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偽りの告白と、俺と私の十日間リフレイン  作者: カムナ リオ
1st round
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10/100

第10話「告白ドッキリ 如月心乃香sideーその4」

 私はその日の天気予報を見て、これは使えると閃いた。


「お母さん、もっと小さい折り畳み傘ない?」


「え? 今日、雨降りそうなの? だったら、大きいのの方がいいんじゃない?」

「小さいのがいいの」

「鞄に入れやすいように?」

「……まあ、そんな所。じゃあ行ってきます!」


***


 更に幸運なことに、この日は大量の新刊を図書室に運ぶことになり、私はこの日、図書委員の当番だったのだ。

 完全に神が味方していると思った。


「如月さん! ちょっ! 手で運ぶの? 重いわよ! 台車使いなさいよ」

「大丈夫です、このくらい。それに私が運ぶんじゃないんで」


 私はそのまま、本の入った箱をよっと持ち上げた。


***


 まだ教室に八神の鞄がある。学校内にいるはずだ。私は、八神が教室に戻ってくるのを待った。


 注意深く私は廊下の隅で、八神が現れるのを待つ。階段から登って来る八神の頭を確認すると、本の入った段ボールを持ち直し、わざとフラフラしながら八神の前におどり出た。


 私を告白ドッキリに嵌めたいなら、この状況、必ず何か八神からアクションを起こしてくるはず――私には確信があった。


「如月、大丈夫? 手伝うよ」


 ほら来た、引っかかった! 私は今、八神に気がついたとばかりに、わざとらしく反応した。


「え⁉︎ あ、八神君⁉︎ わわっ!」


 突然声を掛けられた体(てい)で、私は荷物を持ったまま、バランスを崩して倒れ込みそうに装う。

 八神は咄嗟に、私の体を支えてきた。中々の反射神経だ。帰宅部なのが本当に惜しい。


(ひっ!)


 ただ計算外だったのが、八神に体を背後から、抱え込まれる形になってしまったことだ。


 他人に触れられる嫌悪感から、私は反射的に飛び退きそうになったが、すぐに理性のスイッチで上書きした。


(ヤバイ、鳩尾(みぞおち)に一発食らわす所だった……)


 以前書物で読んだ「痴漢撃退法」が無意識に体現される所だった。


 八神は私の体に触れてしまったことに慌てたのか、急いで飛び退いた。――いや、そう言う「ふり」かもしれない。恋愛経験がなさすぎてどちらなのか見極められないと、私はイライラしてきた。


「あ、ありがとう」


 私は焦る気持ちをぐっと堪え、謙虚さをアピールした。ここで本性を見られようものなら、計画が台無しだ。


 八神は「手伝うよ」と私の持っていた荷物を持ち上げて、少しふらつく。


(カッコつけて……女子が運んでいるものだから、自分なら楽勝とでも思った?) 


 本というのは重いのだ。たかだか紙の集まりと、舐めている人がいるかもしれないが、集まると大変な重量になる。


 私は図書委員なので、この重たい本を比較的楽に運ぶ方法を熟知していた。


 当然、八神はその方法を知らないらしい。そんな持ち方では、腰に負担が掛かりすぎる。


(ま……教えてやらないけど)


 私は八神に、ささやかな復讐を果たした。



つづく

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