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『勇者の家庭教師』の正体を、教え子だけが知っている~俺は決して冒険者ランク1位†邪ナル雷光†ではございません!  作者: あまうい白一


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6/6

教え子から見た男


 カナタと呼ばれた男が放った言葉に対し、レンは内心、苛立ちを感じた。

 

 ……なんだ、この人は。

 

 まずそう思った。


 訓練用なので刃引きしてあるとはいえ、自分が持つのは鉄の塊だ。なのに、木剣で打ち合えるとは、自分をなめているのだろうか、と。

 

 ……あるいはそれも分からないくらい実践慣れしてないか、だけども。


 新たな家庭教師と言われた男の顔を見る。

 気の抜けた顔をしているというか、覇気というものが感じられない人だとは思っていたけれども。

 

 ……また、私が追い返さなければ、教育の質が落ちてしまう……。


 それだけは避けねばならない。

 

 自分は強くなるためにここに居るのだから。強くなるための道が遠ざかるのであれば、全力でその要因を消さねばならない。

 

 自分を育ててくれているセレネや、同門のティリアには探す手間を増やして申し訳ないとは思うが、たとえ嫌われても、面倒な子だと思われてでも、やるべき事だとレンは思っている。

 

 今回も同じだ、とレンは剣をぎゅっと握る。


「では、お二人とも、こちらにどうぞ」


 ティリアに案内される形で、中庭の中央に、自分とカナタが立つ。


 一足一刀の間合いだ。


 早ければ初撃でケリがつく、素晴らしい距離だ。

 

 ……自分の剣は、風の魔法による剣術。最初に打つのは、抜刀居合……。


 もとより風の魔法を得意とする自分が生み出したのは、鞘の中に爆発的な風を生み出しての高速抜き打ちだ。


 ランキング100位程度の冒険者でも、反応できない剣速を誇る。


 今回もそれを撃てば、目の前の、覇気のない男は吹っ飛んで昏倒するだろう。

 

 だが、変に無理をして教えられるより、そっちの方がお互いにとっていい。そう思っていると、 


「それでは、いいですか」


 ティリアが手を挙げた。勝負の合図が来る。


「はじ……」


 はじめ、の声と共に柄を握り、抜刀しようとした。が、

 

「あ、ちょっとまった」


 そんな声が水を差した。

 カナタの声だ。 

 

 ……なんだ、もう……!

 

 と憤慨しようとして、気づいた。

 

 カナタの木剣抜き放たれていて、自分の剣の柄を抑える形で止めているのに。


「!?」


 驚きのあまり身が固まった。


 ……いつのまに……!?


 これではこちらは剣は抜くことすら出来ない。

 

 ……それどころか、やろうと思えば、腕を切り落とされていた、ということ……。


「ど、どうかされましたか、カナタさん」


「その、レンさん? 君の靴ひもの結び目が取れかけているから。そのまま踏み込むと危ないよ」


 言われ、目線を落として気付いた。

 自分の靴ひもが、確かに緩んでいる。


「あ……」


 木人への打ち込みを激しくやっていく中で緩んだのだろう。


 目の前の相手を叩くのに夢中になりすぎて、おろそかになっていた。


「あ、ありがとうございます。今、直します」


 靴ひもを結びながら思う。


 ……私が抜き放つ前に抑えた……どうやったの!?

  

 こちらは予備動作を見せていない筈なのに。

 警戒していたはずなのに。


 実践だったら、斬られていたということに加えて、理解できない動きだった。


 まぐれなのだろうか? いや、まぐれだとしても、確かめねばならない。

 

 レンの目的は、「追い出し」というものから、変わりつつあった。

【お読み頂いた御礼とお願い】


 本作品をここまでお読み頂き、有り難うございます。

「この先が気になる!」

「†雷光†(略)の続きが読みたい!」


 少しでもそう思って頂けましたら、下にある☆☆☆☆☆のポイント評価、そしてブックマークの登録をして頂けますと、作者のモチベーションになります!


 どうぞよろしくお願いいたします。


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