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ヤニカス奴隷に服を買ってあげた件

※本作はギャグ・コメディ中心の作品です。

※倫理・制度・恋愛要素などは深く考えず、ゆるくお楽しみください。

オフ日になり、俺はノアを連れて街へ出た。


大学もバイトもない、久しぶりの完全な休みだ。


せっかく時間がある。

溜まっていた用事を片付けるついでに、ノアの服も新調しようと思った。


「せっかくだし、服も買っておこう」


俺の提案に、ノアは軽く肩をすくめる。


「ご主人様、今ある服で十分です」


即答だった。


どうやらこいつは、服に対する価値観そのものが俺と違うらしい。


歩きながら、ノアの服装に目がいく。


ショートパンツ。

大きめのアウター。

肩が大胆に露出したトップス。


すべてコンカフェの客からもらった服だという。


色も形もバラバラなのに、不思議とノアが着ると様になっていた。


風が吹くたび、金色の髪がさらりと揺れる。


人混みの中でも迷わず歩くその姿を見て、俺は小さく呟いた。


「……その格好で寒くないのか?」


「問題ありません」


即答だった。


暑さ寒さより、ノアにとって重要なのは別の基準なのだろう。


最初に入った店で、俺は無難そうな服を手に取り、ノアに差し出した。


「これは?」


「……好みではありません」


次の店でも結果は同じだった。


「これはどうだ?」


「好みではありません」


また次の店。

さらにその次の店。


ノアは淡々と首を振る。


機能性もデザインも悪くないはずなのに、一切妥協しない。


正直、選ぶ側の俺の方が先に疲れてきた。


何軒目かの店で、ノアは不意に足を止めた。


「ご主人様、これにします」


差し出された商品を見て、俺は固まる。


それは、俺が初めてノアに渡したジャージとほとんど同じデザインの、スウェット上下だった。


「……それでいいのか?」


値段も安い。

特別おしゃれでもない。


拍子抜けした俺に、ノアは袋を抱きしめて笑った。


「はい。これが一番落ち着きます」


その顔を見てしまえば、もう何も言えなかった。


家に帰ってから、ふと思い出す。


最近、ノアが契約上の“体での奉仕”について、ほとんど口にしなくなっていることを。


「そういえば」


「最近、その件言わなくなったけど、どうしたんだ?」


問いかけると、ノアは少し得意げに胸を張った。


「外で済ませています、ご主人様」


「……外で?」


嫌な予感がした。


脳裏に浮かぶのは、夜のコンカフェで働くノアの姿だ。


店の女の子たちに囲まれ、愛想よく笑い、客の心と財布を軽く掴んでいく。


どうやら今日も、破壊されるのは俺だけではないらしい。


そう思うと、なぜか少しだけ救われた気がした。


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