九}《x.●特異点》・《y.ダヴィ》
九}《x.●特異点》・《y.ダヴィ》
全高二〇mのカメと始祖鳥が戦っている
ダヴィが二階の喫茶店で人を殺そうとくらやみを愛している
「うー。でも僕はなにもできない、なにもしていない.....」ダヴィが言った
オナニーが悪でありこどくをささえるゆいいつの自我になる
人はなんのためにいきているのか世はなぜうつろうのか
ダヴィのすわるテーブルの上がきりはなされたあたまにせんりょうされた
きりはなされたあたまがにこりと笑った
ダヴィが従業員をよんで台布きんをかりた
ダヴィがテーブルの上の血だまりをふいた
とりきれずに血だまりがテーブルの下にこぼれた
ダヴィがあわててきりはなされたあたまの耳にかみついた
ダヴィがうまくかみちぎれなかったのでテーブルの上のナイフできりはなされたあたまの耳をきった
ダヴィがあんしんしてきりはなされた耳を食べた
ダヴィがスプーンをもった
ダヴィがいきおいよくスプーンをきりはなされたあたまのめじりへと入れた
眼球が一回転した
いきたいいきたいいきたいいきたいいきたいいきたいいきたいきたい
湖袋大橋にあつまった六〇〇人のがくせいがいっせいに性のうめきをあげる
芸術劇場まえのひろばでペガサスと少女がたわむれている
メガネで細身の従業員がダヴィのテーブルにやってきた
「あなた、なにしているの?」メガネで細身の従業員が言った
ダヴィがだまっていた
「なら、もうしらない。なにもしないということはなにもできないということなのよ。あたなもこのテーブルにおいてあるあたまとおなじということかしら?」メガネで細身の従業員が言った
東武東上線のホームでおんがくがきこえる
そうおんのきたない色彩の終焉でさえほんとうのおんがくのとうめいを香らせることがない
「ちがうんだ。僕はいきてるんだよ。僕だっていきてるんだよ。それだけじゃだめなの? 死ななきゃだめなの! たましいの貸し借りをしているの? ほんとうのことをおしえてよ!」ダヴィが言った
ダヴィがメガネで細身の従業員にとびかかった
メガネで細身の従業員がダヴィを避けて真横からけりあげた
ダヴィがふっとびてんじょうにげきとつした
ダヴィがおちてきた
「うう、ちくしょう、ちくしょう……」ダヴィが言った
どこかとおくにいきたいなどこかとおくにいきたいな
ゆめを見たことのないダヴィが二階の喫茶店をあとにした
湖袋駅地下街で人がわらう
ダヴィが隠れ家アジトにいた
ダヴィがソファーの上でだいすきな女の子の絵をかいていた
「僕、お母さんになるの! お母さんになって子供といっぱいあそぶの。おむつもかえるし夜泣きもあやすの! みんなげんきかな。うー。やっぱりお母さんになりたい!」ダヴィが言った
からだがおもいからだがおもい
福祉系大学のがくせいが体内にきずをおっている
うみをまいにち食べつづけている錠剤が顔ない
あたまいたい男性が亡霊にあしをかまれている
プレッツェル屋さんの女従業員がわらいながら死者と生者の判別をしゅんじにやってのける
ペロが隠れ家アジトにあらわれた
「ダヴィせんぱい、なにしてるんですか? また女の子かいて妄想妊娠してるんですか?」ペロが言った
アナグマの巣が湖袋駅ルミネ方面かがでてかいだんをおりた
すぐちかくのマンホールのげすいどうのところにあるじてんしゃちゅうりんじょうのあいたスペースところどころに囚人がつったっている
すべてのラーメン屋さんの店主がわらうわらうわらうことをうしなたアーティストがかぶれが牛丼チェーン屋さんでしろごはんだけ食う
「でもね、ヨシコちゃんずっといい子なんだよ。あかるくていつもニコニコしているの。ほかの子もだいじだけど僕この子にはいちばんのおもいいれがあるの。ところでペロにゃんいっしょにおちゃしない? いつものあそこで」ダヴィが言った
「いいですよ。いつものあそこですね。わかりました。ようじをすませたらいくのでさきにいっててください」ペロが言った
「うーい。わかったぁ」ダヴィが言った
ダヴィが隠れ家アジトからでた
さびてへじまがった交通標識がうたっている
ダヴィがスキップしながらもくてきちをめざした
ねえねえどこいくのと縁石の虫と花たちがダヴィにといかける
「う~ん。とくべつなばしょ! やくそくの地! あの子にあえるかもしれないところ!」ダヴィが言った
ダヴィがもくてきちの二階の喫茶店についた
メガネで細身の従業員があらわれた
「いらっしゃいませ。ごじゆうにおせきにどうぞ」メガネで細身の従業員が言った
ダヴィが店内をみわたした
あるテーブルのうえにきりはなされたあたまがおいてあった
「あっ! あそこにしよう!」ダヴィが言った
ダヴィがきりはなされたあたまのおいてるせきについた
「こんにちは」ダヴィが言った
