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『勇者の家庭教師』の正体を、教え子だけが知っている~俺は決して冒険者ランク1位†邪ナル雷光†ではございません!  作者: あまうい白一


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プロローグ 冒険者ランキング1位†邪ナル雷光†

楽しい話を書きたくなりまして、新作はじめました! どうぞよろしくお願いいたします!

 竜の王に襲われたその日。

 勇者の子である自分――ティリアは、巨竜に降り注ぐ光を見た。


 魔王を討ったほどの力を持つ母でさえ、暴走する竜の王には敵わなかった。

 いくつもの街を滅ぼした事で、討伐命令が出され、しかし幾人もの冒険者、国軍、英雄が屠られた。

 

 そして引退した勇者である母のいる街に、竜の王はやってきた。勇者である母は、剣士である自分や街の戦士たちと共に街を守るために立ち向かい、しかし、負けた。

 

 街には入れさすまいと最後まで闘い、ボロボロになった母を庇って抱え逃げようとしていた、絶望していたティリアの前で、その光は空を埋め尽くした。

 

 それは雷だ。

 

 光の正体は、一人の男が振う剣にまとわりついた雷によるものだ。

 

 瞬き一つする間に、雷が付与された斬撃が竜の王に向かって何度も何度も放たれたのである。


「――――!」


 金切り声を上げながら竜の王は切り刻まれ、そして倒れた。

 

 何が起きたか、その時のティリアには分からなかった。分かるのは、

 

「残党は――いないな」

 

 竜の王を切り倒した、一人の男の背中が見えているということだけだ。 


 勇者ですら敵わなかった竜の王を、一人で倒してしまった。

 

 ……こんな戦士、見たことが無い……。

 

 勇者の娘として、何人もの有名冒険者、幾人もの英雄と会い、組手をしてきたティリアですら、ここまでの強さを持つ人を知らなかった。

 自分の頭は驚きに満ちていた。

 

 硬直し、声すら出なかった。男が剣を収めた際、腰から一枚のカードが零れ落ち、自分の前に舞い降りるまでは。


 そのカードには見覚えがあった。


「あ、あの……。冒険者証が落ちましたよ」


 この国で、戦闘を行える物なら必ず持つ、己の身分を示す証明書。冒険者証だ。

 一度そこに名前を登録したら、即座にギルドのデータベースに載り、その人にしか使えない証明書として使える便利で、大事なもの。

 剣の鞘に結び付けてあったのが、竜との戦いで紐が傷ついたのだろう。目の前に落ちた半透明なカードには、登録した写真と名前が間違いなく記載されており、

 

「†邪ナル雷光†……?」


 ティリアがその名前を発した瞬間、目の前の男がビクッと肩をすくませた。

 無論、自分もだ。なにせ見覚えがあった。


「これって、15年以上冒険者ランク1位に居続けている伝説の名前……?!」


 冒険者ランクとは、その人がどれだけこの国に貢献したかを示すシステムだ。

 

 魔物という脅威を追い払うもよし、貴重な素材を集めて国を豊かにするもよし。貢献の仕方は様々だが、一つの尺度としてランキングが作られた。そのランキングは毎日のように、首都にある魔法映像放映機により、各地に報道映像と共に届けられる。

 

 だから、映像受信機がある家のものなら勿論知っている名前だし、町に設置された公衆受信機でも、目にしないことが無い名前。

 

 それが刻まれたカードがここにあり、その持ち主が、目の前にいた


「近頃は、ギルドに姿を現したことが無いから実在も疑われていたのに……。本当にいらっしゃったのですね。†邪ナル雷光†様!」


「う……!」


 名を呼ぶと、目の前の男は胸を押さえて膝をついた。

 

「ど、どこかお怪我をされたのですか、†邪ナル雷光†様!」


 思い返せば竜の王との激戦のあとだ。負傷して当然だ、とティリアが駆け寄ろうとすると、


「ぐ……だ、大丈夫だよ。いや、心に大きな怪我があるけれども……」

 

男は、手のひらを差し出し、動きを制してきた。


「え……? ど、どういうことですか……?」


 ティリアは言われている意味が分からなかった。ただ、男は深く深呼吸して周りを見渡した後、


「とりあえず、安全な場所まで行こう。そして、お願いがあるんだ……。どうかこの若気の至りに満ちた名が俺のものであることを、内緒にしてはくれないか?」

 

「ええと……?」


 そんな一幕が、勇者の娘である自分と、自分や他の英雄たちの家庭教師となる冒険者ランク一位、カナタ・ライサンダーとの出会いだった。

 


今日は出来たらもう1話くらい更新します!

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†は辛いね やっちゃったね...
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