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とりぷー☆  作者: いち
3/7

検証と自己紹介。

歩きながら考えた。


これってもしかして異世界トリップ?


私は読書が趣味だった。それも男女の色恋を題材にした現代小説より、夢や幻想に包まれた物語。

所謂ファンタジーが大好物だったのだ。


そういう中で、異世界トリップというのはまぁ、よくある題材だったと思う。


ある日突然平凡、あるいは天才的なカリスマを持った女の子が見ず知らずの土地へ召喚されるのだ。

辿る運命は大体2パターン。


まずはひとつめ。

召喚されるヒロインは大抵は黒髪黒目で、それが特別視されるような世界。もしくはすごい美少女。

でもって危機的状況に陥っている世界を救うために奔走したり、仲間と恋をしたりして物語は展開される。

最後は役目を果たして(この場合の役目とは魔王的な存在を倒したり、神様を救ったりすることを指す)無事に元の世界へ戻ったり、そのまま異世界に永住したりするのだ。

ただしこの場合は召喚される前か、直後あたりに異世界の神様やお城の人たちなどにコンタクトを受けて不思議な能力を得たり、地位を与えられたりして万全のフォロー態勢で迎えられる。

まぁ、望まれて喚ばれるのだから当然なんだろうけども。


次にふたつめのパターン。

これは全く意図が無く、いわば交通事故的なトラブルとして突然異世界へ落ちてしまう場合。

こういう場合主人公は何の特殊能力も得られず、異世界での生活を余儀なくされる。

運が良ければ神様的な存在がフォローしてくれたり、自身の強運で周囲を巻き込みながらエンジョイできたりもするけれど、運が無ければ野垂れ死にだ。


私の場合、ここに来るのは本当に突然だったし、今までお告げめいた夢や「世界を助けて・・」的な幻聴が聞こえたことは全くない。

ついでに幼少時から周囲に隠しもっていた超能力や霊視能力もないし、抽選はティッシュしかもらったことが無い。

そして我が家は世界屈指の財閥や何百年も続く名家なんてこともなく、あくまでも一般的なサラリーマン家庭だ。

ここに来てから一晩経つが、何のアクションもないことから鑑みて、残念ながらパターン2の可能性が濃厚だ。


自分で言うのも悲しいけれど、私はあくまでも普通の女子高生。

多少標準より背が小さくて、髪はさらさらストレートにあこがれる癖っ毛だ。

唯一自分で気に入っているパーツと言えば唇がちょっと厚くてセクシーな気がする、程度。

頭も特別に良くも悪くもなくて、学校での成績はいつも平均よちちょっと上くらい。

派手じゃないけど普通に服やメイクに気を使う友達とつるんで話題はいつもダイエットや校内の恋バナ。休み時間はいつも前髪を気にしてる。

そんな普通の、どこの高校にでもいるような私、本宮明子。16歳。


本当なら今日も学校に通ういつもと変わらない毎日のはずだったのに、なんで私はこんな見たこともないような広い広い草原をてくてくと歩いているのかなぁ。

でも、不思議といえば、昨日から何も食べて無いのに全然空腹を感じない。あんなに泣いたのに喉もあんまり乾いてないし、いくら歩いても疲れない。

これってトリップ特典といえるのかな?


そんなことをつらつらと考えながら歩いていたら、なんだか空気が変わったような気がして足をとめた。

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