「こ」きりはなされたあたまが言った
「僕はちがうんだ…………。僕はちがうんだっ! そんなんじゃないんだよ! げいのうじんがなんだ! せいじかがなんだ! ワーカーがなんだ! 自えいぎょうがなんだ! 僕はそんなんじゃないんだよ……。僕はそんなんじゃ…………」ダヴィが言った
ダヴィがおうらいでひざからくずれおちた
暗治通りぞいの古本屋さんで男と老男と婦人がじぶんのかおのかわをはいでいた
ほそいろじのところでござをしいたパチモン売りがバタフライナイフを二〇〇〇円で売っている
五重塔がみつどとしつりょうが〇になって霊界と現世をつなぐぼちのはじまりになった
死であそぶ死であそぶ
「だれか僕におしえてよお。だれか僕におしえてよお」ダヴィが言った
ダヴィが湖袋駅前のおうらいでリュックをせおった学生にしがみついた
「ねえ、おしえてよお・僕はちがうよね。僕はちがうよね」ダヴィが言った
「あの、ええと。ううんと………。すみません、さきをいそいでいるのでほかの人にきいてください」リュックをせおった学生が言った
ダヴィが湖袋駅前のおうらいでアイスクリームを食べている女子高生三人組にしがみついた
「僕は人殺しじゃない! 僕は人殺しじゃないんだ!」ダヴィが言った
「ちょっとあぶないんですけど。やめてもらえますか。わたしたちにかかわらないでください。これいじょうやるとけいさつよびますよ。……………。まじやばいねあいつ。でさー……」アイスクリームを食べている女子高生三人組が言った
ダヴィが湖袋駅前のおうらいで百貨店のかみぶくろをさげた老人にしがみついた
「僕はこどくなの? 僕はこどくなの? 僕はさびしいの? ねえ、なんなの?」ダヴィが言った
「きみ、もっとようてんをめいかくにしてから人にききなさい。しりめつれつですよ。でもきくかぎり、きみのそのこたえはきみにしかこたえられない。きみじしんもきづいているのでしょう」百貨店のかみぶくろをさげた老人が言った
フランチャイズ中華料理屋さんとフランチャイズつけめん屋さんがだんごうして湖袋のさまようたましいのためにそなえるりょうりのねだんをきめはじめた
ダヴィのまえにペロがあらわれた
「ねえ、僕は僕でいいかなぁ」ダヴィが言った
「せんぱいはほかのだれかになれるんですか? なれないでしょう? きっとせんぱいはせんぱいの肉体いじょうのものにはなれませんよ。さっ、いきますよ、せんぱい」ペロが言った
ダヴィがペロにつれられて隠れ家アジトにいった
「ほんとうにいかなくてよかったんですか? おかしたべるのあんなにたのしみにしてたのに」ペロが言った
ダヴィがドラゴン殺しのりょうじゅうをとりだした
「これって意味あるのかな」ダヴィが言った
「意味ってなんですか? それはてっぽうでさっしょうするためのぶきですよ」ペロが言った
「ペロにゃん、僕のことすき?」ダヴィが言った
「えっえっ? いきなりなんですか? …………。ワタシは、ダヴィせんぱいのこと……すきですよ……。んもうっ! なにはずかしいこといわせんなぁっ!」ペロが言った
ダヴィがペロをだきしめてキスをした
ダヴィのしたとペロのしたがまじりあった
「僕もね......んふう、ペロにゃん、だいすき。はふゅう、はふゅう。ペロにゃんとチューしてるとこころもからだもとけちゃいそう」ダヴィが言った
ダヴィがペロとのキスをつづけた
ペロがダヴィのかみをなでた
「ダヴィせんぱい、だいすき」ペロが言った
湖袋保健所で死後のめんざいふをてにいれようとちょうだのれつができている
こんざつ化していく湖袋のとしけいかくが資本主義的アニメ化だ
駅こうないのそば屋さんで泣いている女性が義眼だ
女をみつめるだけで性的絶頂へとおいやる男がなけなしの金でハムスターをいっぴきかった
母のこもりにあきたバッタが四匹だ
ダイヤモンドフォーメーションをくむタコに食い殺されろタコに食い殺されると失恋した老人がさけぶ
この世のばんぶつが一つのながれからさからうことができない
人皮でつくられてきんぎょすくいのポイでざっとうのぐんしゅうからIQ七〇いかの人間をすくう
原発事故からなん年たっても豊島区各地でホットスポットがあらわれる
ばくげきのような生のうめきミサイルのような死のうめき
無機的ゆあつしきオートマタせいめいたいがICBM
いつか人類がほろぶときわれわれはどこへいくのか?
「…………。ダヴィせんぱいっていっつもワタシのことみてないですよね。いっつもとおくをみてる、いつもワタシじゃない人をみてる」ペロが言った
ペロがダヴィからはなれていった
「えっ……。いかないでよ、ペロにゃん……」ダヴィが言った
福島の除染作業をしていたシカたちが朝七時にめざましのためのりょうじゅうをかついでいる




