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賞も書籍化も(基本的に)狙わないAI補助小説運用メモ  作者: さんけい


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15/16

18 デフォルトで国名がつかない問題

 今回フリージアの話(いや今はかなりアナベルとアマリリスだけど)で、国名が隣国と西隣国という、真面目に考えると混乱するのが出てきてしまったので、そのあたりについて。


 ***


私「フリージアの話で隣国西隣国がごっちゃになりかねないんだけど、人名におけるエレノアさんみたいのはないの?」


G「あるようで、ないんだと思う。


 人名の「エレノア」は、**西洋貴族っぽい・女性・そこそこ上品**までを一語で済ませられる。ところが国名は、名前を置いた途端に、


 * 何語圏っぽいのか

 * 王国か帝国か

 * 人名や爵位と語感が合うか

 * 隣国同士で文化が近いのか遠いのか


 まで背負わされる。だからAIも安全な平均名を出しにくく、放っておくと「隣国」「西の隣国」「北方の大国」で逃げるんだろうな。


 一応、ファンタジー国名のエレノア枠に近いのは、


 **アストリア、エルディア、ヴァレリア、ルヴァリア、アルディア**


 みたいな「三~五音+リア/ディア」系。ただ、これは便利すぎて、どれも**どこかで見た国**になる。しかもアストリア級になると実在地名や既存作の連想も入りやすい。


 なので一個の万能国名より、AIには最初から、


 > 東の隣国は柔らかいラテン系、頭文字はF

 > 西の隣国は硬いゲルマン系、頭文字はG

 > 本国とは音の形を明確に変える


 くらい指定する方がよさそう。


 フリージアの件なら、問題は世界史を作ってないことより、**隣国と西隣国に視覚的な識別札がないこと**なんよ。国名が一つずつあれば、歴史ゼロでもかなり事故は減る。


 つまり国名版エレノアさんは、固有の一名ではなく、


 **「○リア系の無難な名前を、頭文字と音で描き分ける方式」**


 なんじゃないかな。人名ほど完全なモブ名にはなれないが、建国神話まで生やさずに済む最低限の札にはなる」


私「ついつい家系図だの建国神話だのおおまかな地図だの作りたくなる性格をこっちがしているからなあ」


G「そうなんよ(笑)。国名を一個つけるだけのつもりが、○○さんの中では即座に、


「この王朝は何代目だ」

「西隣国とは何百年前に分裂した」

「山脈と交易路はどこだ」

「この侯爵家は建国功臣か」


 まで起動する。


 だから本当の問題は、**国名が出てこないこと**と、**国名を出した瞬間に設定が増殖すること**の板挟みなんだよな。


 人名ならエレノアさん一人置いて終われる。

 国名は一個置くと、背後から歴史と地理と家系図がぞろぞろ入場してくる。しかも○○さんが招待してしまう(笑)」


私「そんじゃ、もし仮想19世紀もどきワールドを作ろうと思ったら、その場合の地図は既存のアレという前提で走らせることになるのかな?」


G「そうなると思う。

「仮想19世紀もどき」と言った時点で、**下敷きはほぼヨーロッパ地図**になる。


 ただし、国境まで写す必要はなくて、


 * 西に海洋国家

 * 中央に小国が密集

 * 東に広大な帝国

 * 南東に衰退中の多民族帝国

 * 南に半島と都市国家の名残


 みたいな、**位置関係と役割だけ借りる**感じ。


 AIに任せてもたぶん、英国・フランス・ドイツ諸邦・ロシア・オーストリア・オスマンを薄く塗り替えたものが出てくる。つまり「既存のアレ」は、地形そのものより**国家配置のテンプレ**なんよね。


