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第十話 最後の臨時列車

※本作品はフィクションです。


登場する人物・団体・企業・鉄道・駅名・路線・車両などはすべて架空のものであり、実在するものとは一切関係ありません。


舞川駅では、帰宅する利用者の波も少しずつ落ち着きを見せ始めていた。


『司令長、舞川駅ホーム混雑率三十五パーセントまで低下しました。』


担当司令員の報告が司令室に響く。


モニターには、舞川駅のホームや改札の様子が映し出されていた。


先ほどまで大勢の利用者で埋め尽くされていたホームにも、少しずつ余裕が戻り始めている。


『入場規制もまもなく解除できそうです。』


『了解しました。駅の状況を確認しながら判断してください。』


『了解。』


その時、新たな報告が入る。


『司令長、回9509M、舞川駅到着しました。』


『引き上げ線へ収容します。』


『了解。』


モニターには、回送列車が静かに引き上げ線へ向かう様子が映し出される。


司令長は静かにうなずいた。


『これで車両の準備は整いましたね。』


『はい。本日最後の臨時列車を運転できます。』


『わかりました。最後まで安全第一でお願いします。』


『了解。』


一方、舞川駅。


『まもなく三番線から京橋方面行き臨時列車が発車します。ご乗車のお客様は黄色い線の内側でお待ちください。』


駅係員の案内がホームへ響く。


利用者は整然と列を作り、最後の臨時列車へ乗り込んでいく。


『司令長、乗車完了しました。』


『ドア閉めます。』


『発車してください。』


『了解。』


発車ベルが鳴り響く。


ゆっくりとドアが閉まり、最後の臨時列車は舞川駅をあとにした。


ホームでは駅係員が走り去る列車を見送り、深く一礼する。


司令室では、その様子を映したモニターを静かに見つめていた。


『司令長、舞川駅ホーム混雑率十五パーセント。』


『改札内利用者もまもなくゼロになります。』


『臨時列車全列車、運転終了予定です。』


司令長はゆっくりとうなずく。


『各駅の状況は。』


『舞洲本線、空港線ともに大きな混乱はありません。』


『遅れもほぼ解消しています。』


その報告を聞いた司令長は、小さく息をついた。


『皆さん、本当にお疲れさまでした。』


司令室の全員が司令長へ視線を向ける。


『多くのお客様にご利用いただきましたが、大きな事故やトラブルもなく、一日を終えることができました。』


『これは司令室だけではありません。駅係員、乗務員、車両センター、多くの社員が力を合わせた結果です。』


司令室には静かな拍手が広がった。


その頃、舞川駅。


屋台の明かりも少しずつ消え始め、賑わっていた駅前は静かな夜へと戻っていく。


引き上げ線では役目を終えた臨時列車がゆっくりと回送列車となり、車両センターへ向けて走り出した。


司令長は窓の外を見つめる。


遠くには、花火の煙がまだわずかに夜空へ残っていた。


『今年も無事に終わりましたね。』


隣に立つベテラン司令員が笑顔で答える。


『はい。また来年も忙しくなりますね。』


司令長も静かに笑った。


『その時も、皆さんと一緒に、安全第一で臨みましょう。』


静かな夏の夜。


舞洲鉄道の長い一日は、こうして幕を閉じた。


第十話を読んでいただき、ありがとうございました。


今回で舞洲花火大会編は一区切りとなります。


花火大会という楽しいイベントの裏側では、司令室や駅係員、乗務員、車両センターなど、多くの人たちが安全な輸送を支えています。


今回は、回送列車や引き上げ線を活用しながら最後のお客様まで安全にお送りする様子を描いてみました。


次回からは新しいエピソードが始まります。


これからも舞洲鉄道の運転司令室では、さまざまな出来事が待っていますので、ぜひ引き続きお楽しみいただけるとうれしいです。


ここまで舞洲花火大会編を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。


次回、第十一話もよろしくお願いします。

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