
「あぁ、他に三年生が二人いるんだが………」
「幽霊部員化ーーですか?」
「まぁ、そのおかげで尻闘同好会が解体されずに
済んでいるんだけどなハハハ」
「てことは会員は実質二人ってことですか?」
「そうだよ(便乗)」
「…………」
「なんでそんな嫌そうな顔するんだよまぁ、まずは
どのくらい強いか見てやろうついてこい」
そう言われてついていくとなにやらそれっぽい場所
についた。ここが正式なバトルフィールドだそう。
「さぁこれが楓にとって高校生活最初のバトルだな
かかってこい」
「ドンッ」
開始直後。地面を思いっきり蹴る。まずは腹にヒッ
プアタックをする。クソっ腕で防がれた。そう簡単
ではないかーーー。じゃあ回り込んで背中に
「一撃!」
軽く、無理やりだが一撃打った。しかし相手の体勢
を崩すには十分だ。飛べ、楓、あの時のように。
中学・高校とはまた違う身長と体格に合わせ、相手
の顔面付近まで飛ぶ。
「甘いな」
「なっ⁉︎」
確実に当たったと思った尻は見事にかわされ空を
切り、空中にいて無防備だったため大きな一撃を
喰らった。
ーーーあれを使うしかない。
楓には特殊能力がある。それは未来予測だ。それは
未来予知などというファンタジーなものとは違い、
極めて現実的な計算の結果である。状況、相手の
体格、癖、視線意識、心の中までも楓は瞬時に読み
取る。そして、それらを頭の中で掛け合わせシュミ
レーションすることで先の未来を予測していた。
ある種、物理演算と似たものがある。
やつの目つきが変わった。獲物を見るような鋭い
視線。もう一撃喰らわしてやろう。そう思って攻撃
を仕掛けた刹那。今度はこっちがかわされる形に。
面白い。さらに体勢を崩し、顔面に一撃喰らった。
しかしどうと言うことはない。新入生で小柄。それ
ゆえにあまりダメージはなかった。十分に反撃でき
る。そう判断し楓の腹に大きな一撃を喰らわせた。
「今日はここまでだ」
「いや……まだやれーー」
「ダメだ。お前はまだ弱い」
その言葉を言われたとき、無力感を感じた。かつて
『最強』だった自分が高校生を相手にした瞬間、
歯が立たなくなる。そんな現実を受け止めたくは
なかった。
「まぁ、とは言ったものの新入生としては十分に
強いといえる」
「師匠!木村師匠!」
「おぉ、なんだ?どうした?」
「木村師匠。僕を秋までの半年間の間で。ロマン第
一主義者にも対抗できるように育ててください」
「木村………師匠………。カッケーな!いいぞ楓!
お前を育ててやる。よし!まず、いままでで戦っ
た中で一番強いやつは誰だった?」
「中田 勇斗さんです」
「え、あの?」
「あの勇斗さんです。負けましたけどね」
「いや、すげーよ。で、敗因は自分でなんだったと
思う?」
「負けたときに勇斗さんが言ってたんですけど自分
の体以上に動かせてしまうことだそうです。後は
体力の消費量がバカ多いのに対して短期決戦が
できないことです」
「なるほどな確かにそう言われればこの体格であの
運動量はキツイわな」
「………」
「よし。今からこの学校内最強と戦ってもらおう」
「え?」
「どうした?変なことでもいったか?」
「いや、同好会に入ってないんだなってとこと学校
で一番強いのが木村師匠じゃないかって」
「残念か?」
「いや。僕はまだまだ学校内でも弱い方なんだなっ
と思っただけで別に」
「そうか、それならいいや」
薄暗い部室。散らかった地面。そして………
変な先輩ーーー。
「相手は学校内最強であり、俺の同級生。橘 伊織
だ」
「二年生なんですね」
「あぁそうだ。ご察しの通りあいつはとにかくがた
いがでかい。負けるかもしれない。いや負ける。
けど戦い。そして、学んでこい」
「わかりました」
〜数日後〜
「こいつがお前と是非とも戦いたいと言っていた
やつだ。よろしくやってくれ」
「ずいぶんと小柄だな。お前は俺の相手になるの
か?」
「はい!」
「少なくとも戦ってて面白いやつではあるぜ」
「では今日の放課後。尻闘同好会のバトルフィー
ルドでまた会おう」
「遅かったな」
「すいません。(集合時間の10分前だぞ)」
「じゃあ、後は頑張れよ楓」
「はい」
「では早速。始めようかーーー」
「パンッ」
木村師匠が開始の合図として手を叩く。その刹那、
橘さんが一気に距離を詰めてきた。慌てて避けよう
とするも腕に当たる。しょうがない。つぎはこっち
の番だ!地面を蹴り上げ相手の横腹に攻撃。しかし
上手くいかず向かい撃たれ、体格差故に吹き飛ばさ
れる。強い。まだ戦い始めてから少ししかたって
いなのにそう思わせるものがある。だが、なんとか
攻撃される前に体勢を整えれた。また、攻撃がくる
ーー。かなり大振り。これはかわせる。よし!ここ
からうまく回り込んで………背中に一発!さらに
足に一発!これで動きが鈍くなったはずだ………。
次に狙うはがんめーーー。
「まだまだだな」
次の瞬間。確実にひるんだと思っていた橘さんが
攻撃を仕掛けてきた。
「お前はまだ経験が浅い。中学とは違うのだ」
体力の消耗は仕方ないとして未来予測を使うか。
さっきの攻撃で吹き飛ばされたがまだやれる。未来
予測は相手と戦えば戦うほど有利になる。木村師匠
と戦ったときは途中で止められたが今は違う。この
短時間で癖、パターン、意識は大まか読み取れる
ようになった。問題はここからどれだけ短い時間で
大きなダメージを多く与えられるかだ。それに最適
かつ得意とする技。一気に相手との距離を詰め、
踏み込み、地面を蹴り上げる。もう一度顔面撃ち
だーー。今度はできる。腕でガードされそうになる
も、すでにその未来は見据えている。腕を軽く掴み
体を回転。ガードの90度横から撃つ‼︎
「ガンッ」
よし、決まった!ここから畳み掛ける。足、腹に
一回ずつ攻撃。相手の体勢を崩す。そして、もう
一度……。くそ!軽くだが一撃もらってしまった。
体勢をたてなおさなーーーー。
「リミッター解除‼︎」
橘 伊織。彼は前半戦で体力を残しておく状態に
ある。しかし、致命的なダメージもしくは長期戦に
なりそうなときは自分自身の全力を出す。今回の
場合は後者だ。
「ここからは本気を出さしてもらうぜ楓」
「望むところです」
体勢がわるいが故に大きな一撃を喰らってしまう。
体勢を整えようにも整えれないできたとしても次の
一手が襲ってくる。いままでとは全く違うタイプの
敵。未来予測があまり機能しない!くそ!また一発
一発と喰らってしまう。一度避けーーー。しかし、
無理に動かそうとしたからか防御が薄くなり、僕の
体は宙を舞った。ゆっくりと放物線を描いていた
そのとき………
「『ロマン砲=空弾銃』‼︎」
「!?」
「ドガンッ」
そう橘さんが言った刹那。体に凄まじいほどの激痛
が走る。
「ほう、まだ意識があるか」
「バタンッ」
「しかし、もうダメなようだな」
遠ざかっていく意識の境であったのは………地面の
熱と敗北の痛みだったーーーー。
ご愛読ありがとうございました