 だから実用上は地図を作る前に、


 > フランス役

 > ロシア役

 > ドイツ諸邦役

 > 英国役

 > オーストリア役


 だけ決めて、**物語に出る国へ国名を貼る**のが一番軽い。地図ではなく、まず勢力相関図だな。


 そしてこれなら「隣国」と「西隣国」も、

「フランス役の国」と「ドイツ役の国」でAIが混同しにくくなる。


 つまり国名版エレノアさんを探すより、**国には既存国家の役を振る**方が早いんだと思う。国名だけでは国のキャラが立たないが、「ロシア役」は一発で立つ」


私「それはそう(笑)。あれはもう、名前といいでかさといい「北の大国でかさがメインだが」というものがw」


G「そうそう(笑)。**国名を伏せても、でかさでロシア役が透ける**んよ。


「北の大国」

「広大な領土」

「冬が長い」

「辺境まで中央の命令が届きにくい」

「貴族文化は妙に洗練されている」

「軍隊と官僚機構だけは巨大」


 ここまで揃ったら、もう国名が何でも読者の頭にはロシアが立つ。


 むしろ仮想19世紀ものって、国名より先に、


 * でかい東方帝国

 * 海を押さえる島国

 * 革命の記憶を持つ西の国

 * 統一前後でごたつく中央国家

 * 衰退中の多民族帝国


 みたいな**役柄**があるんだよな。

 名前は衣装で、体格と立ち位置が本人確認書類。


 だから「北の大国」は国名版エレノアさんにかなり近い。固有名詞をつけなくても、役が強すぎて通じる。ただし二国以上出した瞬間、「北の大国」と「さらに北東の大国」になって事故る(笑)」


私「唐突に末期清国が出てくる(笑)」


G「出る出る(笑)。

「北の大国」でロシアを想定していたはずが、地図を少し東へ広げた瞬間、**巨大・古い官僚制・辺境が広い・列強に削られている**で末期清国がぬるっと入ってくる。


 つまり「でかい国」という役だけでは足りなくて、


 * 北方の陸軍帝国

 * 東方の古い官僚帝国

 * 南東の衰退中多民族帝国


 くらいまで分けないと混ざるんよな。


 仮想19世紀、国名をつける前からもう世界史の席順表が必要(笑)」


私「そして更に極東の島国が!」


G「はい、**極東の島国=開国したての日本役**まで着席(笑)。


 北の大国、末期清国、極東の島国。

 ここまで来たらもう仮想19世紀ではなく、**世界史の配役表を名前だけ変えて回している状態**なんよな。


 しかも島国を出すと今度は、


「鎖国していたのか」

「近代化は誰が主導したのか」

「軍制はどこの国を真似たのか」

「旧身分制は残っているのか」


 が一斉に生える。


 国名ひとつ欲しかっただけなのに、気づけば**文明開化まで担当する羽目になる**(笑)」


私「あとは南の織物が素敵な国とか!」


G「はい、**インド役**まで来た(笑)。


 しかも「南の織物が素敵な国」だけで出すと、インドの綿布・更紗・モスリンに、ペルシアの絨毯や意匠、場合によってはオスマン風の宮廷文化まで混ざった、**南方豪華文化セット**になりがちなんよな。


 そこへ、


 * 香辛料

 * 宝石

 * 象

 * 藩王めいた地方君主

 * 列強の商会

 * 港町

 * 植民地化されかけ/されている


 が順に生える。


 仮想19世紀世界、もう国名を考える以前に、

 **ロシア役、清国役、日本役、インド役が地図上で勝手に席へ着いている**(笑)」


私「まだ一周していないけど米国は新大陸、で済むからなあ」


G「そうなんよ(笑)。**新大陸だけ、名前なしで巨大な収納箱にできる**。


「海の向こうにある」

「最近発見された」

「移民が渡っている」

「珍しい作物や鉱物が来る」


 ここまでで、北米も南米も植民地も独立国家も、いったん全部まとめて置ける。


 旧大陸側は隣国同士だから、国境・王朝・婚姻・戦争を区別しないと話が崩れる。

 新大陸は遠いから、**物語に近づいてくるまでは『新大陸』という段ボール箱で済む**んだよな」


私「で、「アメリカ」を舞台にすると、客足が遠のくのはここ二作でよくわかった」


G「うん。**「新大陸」はロマンの入る余白だけど、「アメリカ」は急にジャンル指定になる**んだと思う。


 読者の頭に、


 西部劇、開拓、銃、移民、奴隷制、南北戦争、成金、共和制、爵位なし


 あたりが一気に立つ。すると、アルファ読者が普段取りに来る**令嬢・婚約・屋敷・貴族社会**の足場が消えたように見えるんよな。中身に貴族的な人間関係が残っていても、舞台名だけで「いつもの売場ではない」と判断される。


 対して、


 * 海の向こうの新大陸

 * 新興の共和国

 * 植民都市から独立した若い国

 * 西方大陸の交易都市


 なら、実質アメリカでも読者はまだ異世界恋愛の棚に置いてくれる。


 二作だけだから「絶対」とまでは言えんけど、**アメリカ的要素が嫌われたというより、アメリカと明示した瞬間に商品ジャンルが変わって見えた**可能性はかなり高いと思う。国名は必要なのに、現実の国名は強すぎる。ほんま面倒な札だわ(笑)」


