現状把握。はじめの一歩。
空へ届けとばかりに声を張り上げ嗄れる程泣いて泣いて、そうしてその日は泣き疲れてそのまま眠ってしまった。
たぶん次の日。私がこの原因不明の現象に悩まされて二日目。
目が覚めても相変わらず体の下は土で、泣きすぎたせいで腫れぼったい瞼を上げて容赦なく照りつける太陽を睨みながら私はようやく現実を受け入れた。
「どうしていきなりこんなところにいるのかはわからない。ここがどこかもわからない。私が持っているのはバスローブ代わりのかわいいけど外を歩くには向かないワンピースだけ。靴もない。食べ物も飲み物もない。」
すこし嗄れた声でゆっくりと現状を羅列してゆく。
もしここに私以外の人がいたらきっと土にまみれてぶつぶつと呟く尋常ならざる様子に怪しまれただろう。でも私は一人だし、それどころじゃなかった。
「でも、体は動くし頭も働く。こんなところで野宿しちゃったけど風邪はひいてないみたいだし、襲ってくるような生き物も居なかった。思いっきり泣いたから気分もそんなに悪くない。うん。大丈夫。」
自分で挙げたプラス要素にこっくりとうなずいて自信をつける。
「今この場所に限って言えば危険はないみたいだから、とにかく最悪ではないわけよね。
必要なのは水と食べ物、そして情報。人がいるかわからないけど、土があって草が生えてるってことは雨も降るし生き物がまったく居ないわけじゃないはず。だから、きっと大丈夫。」
勢いをつけて立ち上がるとぱたぱたとワンピースの裾を叩いて草や土を落とした。
裾にフリルとリボンのついた黒いワンピースは猫耳付きのフードも付いていて一目惚れで買ったお気に入りだったけど、この果てしない平原を歩いて行くにはいかにも頼りなげに見えた。
でも無理矢理視線を上げて前を向いた。今更嘆いていたって仕方ない。とにかくどこへ歩きだすのかが問題だ。
幸い土は柔らかく、はだしで歩いても大丈夫そうだ。
日陰が無いので照りつける太陽による日射病が心配だったから、一応フードをかぶっておいた。
無いよりはましだろう。
改めて周囲をぐるりと見渡してみた。
平らだと思っていた地面は、よくよく観察してみるとなだらかな丘を形成しているようだった。
遠くに黒々とした山が壁のように連なっている。
唯一山に阻まれていない方角を見つけて、そちらへと足を踏み出した。




