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■カラカラ短編劇場■  作者: 乙かれぃーぬ


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3/6

グランジェと言う娼婦

ここはどこだ?いったい俺は何をしているんだ?


だいぶ頭が混乱している。


記憶は何処で止まっているのか、考えるだけでトラックに踏み潰されたのかと思うほどの頭痛と、万力で潰されているかのような痛みが身体中を襲う、昨日は何をしていた?


あぁ…そうだ、グランジェ……


百合のように美しいドレスが印象的で、薔薇のような可憐さを持ち、子供のように純粋な女性だ。

二度と離したくないと思うほどに魅力的な女性だった。


一夜限りのベッドの中で愛し合い、脳が痺れ、呼吸の仕方が解らなくなるまで肉欲に溺れた。


一通りのことを済ませると、服を着ながらグランジェは目を輝かせながら俺に夢を語ってくれた。


毎日ちゃんとおやすみなさいと言い合って安心して眠れる愛人を作りたい。

そして子供の頃に1回だけ家族に連れて行って貰った遊園地にその人と再園するのだと。


それを聞いて何か複雑な感情が込み上げてきた。


俺が毎日薔薇の花をプレゼントしに来るから今度一緒に遊園地に行こうと、苦し紛れに伝えると。

語り終わって疲れてしまったのか眠ってしまったみたいで、すーすーと寝息が聞こえる。

拍子抜けのような展開に思わず苦笑いをして、グランジェの頭を撫でて俺もベッドに横になった。


翌朝目が覚めると、グランジェは息をしていなかった、首に2つ目の口が開き、床を見ればナイフが転がっていた。

俺の寝ている部屋で殺しとは随分とふざけた奴だ。


犯人を探し出して俺がこの手でお前のかたきをお前以上の目に合わせてやる。

サツになんか頼れるか、この街では金持ちを狙った犯罪以外は殆ど無かったことにされちまうからな。


思い立つとグランジェを殺した犯人の情報を集める為に愛用の赤いクーパーに乗り込んで街中を爆走した。


そこまで思い出した頃に突然サイレンの壊れた音が頭に響いて耐えられずに吐いてしまった。


少しスッキリとした頭を上げると、俺のクーパーにパトカーが粘土みたいにめり込んでいる

何かの反動でサイレンの電源が復活したみたいだ。


そうだ、思い出した。


途中で寄った酒場でグランジェの名を出しただけなのにビールをぶっ掛けられたんだ。

そいつを軽く折り畳んでやったら何一つ喋らなくなりやがった、情報を聴きたかったのによ。

怒りを抑えられずウォッカをたらふく飲んだあとにまた爆走していたらパトカーが目の前に現れてそのまま突っ込んで来やがったんだ。


全て思い出しぞ...グランジェ...お前を殺したのは誰だ...?


俺は立ち上り、よろよろと娼婦の集まる裏路地へと足を運んだ。

やはり娼婦達はグランジェの死を知っているみたいで。


グランジェの為に涙を流す者、怒りに満ちた顔を見せる者、武装している者まで居た。

ここの娼婦達は仲間意識が強い、だから好きだ。


俺と娼婦達は情報網を張り巡らせ、1週間の内に犯人を突き止めた。

俺は苦笑いと共に真実を簡単に受け入れるしか無かった。


商売の疲れでグランジェは自殺したのだ。


グランジェは美しすぎたんだ。


グランジェの花は客を癒し、棘は自身に深い傷を刻み続けていた。


なぁ、俺も傷だったのか?...いや、考えても答えが出るものではない、罪悪感は不思議と沸かなかった。


グランジェの死体はどこへ埋葬したかって?

娼婦たちがおやすみなさいの声と共に廃墟の遊園地へと埋葬したよ、俺は場所だけを教えてもらった。


俺は毎日そこへ薔薇を届けてやらないとな。


必要ないか?そうか?...そうだな、だが俺が届けてやりてぇんだ、ただそれだけだ。

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