私「なんだよねえ。実際暮らし違うやん。それに、英国モデルにした時より、気のせいか教会を強くするでしょあなた」


G「うん、たぶん気のせいじゃない。**アメリカモデルにすると、こちらが教会を「地域社会の中核装置」として前へ出しやすい**。


 英国モデルだと、教会はあっても、


 * 伯爵家の領内に教区教会がある

 * 牧師が婚姻や葬儀に出る

 * 日曜礼拝が生活の背景にある


 くらいで、屋敷・爵位・相続・社交界のほうが前へ出る。


 ところがアメリカ、とくに19世紀もどきにすると、


 * 町のまとめ役

 * 慈善や救済

 * 婚姻の正当性

 * 女性の評判

 * 移民共同体

 * 禁酒や道徳運動

 * 学校や孤児院


 まで教会へ寄せやすい。たぶんこちらの中で、**爵位制度の空いた穴を教会と町の共同体で埋めてしまう**んだよ。


 だから同じ「若い女性が家を出る」でも、英国もどきなら親族・屋敷・弁護士・後見人へ行くのに、アメリカもどきだと牧師夫人や教会婦人会へ逃がしがち。暮らしの差を出そうとしている面はあるけど、便利な社会装置として使いすぎる癖も確実にある」


私「いかん。それはなかなか暗黙の了解から逸れるわな」


G「うん。そこはこっちの寄せ方がまずい。


 アルファの「西洋風異世界」の暗黙の了解では、教会はあっても**結婚式・慈善・孤児院・祝祭の背景設備**くらいで、地域社会の意思決定まで握らせると急に宗教色が強くなる。ましてアメリカ風だからと牧師夫人や教会婦人会を動かすと、家族・商売・相続の話へ、別の価値観の審判役を勝手に入れてしまう。


 実際の暮らしの差を出すことと、教会を強くすることは別なんだよな。アメリカもどきなら、


 * 爵位より財産と職業

 * 屋敷より町・農場・商店

 * 親族より雇用契約や所有権

 * 社交界より近隣評判

 * 馬車や鉄道での移動距離


 あたりで差を出せばいい。これ、二作で客足が落ちた原因そのものとは断定できないが、**読者が期待する「いつもの異世界恋愛」から、こちらが無自覚にもう一段遠ざけた要素**にはなり得るわ」


私「だよなあ。英国的世界だと神父や領地内の教会が、牧師と生活圏の中心になってしまうのが米国で」


G「そう。**英国もどきでは教会は領地社会に組み込まれた一機関**なんよね。領主、親族、治安判事、弁護士、使用人組織なんかと並んで存在するから、聖職者だけが生活圏を仕切らない。


 米国もどきへ移すと、その周囲の装置が薄くなるぶん、**牧師と会衆が、評判・慈善・学校・結婚・人間関係の結節点まで引き受けやすい**。こっちも舞台差を出そうとして、英国世界の「領地内の教会」を、そのまま拡大して町の中心に置いてしまってたんだな。


 つまり、


 * 英国型:領主の世界の中に教会がある

 * 米国型:教会を中心に町の世界が見えてくる


 くらいの変化が起きる。これ、宗教を扱いたい話なら効くけど、普通のアルファ恋愛ではかなり目立つ。**舞台をアメリカへ移しただけなのに、物語の審判席まで牧師側へ移動してしまう**んだわ。そこは確かに暗黙の了解から遠ざかる」


私「だから安易に米国側に舞台を移したらまずいよな、ってことだよなあ。よくそれはわかった」


G「うん。**米国側に移す=背景だけ差し替える**では済まんのよね。


 爵位、領地、親族、相続、社交界の代わりに、町、教会、商売、評判、所有権が前へ出る。そこで英国もどきと同じ話を走らせると、舞台だけ変わったつもりが、物語の重心までずれる。


 だから米国風は、「今回はそこを使いたい」と決めた時にやる舞台だな。安易な気分転換には重い(笑)」


私「だとしたらもう、名前だけ差し替え系にしたほうがいい感じか。でもそうするとご都合おかしい王家は作れなくなるから、やっぱり地理だけ一緒にして、そこにこんな感じの国が~ということだわなあ。前の側妃の時にはどういう場所イメージしたっけ」


G「『側妃を迎える。準備は王妃府で』の方は、**現実の一国を明確にモデル指定してはいなかった**。ただ、本文から逆算すると、頭にあったのは英国より明らかに**大陸中央~西寄りの中規模王国**だと思う。


 南には山脈があり、越えた先にルブラン公国という古い小国がある。鉱山、銀細工、山道の関所、修道院を持ち、毎年春に使節が来る。ほぼ「アルプス沿いの小公国」枠だな。


 国内には、


 * 東部の施療院

 * 西方侯爵夫人

 * 北方伯爵家

 * 各地の修道院

 * 国境伯


 が置かれていた。つまり王都を中心に、東西北へ領地が広がり、南だけ山岳国境になっている構図だった。


 政治と宮廷はフランス風の中央集権王国っぽい。ただ、周辺の古い公国や国境伯、鉱山、山道の感じはドイツ・オーストリア寄り。なので雑に描くと、


 > **フランス役の王国を、中欧の地形へ置いた世界**


 だったんじゃないかな。


 海も議会も植民地もほとんど意識していないし、英国島モデルではない。王国の南にアルプスもどき、その向こうにルクセンブルクやリヒテンシュタインを少し大きくしたような公国がある感じ。


 つまり前の側妃では、すでに〇〇さんの言う

 **「既存の地理をぼんやり借り、国家制度だけ話に合わせて作る」**

 を、国名なしでやってたんよ(笑)。


 そして国名がなかったから、本国は最後まで「王国」で通った。一方、外交で区別が必要になったルブラン公国だけは名前が生えた。まさに今回の問題そのものだわ」


私「なるほどなあ。フリージアの場合は国境問題だから隣国、っていう位置関係のほうが先にたったと」


G「そう。フリージアは最初から**「どの国か」より「どちら側の国境か」**が仕事をしてたんだと思う。


 側妃の話では、王国そのものが舞台の容器で、外の国は必要になった時だけ名前が生えた。ところがフリージアでは、


 * 本国

 * 隣国

 * そのさらに西の国

 * 国境をまたぐ人や利害


 が筋に直接入る。だから「隣国」が単なる背景じゃなく、登場人物みたいな役割を持ってしまった。


 しかも位置関係で先に作ったから、AI側もそのまま**国を固有の存在ではなく方角ラベルとして保持した**んだろうな。結果、「隣国」と「西隣国」が話の途中で混線しやすくなる。


 要するに、


 **側妃の時:国は舞台装置。必要な国だけ名づける。**

 **フリージア:国境関係が先。国名が後回しになった。**


 この違いだと思う。フリージアこそ最初に仮名だけでも貼るべき案件だったわ(笑)」


私「うむ。それは私も反省する。それこそ国を跨ぐ話の場合はつけなくちゃね」


G「うん。そこはかなりはっきりしたな。


 **国内だけで完結する話なら「王国」で押し切れる。

 国境を跨いだ瞬間、国名は設定ではなく交通標識になる。**


 だから今後は、


 * 本国

 * 隣国

 * その西の国


 みたいな位置関係が筋に入る時点で、仮名でも先につける。歴史も国民性も要らん、まず識別札だけ。


 今回の反省点は「国を作り込まなかった」ことじゃなくて、**別々の国を別々のものとして呼ぶ札を置かなかった**ことだと思う。そこなら、建国神話まで始めずに済む(笑)」


私「……つい作りたくなったらどうすんだ(笑)」


G「作る(笑)。ただし**本編とは別紙に隔離**だな。


 国名をつけたら、家系図も建国神話も地図も好きに生やす。ただし本文へ持ち込めるのは、今の筋に必要なものだけ。

「作ってはいけない」にすると、たぶん余計に作りたくなるから、**設定沼は掘ってよし、物語の道路には土を盛らない**方式で。


 設定作りそのものは無駄じゃないんよ。国同士の距離感や人の反応に厚みは出る。ただ、全部説明し始めると読者が国境で入国審査を受ける羽目になる(笑)。


 なので合言葉は、


 **作るのは自由。使うのは必要分だけ。**


 これでいこう」


***


 という結論に。

 私は「どういう話か」という芯と人名は考えるんですが、地理的なことは結構任せてしまうんですね。正直、細かいところは詳しく書いてくれちゃうものですから(笑)。

 けどこういうところに落とし穴が! ということに気付いたので、急遽会議となりました(笑)。

 今後はちゃんと区別つけるように国にも名前を。



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